組織の片腕を探す心構え。

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株式会社ケアビジネスパートナーズ代表・介護経営エナジャイザー 原田匡が
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(※)エナジャイザー:エネルギー(energy)や活力を提供する人
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おはようございます、

(株)ケアビジネスパートナーズ 代表の
原田匡です。

最近、幹部教育や採用の件で、ご相談を受ける
ことがよくあります。

“どうすれば幹部を担えるような人財を採用
できるのでしょうか?”

もし、皆さんの中で、更なる成長を志向
しつつも、

現状の組織や人財、自分だけでは限界が見えて
きている、と感じる場合、

ひょっとすると、

皆さんの組織は、新たな“片腕”的人財が
必要な時期に差し掛かっているのかもしれません。

そして、そのような人財が社内では見いだせない、

という場合には、

外部で見つけ、自社に引っ張ってくることも
必要です。

では、どうやって、

“片腕”

になってくれるほどの優秀な人財を見つけ、

引っ張ってくるのか?

ここで、森永製菓の創業者、森永太一郎氏と共に
タッグを組んで会社を成長させた、正に、

“片腕”、

松崎半三郎氏との出会いについて皆様にご紹介したいと
思います。

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開業して3年。

誰よりも商道徳を重んじ、顧客や全ての取引先と誠実に
向き合ってきたおかげか、

東京の菓子屋で、森永太一郎の名を知らぬものはいない、
というほどまでに、彼が経営する森永商店は成長して
いました。

そんな中、製造に、営業に、と、森永氏は
皆の先頭に立ち、懸命に働いてきたものの、

製造に専念するとどうしても営業が疎かに
なってしまい、

結果、お客様に迷惑がかかってしまう、

という事態がたびたび起きていました。

“自分一人ではこれ以上、事業を伸ばすことは
出来ない“

そう考えた同氏は、

誰か片腕となる良き女房役がいなければ、
これ以上の発展は望めない、

と、真剣に人材を探しはじめます。

そこで彼は、2年前に知り合った

“松崎半三郎(まつざきはんざぶろう)”

という男性を女房役に招き入れることを決めました。

松崎氏は立教学院(立教大学の前身)を卒業後、

貿易商に勤務した後、独立して自分で貿易商を
営んでいました。

その取扱う商品は、オルガン、ピアノの部品の
ほか菓子、チョコレートの原材料の輸入品などで、

それらを森永商店に納入するようになり知り合った
のです。

松崎氏は、森永氏より年齢は9歳下でしたが、
森永氏は、取引を通じて彼の能力、特に営業面での
能力を高く評価していました。

「あの男なら間違いはない。女房役になってもらおう」

そう心に決めると、森永氏は即、松崎氏を料理屋に招いて、
ずばり切り出したそうです。

「松崎さん、うちに来て私の片腕になってください」

「え?」

「私はね、アメリカで12年間も菓子造りの修行を
積み、この仕事には絶対の自信を持っています。

でも営業の方は、なかなかうまくいかないのです。

私は栄養の富む菓子を安い値段で日本人に提供したい。

さらに海外に輸出したい。これが私の夢なのです。

どうか、松崎さん、うちに来て営業をやって
ください」

あまりにも唐突な申し出に、松崎氏は混乱しながらも
答えました。

「森永さんの夢は、よく分かりました。でも私は
貿易商で身を立てたいのです。

せっかくの申し出ですが断らせていただきます。
悪く思わないでください」

「悪く思うなんて、とんでもない」

森永氏は深い失望を隠しながら、

「どうかゆっくり検討されて、その気になったら、
よろしく頼みます。私の方は、いつでも大歓迎です。」

と将来に含みを残してこの日は別れたそうです。

それからも森永氏は折に触れ幾度も松崎氏を誘いますが、

その度に丁重に断られてしまいます。

しかし、何としても諦めきれない森永氏は、
松崎氏に初めて自分の思いを打ち明けてから2年半が
経った1905年の1月1日に、奇襲戦法に出ることを
決意します。

時は早朝4時。

何としても今年は松崎氏を迎え入れたい、

と考えていた森永氏は、松崎氏が承諾するまで
テコでも動かないつもりで松崎氏の家のドアを叩きました。

「どなたですか・・・」

松崎氏の眠そうな声が聞こえます。

「森永です」

「森永さん?ちょっと待ってください」

松崎氏が戸を開けると

「明けましておめでとうございます」

森永氏は、紋付羽織袴姿で挨拶を述べました。

松崎氏は驚いて

「おめでとうございます。こんなに早く、一体
どうなさったのですか?」

そう言って、森永氏を応接間に通しました。

対面するやいなや、森永氏はいきなり切りだします。

「私はね。新年に当たりあなたを迎えることに決めました。
是非ともうちに来て片腕になってください」

「弱りましたね・・・」

松崎氏は困惑の表情を浮かべています。

「お蔭さまで、森永の西洋菓子も少しは世間に知られる
ようになりました。

しかし私一人の力では限界があります。

これ以上の発展を望むならば、あなたの力が必要です。

私の技術と、あなたの営業能力を合わせれば、

それこそ鬼に金棒です。

松崎さん、私と二人で日本の洋菓子業界をリード
しましょう。

どうしても貴方に承諾していただきたく、

非礼を垣間見ず押しかけて来ました。お願いします」

そう言って、森永氏は畳に両手を突いて深々と頭を
下げたそうです。

「うーん」

唸り声を漏らした松崎氏は遂にこう応えました。

「これほど熱心にお誘いいただいて、光栄に思います。
しかしこのことは人生の一大事なので、妻とも相談
しなければなりません。今夜まで考えさせてください」

「分かりました。今夜の何時にお伺いしたらいいですか?」

「今夜7時に、私の方から森永さんのお宅へ参ります」

「では、吉報をお待ちしております。朝早くから失礼しました」

そう言って再度深々と頭を下げた後、森永氏は松崎家を
後にしたそうです。

その後、森永氏は、独立精神旺盛な松崎氏が果たして自分の
下で働いてくれるか、不安と期待の入り混じった気持ちで
夜7時を迎えました。

「今朝ほどの件はどうでしょう」

7時少し前に到着した松崎氏に、森永氏は単刀直入に
質問します。

松崎氏は応えます。

「はい。その件ですが、私の出す3つの条件を受け
入れてくだされば、喜んで働かせていただきます」

「どんな条件ですか?」

松崎氏は森永氏を直視したまま、淡々とした口調で語り
始めました。

「第一に森永さんは製造に専念し、私は営業を担当する。
第二に現在のような個人商店では発展に限度があるので、
なるべく早く株式組織にする。
第三に必要な人は縁故ではなく、人物本位で採用する。
森永さんの夢を実現させるためには、この3つが絶対に
必要という結論に至りましたのであえて条件にさせて
いただきました」

この言葉を聞き、一呼吸おいた森永氏は、ようやく念願
叶った、という万感の想いのもと、次のように答えた
そうです。

「松崎さん、あなたの3つの条件は全て受け入れます。
どうぞ、うちに来て頑張ってください」

こうして、

「森永の松崎か、松崎の森永か。森永は二人にして
一人である」

と言われるほどになるまでの強力なタッグがここに誕生し、

その後、森永製菓は、東洋の製菓王への階段を一気に駆け
上がっていったそうです。

(参照本・人生の極意・経営の勘どころ)

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森永製菓には他にも様々なエピソードがありますが、
私は特にこの話が大好きです。

“片腕となるような人材がなかなかいない”

という声は、そこかしこの企業でよく聞く話ですが、
実際は、

“いない”

のではなく、

“人材はいるが自分の会社には来てくれない”

というケースがほとんどではないでしょうか?

会社も何時どうなるか分からない、

給与もその人が今もらっているだけのものは
とても払えない。

それでは来てくれなくて当然、

と諦めてしまっている、というのがほとんどの
実態なのでしょう。

しかし、会社をより発展させようと思えば、

“片腕”

とも呼べるパートナーの存在は必要不可欠です。

では、どうすればいいのか?

これはもう、経営者が夢と情熱を持って口説き落とす
以外に方法はない、ということではないでしょうか?

始めから条件だけで諦めず、この人だ、と決めたら
何が何でも諦めない、という

“情熱(執念)”、

その人に対する

“全幅の信頼”

そして、その人に“全幅の信頼”を置く、という

“覚悟”

が、時に人の心を動かすのだと思います。
(勿論、盲目的な意味での“信頼”“覚悟”ではありません)

理論やロジックも大切ですが、

やはり、会社を成長させる一番の原動力は、

“熱を持った、人と人とのつながり”

から生まれるのかもしれませんね。

以上、何かのお役に立てれば幸いです。

本日は、都心で打合せが続きます。

皆さんは、今日はどんな1日を過ごされるので
しょうか?

では、今日も1日、互いに頑張って
まいりましょう!

今朝もお付き合いいただき、ありがとう
ございました。


ちなみに松崎氏は太一郎の後を継ぎ、森永製菓の2代目
社長に就任します。
その後、孫の昭雄氏も森永製菓に入社し、5代目社長に
就任する訳ですが、その松崎昭雄氏の娘、昭恵氏が、
今の総理 安部晋三氏の奥様だそうです。

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