おはようございます、金曜日担当の尾添です。
先月(2026年6月)、介護業界にも大きく関係する法律に関して「ある重要な決定」が下され
ました。
何かというと、昨年10月のメルマガでも一度取り上げた「カスハラ対策」について。
2025年6月にカスタマーハラスメント対策を事業主の義務とする改正法が公布されたことは
過去メルマガでお伝えしましたが、その後2026年2月には具体的な指針が示され、2026年
10月1日から義務化されることが正式に決まっています。
さらに今年6月、介護支援専門員が利用者宅で危害を受け死亡する事件を踏まえ、厚生労働省
から在宅介護従事者の安全確保を徹底する通知が発出されました。
施行まで残りわずかとなった今、改めて取り上げてみたいと思います。
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■■ カスハラ対策義務化
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◆介護保険制度上でも以前からハラスメント対策は重要課題とされてきましたが、今回の法
改正により、カスハラ対策は労働法制上の「事業主の義務」として明確に位置づけられます。
※義務化自体は10月施行の予定です。?
※今回の義務化は業種や企業規模を問わず、労働者を雇用するすべての事業主が対象です。
※介護事業者も当然に対象となり、在宅サービス・施設サービスの別を問いません。
◆利用者や家族からの暴言・暴力、理不尽な要求から職員をどう守るのか。
これまで「現場の我慢」に依存しがちだったこの問題が、ついに「事業者の法的義務」となる
のです。
現時点で「法的に決定した事実」と「まだ決まっていない今後の方向性」について、そして、
事業者が今すぐ着手すべきアクションを整理してみます。
◆まず【決定事項】として、「全事業所」を対象とした「組織的防衛」の義務化であること。
在宅・施設を問わず「すべての介護事業者」を対象としてカスハラ対策が義務付けられます。
そしてその対策は組織としてのものであること求められます。
具体的には、対処方針や相談・報告手順を明確にすることが義務付けられます。
これらを確実に周知・運用する方法として有効とされる一つがマニュアルの作成。
これまでは「あの家族は少し厳しいから気をつけてね」といった現場レベルの対応で済まされ
ていたものが、今後は「法人が組織として職員を守るシステムを構築していない=法令違反」
とみなされることになります。
◆この大きな枠組みの一方で、【未定事項と今後の方向性】について、具体的な基準と支援策
など、どのようなことが考えられるでしょうか。
①どこからが「カスハラ」にあたるのかの明確な線引き
認知症に伴うBPSD(行動・心理症状)による暴力・暴言と、悪意のあるハラスメントをどう
区別するのかなど。
厚労省の既存マニュアルでは、主治医やケアマネ等の意見も確認しながら判断すると示され
ています。
今回の法改正を踏まえた介護分野の運営基準やマニュアルの見直しにも注意が必要です。
②複数名訪問に対する「費用補助」の具体額と範囲
訪問介護等において一定条件の下で複数名対応を評価する既存の仕組みがあり、ケアマネの
同行訪問経費についても、国の支援事業を活用できることが示されています。
ただし、自治体での実施状況、利用条件、対象経費等には違いがあり得るため、都道府県や
市町村への確認が必要です。
③完全施行の時期(経過措置の長さ)
企業規模による施行時期の違いや、2027年度までの経過措置は現時点では具体的に示され
ていません。
そのため、まず各事業者は10月1日までに必要な体制を整えておく必要があります。
◆国からのガイドライン発表や完全義務化が少し先とはいえ、その準備は今すぐ着手べき。
例えば、まずは朝礼や会議で、「会社はカスハラから皆さんを全力で守る」という経営トップ
の意志を明確に伝えるなど。
改めて実際に起きている実態を把握することも必要です。
また、「ヒヤリハット記録」ならぬ「カスハラ記録」を残していくことも有効です。
現場で起こる「ちょっとした暴言」や「理不尽なクレーム」を、ケア記録とは別に組織として
収集することが必要です。
これが将来のマニュアル策定に向けた土台になるはず。
◆そして忘れてはいけないのが、重要事項説明書・契約書の見直しです。
重要事項説明書や契約書についても、サービスの範囲、禁止される行為、問題発生時の対応
手順などが明確になっているか確認しておくことが有効です。
ただし、「ハラスメントがあれば直ちに契約解除できる」と一律に扱うことはできません。
サービスの継続性や利用者への影響も踏まえ、個別に正当な理由を判断する必要があります。
契約条項を新設・変更する際は、専門家への確認も必要です。
施設の場合にはポスターの掲示や、ご家族向けのお手紙による告知も有効です。
◆BCP然り、常時起こるものではないだけに対策が見落とされがちですが、それでも対策は
必要不可欠。
従業員を守り、事業所・会社を守るため、しっかり対応していきましょう。
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あらゆる業界で問題視されるカスハラ。
お伝えのとおり、業界でも2026年10月から事業主の防止措置が正式に義務化されますが、
これを「また面倒なルールが増えた」と捉えるのか。
それとも、これまで個々の職員の我慢に委ねてきた問題を、組織として正面から扱い、職員
を守るための仕組みができたと捉えるのか。
利用者の尊厳とサービスを受ける権利を守りながら、働く職員の安全と尊厳も守る。
簡単なことではありませんが、必要ですね。