[ケアビジネスSHINKA論 Vol.2591]

レモン市場の教訓

みなさん、おはようございます!
毎週金曜日の担当、ケアビジネスパートナーズの尾添です。

採り上げるべきか迷っていたら1週間が過ぎました。
レモン(果物)の話ではありません、世間を賑わせているビッグモーター社に関する話です。
もともと中古車流通業界で起業した経緯もあり、業界への愛着から思うところは多々あります
が、久しぶりに思い出した言葉をもとに、できるだけ冷静に考えてみたいと思います。

それでは本日のメルマガです!

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■■レモン市場の教訓
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◆タイトルにある『レモン市場』とは、商品やサービスの品質を売り手は分かっているが、
買い手にとっては分からないといった情報の非対称性がある市場のことであり、経済学用語
の一つです。
このような市場では、品質の良い商品やサービス(ピーチ)を安く買いたいと求める買い手
に対して、売り手は品質の悪い商品やサービス(レモン)を高く売ろうとします。
十分な情報が届かなかったり分かりにくかったり、とにかく買い手は品質の良し悪しが判断
できず、レモンを買わされるリスクを考えて低い価格しか払わなくなるとされます。
その結果、品質の良い商品やサービスは市場から消えてしまい、品質の悪い商品やサービス
ばかりが出回る『市場の失敗』と呼ばれる現象に繋がります。

◆なぜレモンなのか?
レモンという言葉は英語で欠陥品を意味する俗語とのことで、また皮が厚くて中身が見えない
レモンになぞらえてとある経済学者が提唱したのが『レモン市場』の由来とされています。

◆そして奇しくも、レモン市場の代表例とされるのが“中古車市場”そして“保険市場”なの
です!
中古車市場では、売り手は車の状態を知っていますが、買い手は見た目からは分かりません。
保険市場では、契約者は自分の健康状態やリスクを知っていますが、それを正しく申告しなけ
れば保険会社は分かりません。
このような情報の非対称性から、品質の低下や逆選抜と呼ばれる問題が起こるとされています。

◆報道されていることが事実であれば、ビッグモーター事件はとんでもないことであり、業界
に与える影響は小さくありません。
中古車市場がまさにレモン市場であると証明するような事件。
業界への疑心暗鬼は増すでしょうし、真面目に営業する同業者からすれば許せないことです。
同社会長は先日の記者会見でゴルフ業界への冒涜と良く分からないことを言っていましたが、
顧客・取引先・業界全体に対する冒涜であり、レモンへの冒涜でもあります!

◆ちなみにChat-GPTに「レモン市場の問題を解決するためには」と聞いてみました。
すると、自助努力や第三者機関による品質チェックなどと並んで、市場の規制や国家の介入が
必要との答え。
ちょうど国や特捜が動き出したとの報道もあり、これから事件の全容が明らかになっていくの
だと思います。
いずれにしても社会的コストをもって解決していくことになり、そのコストは最終的に消費者
が負担します。
社長は役員を辞任するようですが、100%株主という権利が守られる以上、痛みは限定的。
なんとも・・・やるせない事件です。

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ニュースを見る度に聞こえてくる「保険金の不正請求」という言葉。
そういえば・・・我々の業界も保険(金)とは切っても切れない関係にあります。
レモン市場の教訓、そして今回のビッグモーター事件、我々は他山の石として学ばなければ
いけません。

みなさん今週もお疲れさまでした。
明るい話題でなくてゴメンなさい、素敵な週末をお過ごしください!!