[ケアビジネスSHINKA論 Vol.858]

介護事業者の倒産、9月までで過去最多を更新

おはようございます、

(株)ケアビジネスパートナーズ の鈴木です。
今週もよろしくお願い致します。

昨日の社会保障審議会・介護保険部会では、訪問介護とデイサービスの給付の縮小を見送る方針が固まりました。

また、要介護1、2の「地域支援事業」へ移行も様子をみるとのことです。財務省からの提言を受けて、政府も「骨太の方針」にてその議論を深めていましたが、厚生労働省はこれら見直しを実行しないとの意向を表明しました。財務省からの提言では、他にも軽度者に対する福祉用具貸与の給付大幅なカットなどの議論もされていますが、引き続き厚生労働省の姿勢には注目しておきたいところです。

では、本日のメルマガの中身に入らせていただきます。

今日の視点─────────────────────────
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■■「介護事業者の倒産、9月までで過去最多を更新」と公表
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●東京商工リサーチが7日公表したレポートによれば、今年1月から9月までの介護サービス事業者の倒産が77件であると報告。これは介護保険制度がスタートしてから最も多かった昨年(76件)をすでに1件上回っている数字だということです。

●その倒産の内訳をみると、従業員5人未満の小規模のところが68.8%。約7割が負債5000万円未満。46.7%は設立から5年以内。業種別では、「通所・短期入所」と「訪問介護」がそれぞれ32件で、この2つで全体の83.1%を占めているとのことです。

●その原因の66.2%が「販売不振」。倒産形態は、事業消滅型の破産が9割超で、再建型の民事再生法は1件もありません。東京商工リサーチは「同業他社との競争の激しさを物語っている」「不振に陥った事業者の再建が難しいことを浮き彫りにした」などの指摘をしています。

●こうした数字は、現状の一局面を写し出しており示唆深いデータです。経営を効率性でみれば、小規模事業者の経営は厳しくなっているのでしょう。ただし、これをもって介護事業の法人全てが悪いというわけではないことには注意したいところです。数字も割合という視点でみれば、分母次第では大きな数字にもなり経営にとって不利な印象を受けますが、実数を客観的に見れば、小規模68.8%は分母77件に対するものですから53件、それ以外が24件です。1月から9月までの9ヶ月間でこの実数を少ないとはいいませんが、他の業種であっても一定数の倒産はあるので、その数自体については多少冷静さをもって向き合ってもいいような気がします。事実、実際には小規模事業者であっても、稼働率もよく優良な経営実績を残している法人もたくさんあるということです。

●現状で経営が大変だという法人さんがあるのも事実でしょうが、それは制度だけの問題ではなく工夫次第でそこを乗り切っている法人も一定数あることをこのデータはまた物語っている気がします。

<参考>
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20161007_01.html

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以上、何かのお役に立てれば幸いです。

又、ご意見等もお聞かせ下さい。
今朝はお付き合いいただき、ありがとうございました。