[ケアビジネスSHINKA論 Vol.930]

“離職率低下”に対する一つの示唆。

おはようございます、

(株)ケアビジネスパートナーズ の
原田です。

“今年度の介護福祉士国家試験の受験者は、
昨年度の半分以下”

こんな内容の記事があちこちで踊っていますね。

社会福祉振興・試験センターによると、

今年度の国試を受験するための申込みをした
人は、7万9113人。

昨年度の16万919人、一昨年度の16万2433人と
比べると、上記通り、

5割を下回る急激な落ち込みとなっています。

これらの大きな理由として語られているのが、

いわゆる

“実務者経験”

の付加要件。

無資格者なら450時間、

ヘルパー2級を持っているか「初任者研修」を
終えている人なら320時間、

ヘルパー1級を持っている人なら95時間、

という研修受講が負担になっていることは容易に
想像がつく話です。

この事実を捉え、

“制度変更は完全な失敗”

と断罪する方も中にはいらっしゃるようですが、

そもそもこのような落ち込みを見せること自体は
変更当初より十分に予測できたことであり(特に初年度は)、

その意味では

“想定の範囲内”

であるはず、と、私個人としては思います。
(でなきゃ理屈としておかしいですよね)

勿論、だから全く問題がない訳ではなく、

様々な見直し・検証を試みる事も必要かとは
思いますが、

個人的には、もう数年の動きを冷静に見つめる
べきではないか、

と感じる次第です。

では、本日のメルマガに入らせていただきます。

今日の視点──────────────────────────────
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■■“離職率低下”に対する一つの示唆。
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●先日、“職員の離職低下”をテーマに中国地区の介護経営者と意見交換をさせていただく機会があったのですが、その会話の中でふと思い出した事例があり、ご紹介させていただいたところ、「なるほど。。私の中にはなかった発想です」という、とても嬉しい反応をいただきました。この内容、本メルマガをお読みいただいている皆様にも何らかの気付きをご提供出来るかも?と思いつつ、本日のメルマガでご紹介させていただきます。東海地区の介護経営者(A社長)から教わった、離職率低下にまつわる、ある事例についてです。

●A社長は現在、デイサービスに特化して事業を展開されており、堅調な業績を叩き出されています。で、ここからが重要なのですが、何故、デイサービスに特化しているのか?他のサービスに展開しないのか?とうかがったところ、大変シンプルな、でも、とても奥深くもある回答が返ってきました「デイサービスは職員が働きやすい環境を提供出来る事業です。ですから、今のところはデイサービス以外を行うつもりはありません。その中で、“デイサービス”を研ぎ澄ましたいと思っています」A社長の言葉を続けます。

●「顧客ニーズから考えれば、確かに“お泊り”とか、“入居系サービス”の方向に事業を拡大させていく、という選択肢もあるでしょう。しかし、それでは勤務体系も複雑になり、夜勤等含め、職員の定着にも悪影響が出る可能性がある。当然ですが、だからと言って、“お泊り”や“入居系サービス”を展開している事業者を否定・批判する訳では毛頭ありません。ただ、うちは、“職員の定着”“働きやすさ”を最重要テーマの一つとして捉え、その前提の中、出来得る限りの最高のサービスを追求していきたいと思っています」

●予約が1年待ち、とも言われている仙仁温泉・岩の湯(長野県)。大変素晴らしい接客サービスを提供する宿として有名ですが、実はこの宿、社員の生活を考え、5月5日の子供の日やお盆、クリスマス、年末年始等を、宿としての“定休日”としているそうです(温泉旅館で“定休日”なんて、珍しいですよね)。「自分が子供の頃、親が年中無休で働いていて、旅行等にもほとんど行けず、特に夏休み明け等友達の会話についていけなくて、とても寂しい想いをした。でも、自分の親も、どこにも子供を連れて行くことが出来ない事に、恐らく後ろ髪を引かれる思いだったろう。うちのスタッフには、自分の親と同じ想いをさせたくないし、彼らの子供たちにも私と同じ想いをさせたくない」ひょっとすると、同社の人気の一端は、そんな現社長の想いが溢れた“働き方改革”に、社員の皆様が応えた結果なのかもしれません。

●「こうでなければならない」と申し上げるつもりは毛頭ありませんが、とはいえ、これらの事例は私たち経営者・幹部に“何か”を教えてくれているような気もします(特に、“24時間戦えますか?”を歌いながらリゲインを飲んでいた私のような者にとっては^^)。皆様は如何思われましたでしょうか?時代が大きく移り変わり、“働き方改革”という言葉が数多く露出してきている昨今、ひょっとすると一番変わらなければならないのは私たち経営者・幹部なのかもしれませんね^^

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以上、何かのお役に立てれば幸いです。

今日は、静岡県東部にて、某社会福祉法人様と
今後の経営戦略PJTに関する打合せ。

その後、東京へ戻り、介護業界に新たな

“イノベーション”

を巻き起こすかもしれないメンバーとの
会食です。

皆さんは今日、どんな1日を過ごされるのでしょうか?

では、今日も互いに頑張ってまいりましょう!

今朝もお付き合いいただき、ありがとうございました。