[ケアビジネスSHINKA論 Vol.3152]

ケアプー始動

おはようございます、金曜日担当の尾添です。

介護現場においてケアプー(ケアプランデータ連携システム)の運用が始まりましたね。
事業所どうしを繋ぎ、ケアプランや提供票などのやり取りを紙やファクス中心から少しずつ
変えていく取り組み。
将来的には介護情報基盤への統合を見据えた、国が主導するプロジェクトです。
リアルな現場の声も踏まえて、改めて考えます。

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■■ ケアプー始動
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◆現場の声に耳を傾けると、必ずしも「便利になった」との感想ばかりではありません。
その理由の一つが、この仕組みは自分の事業所だけが使えても完結しないこと。
相手の事業所が繋がっていなければ、結局はファクスや紙で送ることになります。
取引先が多い事業所ほど「ここはデータ連携」「ここはファクス」「ここは電話確認」と対応
が分かれ、むしろ手間が増えたように感じる場面もあるはずです。
この辺りは、連携して使う介護請求ソフトのサポート機能の有無等にもよりますかね。
いずれにせよこういった不便さは、現場のリアルな声として無視できません。
でも、そこで「やっぱりデジタルは面倒だ」「今まで通りでいい」と止まってしまうと、介護
業界の進展はありません。

◆人手不足が続く業界において、ご利用者・入居者へのサービスの質を守りつつ、書類作成、
確認、送付、転記、再確認など業務を今まで通り人の手で抱え続けるのには限界があります。
本当に人が力を注ぐべきなのは、ファクスの送信確認でも、数字の打ち直しでもないはず。
ご利用者・入居者の変化に気づき、ご家族の不安を聞き、必要な支援を考えること、そして
その人らしい暮らしを支えることです。
だからこそ、事務的なやり取りはできるだけデジタルや仕組みに任せていく必要があります。

◆これは介護業界だけの話ではありません。
たとえば私がかつて働いていた銀行では、窓口や紙の手続きが当たり前でした。
今は振り込みや残高確認、そしてあらゆる業務がATMだけでなく、スマホやPCの画面上にて
できるようになりました。
小売業でも昔は手書きや目視で在庫を確認していたものが今では販売と在庫が繋がり、欠品
や発注の無駄を減らしています。
医療でも、紙の紹介状やフィルム中心だった時代から情報を共有する流れが進んでいます。
どの業界も、最初からスムーズだったわけではありません。
導入直後は必ず混乱があり、紙と画面(デジタル)の二重管理も起きます。
慣れない人への説明も必要です。
それでも前に進んだ業界は「今は面倒だからやめる」ではなく「将来の当たり前を作るため
に今の面倒を乗り越える」と考えて取り組んできたはずです。
介護業界にも、同じ視点が必要だと思うのです。

◆ケアプランデータ連携システムの本質は、単にファクスを減らすことではありません。
介護現場が情報を正しく、早く、安全に扱える業界へ変わっていくことにあります。
そのためには、道具(システム)を入れるだけでは足りません。
現場で働く私たち自身が「紙でないと不安」「昔のやり方が一番確実」といった考え方から
少しずつ抜け出す必要があります。
大切なのは、何でも新しくすればいいということではありません。
何のために使うのかを考えることです。
・入力の手間を減らすため
・確認もれを減らすため
・情報の行き違いを減らすため
・職員の時間を守るため
そして、
・ご利用者・入居者に向き合う時間を増やすため

◆これらの目的を見失わなければ、今の不便さにも意味が見えてくると思いませんか?
もちろん、現時点では課題があります。
先述したように、相手が繋がらなければ使えないことに加え、地域で温度差がある、操作
に慣れるまで時間がかかる、紙やファクスとの併用で負担が増える、など。
これらは現実ですが「だから不要」の理由ではなく「使いこなして広げていく必要がある」
という理由です。

◆一つの事業所だけでは変わらないジレンマがありますね。
でも少しづつでも、地域の中で使える相手を一つずつ増やしていくことが大切。
「うちは使い始めました」
「そちらも一部から試しませんか」
そんな声かけの積み重ねが、やがて地域全体の当たり前を変えていきます。
今の大変さだけを見て否定するのではなく、未来の現場を少し楽にするために前向きに育て
ていく。
その姿勢こそ、これからの介護業界に必要なのだと思うのです。

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ケアプランデータ連携は、まだ完成された便利な仕組みではないかもしれません。
介護請求ソフト各社も、どうにか現場業務を楽にするための機能やサービスを順次開発し、
リリースしています。
人手不足の中でもサービスの質を守り、働く人の負担を減らしていくためには、避けて通れ
ない流れです。