[ケアビジネスSHINKA論 Vol.3133]

セクハラについて改めて考える

おはようございます、金曜日担当の尾添です。

先週、大阪で開催されたバリアフリー展に出展しました。
当社はDXサービスの紹介でしたが、福祉器具からITサービスまで多数の展示があり、会場
は多くの来場者で賑わっていました。
最近になってさまざまな展示会・商談会に足を向けるようになりましたが、どこでも目立つ
のはITやDX、そしてAIの文字。
そんな中、今回のバリアフリー展では移乗介助を機械化する器具等の展示が目につきました。
しかも多くの来場者が集まっているのです。
色々と話を聞いて、そして考えたことをまとめてみます。

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■■セクハラについて改めて考える
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◆移乗介助とは、例えばベッドから車椅子へ、また車椅子からトイレへ場所を移ってもらう
際など、介護の現場で日頃から繰り返される「抱きかかえる」という行為。
それを人の手ではなく機械の手で行うために開発されたのが移乗介助用の器具です。
高齢者の腋の下にアームが入り、座面で体を支え、体重や姿勢に関わらず安定した体位のまま
移乗をサポートしてくれる器具です。

◆ちょっと興味があったので、いつくかの企業のブースに立ち寄って販売員さんに人気の理由
を聞きました。
「とにかくどこも人手不足ですから」
「介護職員の腰痛対策にもつながりますから」
「これなら未経験者でも安全に介助できますから」
そして、もうひとつ。
「ハラスメント対策としても検討が増えているんです」

◆先ほどの移乗介助を例にして考えると、
・抱きかかえること
・肌に触れること
・密着すること
それが
・異性であったり
・清潔感に問題があったり
・年齢が近かったり
ケアとして必要な行為が、ハラスメントの境界線上に立たされているのです。

◆なんと言いますか…一部のことと言われそうですが、やりにくい時代になりました。
介護とは本来、人と人との関わりの中で成り立つ営みです。
身体に触れ、姿勢が崩れないように支え、そして抱きかかえる。
それは技術であり、信頼関係であり、ケアの本質でもあります。
その「触れる」という行為そのものがリスクになりつつあると言うのです。

◆令和3年度の介護報酬改定において、すべての介護事業者に対して「ハラスメント防止の
ための必要な措置」の実施が義務化されました。
そして今年度からは、カスタマーハラスメント対策も義務化されています。
法整備は進み、マニュアルも整いました。
けれど、ハラスメントに悩む職員は減りません。
「利用者さんだから仕方ない」
「相談しても変わらない」
「自分が我慢すればいい」
「契約解除になったら、利用者さんが困る」
介護職員の「やりがい搾取」という言葉が、先述の調査報告にも書かれています。

◆展示会に並んでいた移乗介助機器の意味を、改めて考えてみます。
機械が代わりに「抱きかかえる」ことで
・介護職員の腰痛リスクが減る
・未経験者でも安全に介助できる
・身体接触によるハラスメントリスクが軽減される
・介護される側も不快感や羞恥心を感じにくくなる
そう考えれば、これは決して「人の温もりを捨てる」という話ではありません。
人と人が安心して関われる環境をテクノロジーが支えるという選択肢だと言えます。
「触れない」ことが、結果として双方を守る。
直視すべき現実です。

◆やりにくい時代、けれども今回のテーマで考えると、「触れる」ことが難しくなった時代を
嘆くのではなく、「触れ方」を、そして「触れなくていい方法」を再定義する必要があります。
ハラスメントという言葉に過剰に反応する必要はないと思います。
介護する人も、される人も、どちらも尊厳を守られるべきです。
なんともやりにくい時代です。?でも、だからこそ、考えるべきこと、やるべきことがあります。

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これは誰が悪いという話ではありません。?けれど、こうも思うのです。
この「やりにくさ」の存在も、人を介護現場から遠ざける要因ではないでしょうか。