[ケアビジネスSHINKA論 Vol.753]

使っている言葉の定義、合致していますか?

おはようございます、

(株)ケアビジネスパートナーズ の原田です。

先月末のことですが、来年度より始める予定の

“介護職員の賃上げ実施(月額で約1万円程度)”

について、

“財源を安定的・継続的に確保する観点から、補正
予算ではなく当初予算のメニューの中に盛り込む”

と、塩崎厚労相が発表されていましたね。

必要財源額はおよそ1000億円。

確かに必要な事であるな、とも思う一方、

他産業から見れば、

何と恵まれた業界なんだろう、

とも見えてしまうかもしれません。
(私も正直、そう思います)

ともあれ、年末に向けた議論をしっかりと
追いかけていく必要はありそうです。

では、本日もメルマガの中身に入らせていただきます。

今日の視点──────────────────────────────
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■■使っている言葉の定義、合致していますか?
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●先日、西日本地区の介護経営者様より、人財育成に関するご相談をお受けしました。曰く、「私の真意や考え方がなかなか現場に伝わらず悩んでいる」とのこと。そんな中、過去に異業種企業において取り組んだあるプロジェクトの取り組みをご紹介させていただいたところ、少し間が空いた後で、「大事ですね、こういうのって。。。。確かにうち、出来ていない。それが1つの原因かもしれない。」という言葉をいただきました。今日は、その時にお話させていただいた内容を皆様に共有させていただきます。某サービス産業(A社)にて取り組んだ「スピリッツ・マニュアル・プロジェクト」に関するお話です。

●A社はセンスのいい商品が消費者に受け、店舗網を急拡大していました。ところが、組織拡大のスピードに人財育成が追い付かず、社長は臨店する度に、「何故、言ったとおりに出来ていないんだ!」「店長の教育がなっていない!」とストレス一杯に。一方、店長は店長で、「社長の言うことを理解して指導しているつもりなのに、、、」と、これまた、不満が蓄積していました。この状況を何とかすべく、我々が投入された訳ですが、現状把握フェーズを経て我々が辿り着いた仮説は、次のようなものでした。「同じ言葉を使っていても、社長と店長とでは、ひょっとすると、定義や達成イメージが違っている事が多いのではないか」

●分かりやすい事例で言えば、例えば「清潔な状態」という言葉一つとっても、社長の考える「清潔な状態」と店長の考える「清潔な状態」では、雲泥の差が出てきてしまっていました(実際、店長が掃除した後を社長に見ていただいて、その差はよく分かりました)。これらについては「どのレベルを「清潔な状態」と定義するか」を決め、マニュアルに落とし込めば事足りる話です。そして、このような考え方を、「求める人財像」にも応用しよう、ということになったのです。

●例えば、「素直」な人とはどんな人なのか。日常的に当たり前に使う言葉ですが、実は、抽象的であるが故に、人によって定義が異なっている場合もあるかもしれません。このように、自社の人財に求める要素一つ一つの意味を曖昧にせず、自社なりの定義を確立・明文化していこう、そしてそれを店舗における人財育成のバイブルにしていこうーこれが、「スピリッツ・マニュアル・プロジェクト」の要諦でした。

●方法論は至ってシンプル。先ずは、社長の過去の朝礼記録や刊行物での発言等から、社長が求める人財像を語る上でのキーワードをプロジェクトメンバーで徹底的に洗い出しました。そして、それらを持って社長に内容確認してもらい、更に言葉を追加。次に、その言葉一つ一つに対し、「我が社ではこの言葉をどう定義するか」「社長ならどう考えるか」をプロジェクトメンバー全員で話し合い、定義を明確化していったのです(その時のプロジェクトメンバーは、後の浸透フェーズを意識して、現役店長陣を中心に集まっていただきました)。例えば前述の「素直さ」とい言葉についての定義・解説は、次のような容量でまとめました(一部抜粋)。

●「素直」と言う言葉には,「飾り気がなくありのままであるさま」「他に逆らわないでおだやかなさま」「ひねくれたところのないさま」「とどこおりのないさま」「癖のないさま」等々、様々な意味があります。我々の組織では、上記の意味を踏まえながら「素直」を下記のように定めています。
1)「自分にはまだまだ足りないところが一杯ある」ことをしっかりと自身で理解している様
2)そして、自らの不足や過ちを認め、教えられたとおりすぐに自身を正そうとする「行動」「勇気」を持っている様
「素直な人」となるためには、1)2)の両方を満たさなければいけません。たとえ「自分には不足がある」と理解していても、それらを正す「行動」「勇気」が伴っていなければ、我々の組織では「素直」だとは言わないのです。(以降略)

●ここまで定義して社長に確認してもらい、齟齬がないか確認の上、「会社としての定義」を決めていったのです。約半年間、なかなか骨の折れるプロジェクトでしたが、プロジェクトが無事終了した後の嬉しい副産物として、プロジェクトに参加した店長メンバー達が見違えるほど成長していた事を鮮明に覚えています。(副産物とは言いつつ、当然、最初から狙っていたのですが)

●このメルマガの読者の中には、ひょっとすると同じような悩みを抱えている人もいらっしゃるかもしれません。皆さんの組織においては、どのようなギャップの埋め方があるでしょうか?上記切り口を一つの参考に、幹部陣も巻き込んで話し合ってみても悪くないかもしれませんね。

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以上、何かのお役に立てれば幸いです。

今日は、午前中は大阪市内で打合せ。

午後から、奈良県南部エリアにて、

某社会福祉法人様との個別プロジェクト
ミーティングを行います。

皆さんは今日、どんな1日を過ごされるので
しょうか?

では、今日も互いに頑張ってまいりましょう!

今朝もお付き合いいただき、ありがとうございました。