[ケアビジネスSHINKA論 Vol.3004]

SEOからAIOへ(チャンス到来!)

事業者・事業所においてホームページやSNSアカウントを開設されているかと思いますが、
どうでしょう、更新されていますか?
事業所の理念やサービス概要、また日々の活動の様子などを必要とされる方へ届けるために
大きな役割を果たします。
でも手間が、、かかるんですよね。。
これまでウェブサイト等を通じた情報発信においては「SEO(検索エンジン最適化)」の重要
性が広く認識され、多くの企業や事業所でもその対策に取り組んでこられたことと思います。
しかし、技術の進歩とともに検索エンジンのあり方、そしてユーザーの情報探索行動も変化
しつつあります。
その主役とも言うべきなのAIの登場と進化。
そして、そこで新たに注目されているのが「AIO(AI最適化)」という概念です。
今回は、このSEOからAIOへの移行が何を意味し、福祉事業者にとってどのような可能性を
秘めているのか、具体的な情報や事例を交えながら考えたいと思います。

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■■SEOからAIOへ(チャンス到来!)
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◆ご承知の方も多いかと思いますが、SEO(検索エンジン最適化)とは、GoogleやYahoo!
といった検索エンジンにおいて、自社のウェブサイトが特定のキーワードにて検索された際
に、より上位に表示されるよう最適化を行うための一連の取り組みのこと。
例えば「〇〇市 デイサービス 人気」や「〇〇区 訪問介護 信頼できる」といったキーワード
で検索する人に対し、自社ウェブサイトが検索結果の上位に表示されることで、より多くの
方に事業所の存在を知ってもらえます。
対策には知識やテクニックが必要で、それこそネット上に情報が溢れ、専門コンサルタント
も多数存在します。
皆さんも何度となく専門業者から提案されたことがあるのではないでしょうか。
SEOはウェブサイトへのアクセス数を増やすのに有効な手段であり、今後も基本的な対策と
してその重要性は変わらないはず。
しかしながら検索ワード対策だけでは十分に伝わりにくく、対策自体にコストもかかります。

◆これまで何度も採り上げてきたAIについて、その技術発展スピードは驚くばかりであり、
私たちの生活やビジネスの様々な側面に影響を与え始めています。
そして、このAIの進化は検索エンジンの機能をも大きく向上させ、検索体験の質そのもの
をも変えつつあるのです。
従来の検索エンジンでは、入力されたキーワードとウェブページ上の単語の一致度合いを主
として結果を表示する傾向がありましたが、AIが組み込まれた現代の検索エンジンでは、単
なるキーワードのマッチングに留まらずユーザーが検索に至った背景や文脈、さらにはその
「検索意図」を深く理解しようとします。
プロンプトと呼ばれる検索指示は、例えば「高齢の母が自宅で転倒することが増えた。どう
すれば良いか。」といった具体的な悩みや状況を、まるで人に相談するように検索エンジン
に入力します。
AIはその言葉の背後にある「安全な住環境への改善策」「介護サービスの利用検討」「予防
策に関する情報収集」といった複合的ニーズを読み取り、よりパーソナライズされた本質的
な解決策に繋がる情報を提供できるよう進化しているのです。
これにより、ユーザーは自身の状況や要望により合致した情報をより効率的に得られるよう
になってきました。
日頃からAIを活用して実感されている方も多いのではと思います。

◆このような検索技術の進化とユーザー行動の変化等を背景に、ウェブサイトの最適化戦略
も新たな次元へと移行しつつあります。
それが、「SEO」から「AIO(AI Optimization:AI最適化)」へのシフトです。
AIOとは、AI技術を積極的に活用し、ユーザー個々の検索意図や潜在ニーズを的確に捉え、
それに応じた最適なコンテンツや体験を提供することを目指すアプローチです。
従来のSEOが「検索エンジンのアルゴリズムにいかに評価されるか」という視点を重視して
いたのに対し、AIOは「ユーザー(人間)にいかに価値ある体験を提供できるか」という点
を最優的に考えます。
誰・何に対して最適化(Optimization)させるのか、この点はとても重要です。
このまま書き続けるとボリュームが何倍にもなりそうなので、関心のある方はテクニック
等も含めて是非ともチェックしてみてください!

◆お伝えしたいのは、こうした流れをチャンスにできないかということ。
AIOの本質が「ユーザーの検索意図を深く理解して最も価値のある体験を提供する」ことに
ある点を踏まえると、福祉現場において皆さんが日々向き合っておられる「現場のリアル」
こそが、AIO時代における極めて強力な武器になるのではと思うのです。
「アルゴリズムが?」など難しい話はしません(できません!)。
最適化させる相手がユーザー(人間)であるならば、
・福祉現場のリアルは、「信頼性」「信ぴょう性」の源泉となり
・何より「共感」と言う人間的な価値を提供でき
・AIが学習するために必要な「質の高いデータ」となり得る
そして加えて、
・検索ワードではない独自の「ストーリー」として差別化できる
と言う強みがあると感じるのです。
そのために必要なことは
・「ありのまま」を「伝わる形」で発信すること
・スタッフ各自が情報発信の担い手となる意識を持つこと
・「どういった方になぜ必要か」などチーム内で考えること
・多様なチャネルをその特性に合わせて活用すること
など。
その意味でSNSなどうまく活用されている企業や事業者の事例を見ると、そのフォロワー
数や閲覧数は必然の結果とも思えるのです。

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言うは易し…はい、分かっております。
でもSNSなどは誰にも等しく使えるツールであり、とにかくチャレンジするかしないか。
これが「自分は日本酒が好きだから毎週日曜日に飲んだ日本酒の感想とおすすめのアテに
ついて投稿しよう」となればネタ収集や文章作成に苦労するでしょう。
そう考えれば、福祉事業者は日々の業務の中にこそAIO時代における最高のコンテンツの
ネタをお持ちなのです。
そのかけがえのない「リアル」な価値を自信を持って発信していくことこそが、ユーザー
の顕在/潜在につながるのだと思います。
AIは、そのために活用するアシスタント。
テクニックばかりを意識するのではなく、日頃の真剣な取り組みや温かい心を伝えること
が、結果としてAIにも評価される時代が来ていると感じるのです。