[ケアビジネスSHINKA論 Vol.773]

“福祉用具貸与の給付縮小”はどのような影響をもたらすか?

おはようございます、

(株)ケアビジネスパートナーズ の原田です。

昨日から久しぶりに、介護特化を志す税理士事務所
様に対する専門研修を行っています。

その中で、社会福祉の萌芽が始まった1951年から
現在に至るまでの歴史的経緯をたどって解説をした
ところ、

「今まで点でしか見えていなかった法改正のプロ
セスが、線、面でつながってきた。

情報を解釈する“型”が見えてきた気がする」

という、とても嬉しい言葉をいただきました。

丸暗記ではなく、やはり、

“なぜそうなるか”

というロジックを理解する事がとても重要な
ことなのだなぁ、

とあらためて実感した一時でした。

では、本日もメルマガの中身に入らせていただきます。

今日の視点──────────────────────────────
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■■“福祉用具貸与の給付縮小”はどのような影響をもたらすか?
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●少々古い話で恐縮ですが、先月末、福祉用具貸与の事業者などでつくる「日本福祉用具供給協会」が、自協会としての見解を示した記者会見が行われました。既にご存知の方も多いかと存じますが、念のため、本日のメルマガでも共有させていただきます。財務省が主張する“要介護2以下の福祉用具貸与自己負担化”が及ぼす影響について、です。

●同協会は、「車いすや歩行器、多点つえなどのレンタルを打ち切られてしまった場合、別の新たな支援が必要になると考えている利用者が多い」「居宅内の移動や買い物、通院などに支障が出ないよう、“介助者を依頼する”とした人が目立っていた」という独自の調査結果を発表(調査母集団478名)。合わせて、これらの結果にもとづき、福祉用具を代替する訪問介護の量を推計し、それに必要となる費用を試算したところ、サービスの効率化などでコストを減らせると仮定しても、「1370億円の給付費が余計にかかる」のみならず「10万人を超える介護人材の追加需要が発生」するとの問題を提起。そのロジックのもと、「福祉用具貸与は、居宅での生活や地域との関わりなどをローコストで維持できる、非常に効果の高いサービス。本人の自立意欲を高め、介護者の負担を軽減する極めて重要な役割を果たしている」という結論をあらためて導出・強調しています。

●発表内容は論理的根拠も明快であり、非常に重要な指摘であろうと思われます。しかし、課題はやはり“財源の手当て”です。この記者会見は5月27日だったのですが、その数日後に安倍首相が“増税延期”を発表する等、同問題を取り巻く環境もまた新たな局面を迎えています。報道によると、昨日の記者会見に於いては、麻生太郎財務相より「消費税を増税しないので、増税を前提にした施策はできない。やれる範囲は限られる」「赤字国債を充実策の財源に充てることはしない」という発表が為されたそうです。もし、この言葉を額面通りに受け取れば、日本福祉用具供給協会が産出・指摘した“1370億円の給付費増”という非常に説得力ある指摘も、“次期法改正に於いては、“要介護2以下の訪問介護縮小(一部自己負担化)”という財務省案の基では試算の前提条件が崩れ、或る意味、この主張そのものが“砂上の楼閣”化してしまう可能性も否めません。

●日本福祉用具供給協会、財務省、各々の立場に立てば、それぞれの指摘には一定の正当性が在るものと思われます。しかし、“2020年におけるプライマリーバランス黒字化”という日本の至上命題も視野に入れつつ、1年半後に出される答は「一つ」です。事業者としては、議論の行く末を注視すると共に、「最悪のケースに転がった場合、どう対応するか?」について、事前に頭をワークさせておく必要もあるかもしれませんね(その上で、最悪のケースに転ばなければ“ラッキー”ですものね^^)。次期法改正に向けた議論が徐々に本格化する中、私自身、この手の情報を今後も意識して発信してまいります。

※参照URL

http://www.joint-kaigo.com/article/pg167.html

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以上、何かのお役に立てれば幸いです。

今日は、前述の集中研修の2日目です。
(9時30分~16時30分)

皆さんは今日、どんな1日を過ごされるのでしょうか?

では、今日も互いに頑張ってまいりましょう!

今朝もお付き合いいただき、ありがとうございました。