[ケアビジネスSHINKA論 Vol.1238]

「経営する上での重要な軸の一つに置いています」~中国地区介護経営者の言葉より~

おはようございます、

(株)ケアビジネスパートナーズ の原田です。

先週は随分涼しい日が続きましたが、

今週は暑い日が続くようになるようですね。

互いに体調に気をつけながら、

今週も頑張ってまいりましょう!

では、本日のメルマガに入らせていただきます。

今日の視点───────────────────────────────────
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■■「経営する上での重要な軸の一つに置いています」~中国地区介護経営者の言葉より~
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●先日、中国地区の介護経営者(A社長)と久しぶりに意見交換させていただいた時の事。
組織活性化をテーマにした意見交換だったのですが、その中で、「当時(約6年前)に原田
さんが広島のセミナーで話してくださったことを今でもよく覚えています」という、とても
嬉しい言葉をうかがうことが出来ました。

●A社長曰く、その言葉は「言葉だけ聞けば誰もが納得するものの、実際の現場においては
実践できていないことが多い」ような内容だったらしく、当時は相当心に“ズキッ”と来た
ようで^^、今でも「経営する上での重要な軸の一つとしている(A社長の言葉)」とのこと
でした(本当に講師冥利に尽きる話です^^)。

●と、いうことで、大変僭越ながら今日は、A社長が覚えていただいていたという“6年前
の話”を皆様にも是非、共有させていただきたく思います。現場を知らない経営者“あるあ
る”とも言える話についてです(この表現、もう古いのかもしれませんね^^)。

●「エッ、何でそんなことをしたの?」当時、私がデイサービスを経営し始めてまだ半年
も経過していない時の事。月1回の定例全体会議で思わずついそんな言葉を生活相談員候
補だった介護職員歴25年の職員Bさん(ケアマネ資格あり)に投げかけてしまいました
(Bさんには期待をかけて入社していただいたのですが、試用期間中のケアに対する姿勢
や発言を聞く中で私や管理者は不安を感じ、“候補”のまま相談員としてではなく、しばら
くの期間、介護社員として働いてもらっていました)。

●彼のどのような発言・行動に対し、私が上記の言葉を発したのか?それは、とあるケア
マネからの新規利用の相談に対し、「ちょっとその方はうちでは難しいですねぇ。。。」
と電話のみで断ってしまった、という彼からの報告に対してでした。

●「どうして?」詰問するでもなく、素直に意味が分からなかった私は彼に質問を投げかけ
ました。するとBさんからは、「この方を受け入れると、他のご利用者に対するケアの品質
が落ちます。今のうちの体制では我が社側のリスクが高まるだけですので、お断りしました」
とのこと。

●ちなみに彼はあくまでも相談員“候補”。そこまでの意思決定が出来る権限を彼が有している
訳では当然ありません。それはそれで問題なのですが、私がそれ以上に“問題”と感じたのは、
彼の思考プロセスそのものでした。というのも、私たちの会社の大切な価値・判断基準であっ
た“10個の工夫を考えてみよう”というプロセスが彼からは抜け落ちてしまっていたからです。

●前述の通り、Bさんは介護職員歴25年で、しかもケアマネ資格まで有している訳ですから、
ケアマネジメントについては当時の私などより(と言うか、今も?^^)遥かに造詣が深い、
という事は重々私も理解していましたし、その面ではBさんをリスペクトしていました。そ
の上で、私が彼に指摘したのは「ケアマネジメントの価値・判断基準から見た君の意見、と
いうのは理解できる部分もあるけれど(正しいかどうかは別として)、何故、“会社としての
価値・判断基準”を無視したの?」という内容。

●言うまでもないことかもしれませんが、私は、「まだ空きがあるのに何故、受け入れなか
ったんだ!売上を逃してしまったじゃないか!」などと指摘したい訳でも何でもありませ
ん。例え10個の工夫を考えたとしても、「どう考えてもうちの会社では力量不足だ。わざわ
ざ問合せをしてきて下さった中、本当に申し訳ないが、他の事業所の方が適しているように
思うので、そちらを紹介すべき」という判断に至ることだって当然有り得ることで、それは
それで「致し方ない」という判断を下すのが誠実な場合もある、ということは、当時の私に
も十分理解出来ていました。

●しかし、Bさんは自身が培ってきた「ケアマネジメントにおける価値・判断基準」のみで
判断し、会社を独自な存在たらしめている「会社としての価値・判断基準」からの視点との
ぶつけ合いの上、結論を出す、というプロセスを行っていなかった。私がその点を指摘する
と、

●「「今の人数やシフトでも十分に現場は大変なのに、また利用者を増やすつもりですか?」
「原田さんは現場を知らないからそんなこと言えるのですよ」「数字しか見ていないからそ
んなことを言うのです」」等々、全く論点の異なる次元から感情的反論を繰り返され、これ
また驚いたことを今でも覚えています(勿論、私としてはその矛盾(議論のすり替え)を指
摘し続け、最後には謝罪の言葉がBさんからは出てきましたが)。

●「“ケアマネジメントとしての価値・判断基準”と“会社としての価値・判断基準”の両面を
ぶつけ合い、そこからベストの解を生み出していく、、、、当時はそのような整理が私の頭
の中についていませんでした。“私は経営者として、うちの会社の価値・判断基準を現場のメ
ンバーに示すことが出来ていないのではないか?”あれ以降、自らの意識や考動が変わり、サ
ービスとしての品質が変わっていった気がします。本当に大事な言葉をいただきました、あ
りがとうございます」・・・・

●さて、上記やり取りの内容、皆様は如何思われましたでしょうか?「そんなの、当然」と
思われた方には釈迦に説法で恐縮ですが、自社の現場を振り返った場合、もし、少しでも心
に引っ掛かりを感じられた方は、「はて、うちはどうだろう?」と一度、あらためて自社を
点検してみてもいいかもしれませんね^^

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以上、何かのお役に立てれば幸いです。

今日は、東京都心で打合せ&デスクワークが続きます。

皆様は今日、どんな1日を過ごされるのでしょうか?

では、今日も互いに頑張ってまいりましょう!

今朝もお付き合いいただき、ありがとうございました。