[ケアビジネスSHINKA論 Vol.770]

有料老人ホームの入居金返還をめぐる公判について

おはようございます、

(株)ケアビジネスパートナーズ の鈴木です。

今週もよろしくお願い致します。

今週は、某社会福祉法人さんの経営目標達成の
ための取組みがありました。

大きな方向性は決まっているものの、

やるべきことは混沌としており、

どこかふわっとしていたのですが、

ここでその整理ができたことでまた目標に一歩
近づいたことを実感します。

それにしてもこの法人の幹部職員さんは、

ひとつのヒントからの展開が早く、

かつ鋭いな、といつも感じています。

ますます今後が楽しみです。

では、メルマガの中身に入らせていただきます。

今日の視点──────────────────────────────
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■■有料老人ホームの入居金返還をめぐる公判について
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●有料老人ホームの入居金返還をめぐる公判が5月24日にあり、司法の判断が注目されます。

●3月14日、「全国消費生活相談員協会」(東京都中央区)は、有料老人ホームを展開する東急不動産(同港区)に対し、入居の際に一括払いした入居金のうち一部を返還しないと定めている契約条項が消費契約法に違反するとして、この条項の使用差し止めを求める消費者団体訴訟を東京地裁に起こしました。訴状などによれば、同社が運営する「グランクレール藤が丘」(横浜市)では、一括払い金のうち10%から20%を、入居者の年齢に合わせた死亡までの「想定居住期間」を超えるケースに備えた「保険料」として設定。契約途中で退去した場合でも返還しない内容になっており、同協会は「消費者の利益を一方的に害するもの」と主張しています。

●有料老人ホームの入居一時金については、解約や退去時の返還についてトラブルが相次いでいることから、2012年に老人福祉法が改正されています。厚生労働省は「一般的には契約から3ヶ月を過ぎた場合、事業者が事業に使用した『初期償却』にあてられる部分と考える」として返還は不要としています。

●確かに、厚生労働省は12年3月に事務連絡として初期償却に関する算定方法を示していますし、業界団体は作成した小冊子「消費者向けガイドブック―高齢者向け住まいを選ぶ前に」のなかで「居住期間を超えた期間に備えて、前払い金として支払った将来の家賃が返還されないことがある」と初期償却に関する部分について明示しています。

●ただし、この「初期償却」を認めていない自治体もあります。東京都と埼玉県は「初期償却」を設けている施設を「不適合」としています。理由として、両自治体が独自に定める運用ガイドラインである有料老人ホーム設置運営指導指針に合致しないからとのことです。

●実際に有料老人ホームの支払い方法として月払い方式を導入する企業が増え,一括前払いとの両建てが多くなっています。この裁判は、あくまでも個別の事業者に対するもので、初期償却制度そのものを問うものではありませんが、一定の影響は十分考えられ、法的判断、そこから生じる動向については注目しておきたいところです。

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以上、何かのお役に立てれば幸いです。

又、ご意見等もお聞かせ下さい。

今朝はお付き合いいただき、ありがとうございました。