米の値上がりが止まりません。
連日のようにニュースで目にしており、スーパーマーケットで販売される5キロの米の平均
価格が4千円を超えるなど家計に直結する事態に。
このニュースを見ながら、かつて日本政府が行った減反政策のことを思い出しました。
(直接的な関連性の有無を論ずるものではありません。)
少し介護・福祉を離れ、でも私たちに直結する問題として採り上げてみたいと思います。
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■■たわけもの
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◆今週22日の閣僚会議後の会見で農林水産相が「備蓄米を出しても店頭価格が下がらない。
責任を重く感じている。申し訳ないと思っている。」と謝罪しました。
冒頭にも書いた通り米の値段が上がり続けていることに対するコメントとして。
政府が行う備蓄米の放出も事態収拾には繋がらず、これで15週連続の値上がり。
家計はもちろん飲食店や給食・弁当業者にも大きな影響を与え、その影響は食事を提供する
福祉施設や事業者にも及びます。
◆言うまでもなく米は日本における主食であり、太古の昔から生産されて生活や健康を支え、
まさに日本を象徴する食物です。
そんな米も、1960年代後半から1970年代にかけては生産量が消費量を大幅に上回る「過剰
生産」状態にありました。
農業の機械化が進んだことで生産効率が向上し、一歩の消費面では食の多様化やパンや麺類
の普及により消費量が大きく減少していたことなどが要因とされています。
その打開策として、決して安易に考えられたわけではないと思いますが、米の過剰生産を抑え
て米価を安定させることを目的とし、1971年に減反政策が実施されました。
この政策により一時的には市場の混乱を防ぎましたが、「意欲の減退による生産能力の低下」
「農業従事者の高齢化と耕作放棄地の増加」など深刻な諸問題を引き起こし、2018年に減反
政策は廃止されます。
しかし政策廃止後も生産量は回復することなく供給不足が続き、また海外需要の高まりなどの
新たな要因も加わって、現在の米価の高騰に繋がる一因とされています。
◆突然ですが、「たわけもの」という言葉をご存じかと思います。
日常生活で登場する機会はほとんどないかも知れません。
あまり使いたくはない言葉ですし、絶対に言われたくない言葉です。
語源について諸説ありますが、その有力な一つが「田分け者」だという説です。
田畑を子供たちに均等に分けると世代を経るごとに土地が細分化されて農業経営が成り立た
なくなるという問題が生じ、結果として家系が衰退し、地域全体の農業基盤が弱体化するこ
とを指摘したもの。
土地(農地)を分割相続することの愚かさを強調するような語源説です。
この「たわけもの」という言葉の語源(諸説あります)「田分け者」は単なる言葉の由来を
超えて、今この状況だからこそ農業政策や社会の在り方に関する深い教訓を私たちに伝えて
くれますし、その教えは土地や農に関してだけではないと思います。
◆決して減反政策を否定・非難する意図はありません。
結果として大きな問題に繋がっているかもしれませんが、その当時に私たちが一票を投じた
政治家を通じて決定した政策です。
大切なのは、起こっている“私たちの”問題に対して意識をもって考えること、そして教訓
を他に活かすこと。
そうでないと、私たちも言われたくない言葉を投げつけられることになるかも知れません。
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今回の話、企業における戦略・計画・意思決定のケーススタディとしても応用できそうです
よね。
たわけもの・・・
規模や事情は違えど、不確定な未来を背負いながら、私たちは日々経営・マネジメントして
いるのです。