[ケアビジネスSHINKA論 Vol.749]

この地方路線バス会社の事例から何を学ぶか。

おはようございます、

(株)ケアビジネスパートナーズ の原田です。

皆様はゴールデンウィーク、如何お過ごしでしょうか?
(介護施設には関係ないところも多いですよね、本当に
お疲れ様です!)

私はと言えば、この時とばかりに、体力復旧(?)と
デスクワークに取り組んでいます。

後半戦も、ゴールデンウィーク終了後の動きに弾みを
つけることが出来るよう、

充実した時間を過ごせるように意識してまいる所存です。
(勿論、日頃の感謝の気持を込めて、家庭サービスにも
しっかり取り組みます!)

では、本日もメルマガの中身に入らせていただきます。

今日の視点──────────────────────────────
■■
■■この地方路線バス会社の事例から何を学ぶか。
■■
───────────────────────────────────

●先日、中国地区の介護経営者様・幹部の皆様と今後の方向性について議論をさせていただいた折、思うところがあり、他業界のとある取り組み事例をご紹介させていただいたところ、「う~ん、、、決定的に、私たちに足りない部分ですね、、、」という気付きの言葉をいただきました。今日は、皆様にもその時のお話を共有させていただきたいと思います。2012年、40年ぶりに客数増で増収となった北海道の路線バス会社、十勝バス株式会社の取り組みについてです。

●同社の管轄である十勝管内は、皆様も想像がつく通り、いわゆる“過疎エリア”と呼ばれる地域。加えて、2008(平成20)年、業績悪化と原油高が経営を圧迫し、これ以上金融機関から融資を受けられない状態に陥った同社は危機感に背中を押され、野村文吾社長を筆頭に、役職者30名が自らバスのチラシを住民に配り、路線バスに対する意見を聞いて回る、という、前代未聞の「御用聞き活動」作戦に打って出ました。

●とはいえ、路線バスが走る地域は広大なエリア。そこで同社は、人口の割には利用人数が少ない“白樺通19条”バス停を中心とした周囲200mに先ずは絞って行動を開始する、という、「小さな」、でも、「顧客の本音に触れるには極めて有効な」行動から始めました。

●そして、この行動が結果として、同社の未来を切り開くことにつながります。詳細は割愛しますが、直接お会いして様々生の声を拾い上げる中、彼らは、当初予想していた「“不便だから”バスに乗らない」お客様以上に、「家の前をバスが走ることは知っているけど、どこに行くバスかわからない」「どうやって乗ればいいのか分からない」等々、日頃バスを活用していないが故に生まれている様々な“不安”からバスを敬遠している人が大多数だった、という衝撃的な事実に突き当たりました。また、それと同時に、バスは目的地へ辿り着くための“手段”に過ぎず、“目的”にはなり得ない、という当然の事実にもあらためて気付くことに。この問題をど真ん中から真摯に捉え、考動に移し始めたのが、同社の「革新」の始まりです。

●彼らはお客様がバスで感じる不便や不安を社員間で話しあい、一つ一つ、分かりやすい具体的な改善策を施していきました。その中で生まれてきたのが、「日帰り路線バスパック」「通院や買物など、目的別時刻表の作成」「通学定期で土日祝日、帯広市内全域を乗り放題に変更」「十勝バス×タクシー業界によるコラボ企画」「十勝バス×十勝神社による縁起シールの作成」等々、“バスを利用する事”そのものではなく、自然にバス利用の需要が生まれることにフォーカスした新たな試み。

●これらの取り組みを推進する中、従来の事業では考えられなかった“お客様からの感謝の声”も届くようになったとのことで、いつしか社員の士気も上がり、自信と誇りをもって現場に向かうようになったそうです。その後、引き続き様々な取り組みを行う同社は、「目的提案企業」という合言葉と共に、路線バス会社らしからぬ面白い取り組みを続け、今なお、地域住民や観光客を惹きつけ続けています。

●我々はこの事例から、一体何を学ぶことができるのでしょうか?様々な切り口・観点があろうかと思いますが、私は特に2点が重要ではないか、と認識しています。1つ目は、いわゆる“インサイト”の重要性。“インサイト”とは、簡単にいえば“理屈ではない、消費者の感情的・直感的ホンネ”と捉えて差し支えないと思います。そこを捉え、そこにダイレクトに働きかける商品やサービスを設計すれば、必ず売れる。そんな“心のツボ”を捉えることこそが、事業の成否を左右する“心臓部”と申し上げても過言ではない、ということ、これが1点目です。(今回は、“不便”ではなく、“何となく不安”というインサイトを見出すことが出来たが故の成功、と理解する事も出来るでしょう)

●そして2点目は、その「インサイト」を知るには、ニーズ把握の次元を飛び超え、妥協・ごまかしなく「突き詰める」しか方法がない、ということです。上記例で考えれば、部下に代わりに回らせたり、或いはアンケートを依頼する等の方法もあったかもしれない中、経営者を始めとする幹部自らが1件1件見込顧客の自宅を飛び込み訪問する、という、通常の感覚では“有り得ない”でも、“最も効果的であろう”方法を選択し、顧客の言葉の裏側に潜む“内なる声”“声なき声”に素直に耳を傾けるという「突き詰め」を行ったからこそ、到達することが出来たのではないでしょうか。

● 現在、多くの事業者が今後の存続・発展をかけ、自社の今後の在り方について見直しを図ったり、或いは新サービスを生み出そうと努力されていると思います。その“生みの苦しみ”の過程の中で、皆様はどれだけ対象顧客の“インサイト”を捉える事が出来ているでしょうか?或いは、どれだけ“インサイト”にダイレクトに到達する行動を積み重ねることが出来ていますでしょうか(例えそれが面倒やストレスを感じる行動であったとしても)?

もし、今回のメルマガをお読みいただいて“ドキッ”とされた方がいらっしゃるならば、“インサイト”という言葉を胸に、今一度、今、考えている事業やサービスの根本やプロセスを見つめ直しても悪くないかもしれませんね。

※参考ページはこちら

http://www.hokkaidolikers.com/articles/1901

───────────────────────────────────

以上、何かのお役に立てれば幸いです。

今日は、朝から夕方まで都心で打合せ。

夜は、某北関東地区の医療法人の採用担当
の方と打合せ兼懇親です。

皆さんは今日、どんな1日を過ごされるので
しょうか?

では、今日も互いに頑張ってまいりましょう!

今朝もお付き合いいただき、ありがとうございました。