[ケアビジネスSHINKA論 Vol.2838]

対処療法と予防策

みなさん、おはようございます。
金曜日のメルマガ担当、ケアビジネスパートナーズの尾添です。

先週から今週にかけて、国や自治体の方々と介護に関する意見交換の機会が続きました。
主に介護保険制度に関する話し合いを行ったのですが、どうにも議論が噛み合いません。
うーん、イライラ。。
その特に頭に浮かんだのが本日のタイトル『対処療法と予防策』についてです。

それでは本日のメルマガです。

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■■対処療法と予防策
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◆対処療法とは、根本的な原因の治療ではなく目の前の症状や問題に対して一時的に対処す
る治療法を指します。
例えば、風邪をひいた時に熱を下げるために解熱剤を使用することや、痛みを抑えるために
鎮痛剤を用いることなど。
苦痛を即座に緩和するなど分かりやすいのですが、根本的な解決には繋がりませんね。
そこで現代医療においては、この対処療法に加えて根本治療(病気の原因を取り除く治療)
も併用されます。
例えばガン治療において、一時的な痛みを和らげるための対処療法と、ガンそのものを治療
する根本治療が組み合わされるといったケースがあります。

◆これらの言葉は医療現場に限ったことではなく、あらゆる課題・問題解決の場面において
も用いられます。
例えば、唐突ですが次のような地域課題を想定してみます。
①身体の虚弱や免許返納など様々な問題から外出が困難な高齢者が増えている。
②買い物等に加え、受診や薬購入など健康に直結するサービスを受けられない人が多い。

◆私たちがよく耳にする行政の対応策は「タクシー券の配布」「コニュニティーバスの整備」
などの支援です。
まさに対処(療法)と言える取り組みですね。
もちろん助かる人もいるでしょうが、それが根本的解決に繋がっているかと言えば必ずしも
そうとは言えません。
そもそも足が痛くてタクシーやバスに1人で乗り込めない場合はどうするのか、また現時点
で外出や活動に困難を感じている人は半年後・1年後にはさらに困難度合いが増している恐れ
だってあります。

◆そこで視点を変えて、家から出なくてもサービスが受けられる方法を考えます。
例えば「訪問診療・看護などの整備・支援」「宅配サービスへの支援」など。
これを根本(治療)といって良いのかは・・・微妙ですが、利用者の状態の変化があっても必要
なサービスの提供が持続できるという意味では持続性が期待できますね。
しかし、先に挙げた地域課題には、より大きな課題が続くことが多いのです。
③社会保障費や医療費の支出が年々増加し自治体財政を圧迫し、将来的な破綻が懸念される。

◆この課題・問題は対処療法だけでは解決できず、本質を見極めたうえでより根本に迫る治療
(対応)が求められます。
年金制度や医療制度そのものの見直し等も必要になるかもしれませんがハードルは高く、それ
でも限界はあります。
そこで必要となるのが長期的な視点に立ったうえでの『予防策』です。
ここに真剣に取り組まない限り、国や地域の未来はありません。
行政が何もやっていないことはありませんが、見えにくい(分かりにくい)のも事実。
過去やルールを守ることだけに捉われない、これからの福祉行政には創造力や企画力が求め
られていると感じます。

◆なんか回りくどくてスイマセン。
介護予防について、もっともっと議論が盛り上がって欲しいのです、ワタシ。

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これらは決して行政だけの問題ではなく、私たちみんなの問題です。
今のままの生活を続けていれば自分の将来がどうなるか何となく分かっているはず。
何もせず困ってから「何とかしろ」と訴えるのは無責任なことです。

朝起きられず遅刻してしまうという問題の解決策は、強力な目覚まし時計を買うこと?
自転車ではなくバイク通勤にすること?
いやいや。。
自分の身体バランスを知ること、そして規則正しい生活となるよう見直すこと等ですよね。
私たちの業界において、どうも目覚まし時計の開発合戦になっているような気がするのです。