[ケアビジネスSHINKA論 Vol.2709]

介護 異次元崩壊

みなさん、おはようございます。
金曜日のメルマガ担当、ケアビジネスパートナーズの尾添です。

本日のメルマガタイトルですが、最新(2024年2月17日号)の週刊東洋経済の特集記事と
して、表紙に大きく書かれている言葉です。
サブタイトルとして「こんな介護保険に誰がした!」とも。
先取りして全文を読みました。
これから読まれる方もいらっしゃると思いますが、少しだけ、主にその概略について採り上
げてみたいと思います。

それでは本日のメルマガです。

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■■介護 異次元崩壊
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◆タイトルはメディアらしい誇張表現とも言えますが、業界に関わる私たちにとって笑うに
笑えない言葉でもあります。
特集がどのような内容かと言うと、ネット購読サービスに以下の紹介文章があります。
「今は当たり前のように使える介護サービス。人手不足に歯止めがかからず、これまでにな
い崩壊が起こっている。自宅で最後まで。10年後はそんな希望はかなわないかもしれない。」

◆最初のページで採り上げられたのは訪問介護の現場実態、続いて特養の現場実態について。
訪問介護に関しては、その人手不足が深刻であることが複数の実例をもとに紹介されており、
あわせて訪問ヘルパーの4人に1人が65歳以上との調査結果(介護労働安定センター)も紹介
されています。
全国的にヘルパーの離職が止まらず、一方でヘルパーの平均年齢は高くなるばかりで、いつ
まで労働力として頼れるものか。
それなのに国は、24年度の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬を下げた・・・と。

◆そのしわ寄せは、事業者はもちろん利用者にも及び、訪問介護の相談があっても受けられ
ないケースが増え続けています。
理由として圧倒的な割合を占めるのが「人員不足で対応できなかった」。(浜銀総合研究所)
高齢者の人口ピークは2040年と言われていますが、75歳以上の人口に限れば2060年まで
増える試算があり、そうなれば当然、介護需要はずっと増え続けます。

◆特養の実態についても少し。
取材を受けた施設において、夜勤帯にスタッフ1人が22人を対応している実情、そして深夜
の交代休憩の時間にはピークで44人の対応を1人で行っている様子が書かれています。
5階建ての同施設で、夜間ずっとナースコールが鳴りやまず、スタッフが1階から5階までを
走り回っていると。
事業者側の苦しい胸の内として、夜勤を増やすことによる年間の支出増についても触れられ
ています。
実際に東京都内の特養に関して特養の7割が赤字に陥っているとの調査結果もあります。

◆その他に、低賃金問題、高齢者虐待問題、単身高齢者増加問題、看取りビジネスの危うさ、
要介護認定の落とし穴など、とても明るい気持ちで読めないような内容が続きます。
仕事でも実生活でも介護に関わりのない人は、この特集を読んでどう感じるのだろう。
そんなことを思います。

◆機能不全に陥ったとも言われる介護保険制度。
増え続ける認定者、そして介護を必要とする高齢者にどのように対応していくべきなのか。
簡単な問題ではありませんが、その一つには間違いなく予防の強化があると考えます。
今回の報酬改定では、要介護1・2の給付見直し(総合事業への汲み入れ)は見送られそうで
すが、次回改定では実現されるでしょうか。
予防にも繋がる話として、ある自治体の職員(高齢者支援担当者)の言葉が載っています。
「要介護度が軽度の場合、本人が介護サービスを拒否するなどケアプランが作成できない人も
いる。病気やケガで入院して初めて、必要な介護サービスを提供できることもある。」
介護予防、健康維持を推進していくのに、当事者の意識の問題がハードルとなることは実感と
して理解できます。

◆同誌には、厚生労働省老健局長のインタビューも掲載されており、その中に以下のような
コメントがあります。
「面白い動きもある。年齢ごとの要介護認定率を15年と20年で比較すると、認定率が下がっ
ているのだ。認定基準を厳しくしているのではない。予防や健康づくりが奏功しているという
ことだ。」
もちろん前後の文脈はありますが、皆さんどう感じられるでしょうか。
国・事業者・個人、みんなの問題です。

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要支援・介護認定(状態)と言う現実を受け入れたくない高齢者と、とにかく少しでも給付
を抑制したい自治体。
このような構図が存在しているのであれば、課題解決は簡単ではありません。
入院(病気・ケガ)をして初めて健康の大切さを知る。
予防や健康に関わるものとして、この実態にどう向き合うのか、考えなければいけません。

今週もお疲れ様でした。
ステキな週末をお過ごしください!