おはようございます、金曜日担当の尾添です。
仕事をしながら家族を介護する人は、介護業界外の読者に最も直接関係するテーマの一つです。
経済産業省は2026年3月に、企業向けの「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイド
ライン」を更新しています。
介護に関わるからこそ無視できない、知っておきたい事項。
過去にも取り上げた課題、改めて注目します。
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■■ ビジネスケアラー問題の現在地
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◆仕事をしながら家族を介護する「ビジネスケアラー」。
介護は本人や家族だけの問題ではなく、人材確保や生産性にも関わる経営課題になっています。
総務省の2022年就業構造基本調査の報告では、介護をしている628.8万人のうち、有業者
は364.6万人。
経産省は別の定義で、2030年には仕事が主の家族介護者=ビジネスケアラーが約318万人と
なり、介護離職や生産性低下などによる経済損失は約9.2兆円に達すると試算しています。
しかも、その大部分は離職そのものではなく仕事と介護の両立困難による生産性低下に起因。
つまり、企業が見るべきなのは「辞めた人数」だけではありません。
急な連絡、通院同行、睡眠不足、将来への不安などによって、出勤していても十分に力を発揮
できなくなること自体が大きな経営リスクになり得るのです。
◆2026年2月の施政方針演説で高市総理は「介護が原因の離職を減らす」と明言し、家事支援
サービスなどの利用促進に向けた負担軽減を進める方針を示しました。
さらに7月には、家事・育児・介護による離職を防ぎ「キャリアを諦めることなく」働ける環境
を整備する考えを表明しています。
日本成長戦略でも、家事支援サービスの品質向上や人材確保、税制措置を含む経済的支援策の
検討が進められています。
象徴的なのが8月31日の総理発言です。
介護関係の表彰式で、利用者家族について「自分のキャリアを諦めずに、家族との時間も諦め
ない」というメッセージを残しています。
介護と仕事の両立が、福祉政策だけでなく「人材を失わない政策」として位置づけられつつあり
ます。
◆企業側の対応も変わりつつあります。
2025年4月施行の改正育児・介護休業法により、企業には介護離職防止のための雇用環境整備
や、介護に直面した社員への制度の個別周知・意向確認、40歳前後での事前の情報提供が義務
化されました。
介護のためのテレワーク導入も努力義務とされています。
◆知っておきたいのが、介護休業は「自分が介護に専念するための休み」ではないということ。
介護休業は対象家族1人につき通算93日、3回まで取得できますが、ケアマネジャーへの相談
や介護サービスの手配、家族の役割分担など、仕事を続けられる体制を整える期間として活用
することが重要です。
経産省も2026年3月に経営者向けガイドラインを改訂。
さらに、6月には「仕事と介護の両立支援」を対象に、ヘルスケアデータを活用したサービスの
実証・社会実装を支援する事業も打ち出しました。
制度面に加え、企業、地域、民間サービスを組み合わせて支える方向へ政策は広がっています。
◆親の介護は突然始まることがあります。
でも、だからと言って準備まで突然にする必要はありません。
社員が早めに相談でき、介護サービスを使いながら仕事を続けられる職場をつくること。
福利厚生ではなく、これからの企業にとって「人材を守る経営戦略」になるのだと思います。
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もちろん、介護事業に従事する人もビジネスケアラー当事者になり得ます。
介護の現場で働きながら、自分自身の親の介護も気にかける。
他人事ではありません。
ケアは、利用者・入居者だけでなく、その家族にも必要ですね。