[ケアビジネスSHINKA論 Vol.718]

新規参入する大手企業。その視点は。

おはようございます、

(株)ケアビジネスパートナーズ の鈴木です。

今週もよろしくお願い致します。

今週は、数年にわたり支援させていただいている、

ある事業計画が大きく前進し、

ひとつの区切りを実感した週でした。

様々な事情により金融機関からの融資が非常に
難しい案件でしたが、

そこにありがたい回答をいただいたのです。

もちろん、本当の勝負はこれからなので、

さらに気を引き締め取組んでいきたいと
考えています。

では、メルマガの中身に入らせていただきます。

今日の視点──────────────────────────────
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■■新規参入する大手企業。その視点は。
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●2016年4月。東京、世田谷区でソニーグループが初めて介護付き有料老人ホームを開設します。その開所式には、元ソニー副社長、現ソニーフィナンシャルホールディングスの代表取締役社長、井原勝美氏も参加され、ソニーグループとして取組まれていることが伝わります。

●施設名は「ソナーレ祖師ケ谷大蔵」。鉄筋コンクリート造地上3階建、全室個室の46室。運営主体は、ソニーフィナンシャルホールディングス傘下のソニーライフケア100%子会社であるライフデザイン社。報道によれば、同社の代表取締役出井学氏は、報道陣向けの事業説明会で「ソニー設立趣意書」のスライドを映し、今回の取り組みはソニーの魂を引き継ぐ“ソニーの介護”であることを強調したとのことです。

●そのソニーグループ、実は、2013年に介護付き有料老人ホーム「ぴあはーと 藤が丘(横浜市青葉区)」をソニーフィナンシャルホールディングスで買収し、ソニーグループ資本として運営は進めていました。出井社長は「介護業界に新規参入するに当たり、ぴあはーと藤が丘を通して、『介護とは何か』を徹底的に学ばせてもらった」と語っています。その中から見出したこれからの介護のあるべき姿、それは「見える化」だったといいます。

●介護業界においては、とかく介護従事者のノウハウが個々人にとどまりがちで、なかなか共有されていない実情のなかで、これまで定性的なものであった介護従事者の気付きなどを定量化して共有する。こうした「“気付き”の品質管理」(出井氏)を実現する一つとして、新たに開発したのが、ホーム業務支援ITシステム「MICS(Multi Integrated Lifecare System)」。これは、個々の介護従事者が気付いた課題やニーズなどの他、短期/中期のライフケアプランニングや日々のサポート内容、進捗管理などをiPadを活用して記録・管理するシステムだそうです。この“気付き”の品質管理などを基本コンセプトとしつつ、これまで得たノウハウをつぎ込み初めての自社ブランドで開設する有料老人ホームが、「ソナーレ祖師ケ谷大蔵」です。

●ソニーが着目した視点のひとつが「見える化」であり、これまでの個々人のノウハウを定量化し共有するという取組みは注目されるべき流れです。これは、言い換えれば介護業界にサイエンスに基づいた経営アプローチがまたひとつ始まったともいえます。個々人にあるノウハウであったり、いわゆる職人芸的なわざなどの定性要因のなかには魅力的なものも多くあります。ただ、経営管理としてみた場合、今後はサイエンスに基づいた合理的な手法が一定の影響力をもつことは想定しておくべきでしょう。

●ただし、逆の視点でいえば、現在多くのノウハウは個々人のなかにあり、それは現場にあることに他なりません。恐らくこれを読んでおられる方々は間違いなく情報感度の高い方々だと思われるので、実は皆様の足元に大変なノウハウ、知見があるものと察します。あとはいかにそれをいかに巧く活用するか。その気になれば(それがいいかどうかは別として)、独自のやり方でサイエンスに基づいた経営管理も可能かと思います。いずれにせよ、介護経営にとっても新たな展開がはじまったのではないかと感じます。

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以上、何かのお役に立てれば幸いです。

又、ご意見等もお聞かせ下さい。
今朝はお付き合いいただき、ありがとうございました。