[ケアビジネスSHINKA論 Vol.865]

外部環境を構造的に整理する

おはようございます、

(株)ケアビジネスパートナーズ の鈴木です。
今週もよろしくお願い致します。

国の規制緩和により賃貸物件で特別養護老人ホーム(特養)の運営が可能
となったことを受けて、東京都は特養に建物を貸し出すオーナーに資金補
助の制度を始めました。最大で建設費の半分弱を助成するそうです。新た
な不動産の資産運用としても注目されますが、こうした新たな調金調達の
あり方は特養以外でもファンドも含めいろいろな形態が出てきそうです。

では、本日のメルマガの中身に入らせていただきます。

今日の視点──────────────────────────────
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■■外部環境を構造的に整理する
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●これまでこのメルマガにおいて、最新の制度情報あるいは介護業界に関連のある企業の動きなどもお伝えしてきていますが、そうした内容は事業者からみたときの「外部環境」ということになります。「経営」とは「環境適応業」ということばもありますが、この変化する「外部環境」に対して、それぞれの事業者がどう向き合えばいいのか。今日は、その「外部環境」を整理するためのフレームを紹介します。

●「外部環境」というと、そこに「機会」と「脅威」を合わせて分析するSWOT分析を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。ここでは詳しくは触れませんが、SWOT分析では「外部環境」の「機会」と「脅威」を分析します。「機会」はどちらかというと前向きな議論のため活発に扱われるのに対して「脅威」の分析は後回しになりがちです。しかし、介護を巡る一連の「外部環境」はこの「脅威」に対していかにしっかりと手を打っておくかも大切です。この「脅威」の構造を5つに分けて整理します。

●ひとつ目の脅威は「新規参入者」。これは参入障壁の高さに影響を受けます。例えば特養の規制緩和は、これまであった参入障壁が徐々に低くなっていることとなり社会福祉法人にとっては「新規参入者」の脅威が広がるということになります。他にもサービスの差別化がしづらい,参入コストが低いところなどはこの「新規参入者」の脅威があります。この場合、この障壁を上げる方法がないかが具体的な戦略になります。
2つ目は「利用者の選択の多様化」による脅威。利用者が選択するサービスが今後どうなるのかという視点です。これから自己負担の増加などは利用者のサービス選択に影響を与える要因になりそうですが、こうしたことも外部環境の脅威となります。
3つ目は「代替品」の脅威。代替、つまり代わりになり得るものの脅威です。利用者にとって代替となるサービスの価格やサービス内容がどうなっていくのか。いま提供しているサービスに対して、どのようなものが脅威になるのかという視点です。
4つ目は「供給側」の脅威。これは一般の商店でいえば、供給側、つまり仕入先との関係による脅威です。供給側から自社がどう位置づけられているかという脅威ともいえます。介護事業でいえば供給側、つまり制度による報酬単価
がどうなるのかといったことなどが当たります。
5つ目は「敵対関係」の脅威。競争の厳しさ、同業者の規模・数などの脅威です。

●このように「外部環境」による脅威は5つに整理することができます。これから様々な環境変化はあるのでしょうが、冷静に分析、対応することで「脅威」もチャンスになります。例えば「敵対関係」の脅威は、それを分析したうえで「共存」し「協調」することが出来ればチャンスに変えることも可能です。こうした「外部環境」を構造的に整理してみると改めて見えてくるものもあります。

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以上、何かのお役に立てれば幸いです。

又、ご意見等もお聞かせ下さい。
今朝はお付き合いいただき、ありがとうございました。