[ケアビジネスSHINKA論 Vol.1163]

某ブランドの歴史から“環境適応”の奥深さを考える。

おはようございます、

(株)ケアビジネスパートナーズ の原田です。

皆様、新報酬には既に目を通されましたでしょうか?

まだ確認できていない、とおっしゃる方は是非、

下記をご参照下さいませ。
(特に資料1・資料2)

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000192309.html

では、本日のメルマガに入らせていただきます。

今日の視点───────────────────────────────────
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■■某ブランドの歴史から“環境適応”の奥深さを考える。
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●先日(と言っても昨年の11月頃でしたが)、関西地区の介護経営者(A社長)と意見交換
させていただいた時の事。「企業は環境適応業」をテーマに今後の大きな方向性について議
論を行う中、「A社長にはこの会社の事例がしっくりくるかもな」と思い、とあるブランド
企業の事例をお伝えさせていただいたところ、「言葉でうまく表現しづらいですが、なんだ
か頭の中が動き出し始めています」という、とても嬉しい反応をいただくことが出来ました。

●この事例、A社長同様、何らか刺激として活用いただける方も中にはいらっしゃるかもし
れない?という想いのもと、今日は是非、その時の内容を皆様にも共有させていただきたく
存じます。「エルメス社は何故、馬具メーカーから今のような業態へ転進したのか」という
テーマについてです。

●バッグを始め、腕時計、宝飾品等、歴史と共に確固たる地位(ブランド)を築いてきたエ
ルメス社。そんなエルメス社の創業の出発点は、1837年にパリ市内で開いた「馬具工房」
にあることは、意外にも知られていない事実の様です。

●当時、高貴な階層の方々の移動手段は専ら“馬車”。中でも彼らは自らのこだわりを表現
するための方法として“馬具”にこだわり、そのこだわりを体現させることで、エルメス社
は貴族たちの信頼を勝ち取ると共に、匠の技を磨き続けていきました。

●しかし、時間の経過と共に時代はいわゆる“第二次産業革命”へ突入。一つ一つの製品を
職人自らが担う“手仕事”ではなく、工業製品を“大量生産”するスタイルがどんどん進行
する中、高貴な方々の移動手段も馬車から“車”へと移り変わるようになり、それに伴い、
エルメス社の“馬具制作”という事業も右肩下がりに落ち込みを見せ始めます。

●時代は大きく変わりつつある。この環境変化の流れにうまくのっていこう、ということで、
“工業化”の道へ新たな一歩を踏み出していくのか。それとも、“エルメスらしさ”を大切
に、異なる生き残りの道を模索するのか。悩んだ挙句に3代目エルメス家当主、エミール・
エルメス氏が生み出した答は、「工業化の波に乗らず、エルメスの強み・価値である“高度
な職人手仕事”を突き詰めていくことを生業に据える」というもの。

●では、先ずはどの分野で”高度な職人手仕事”の力を発揮しようか?と私案したエミール氏
は、自動車社会が訪れることで必然的に需要が増すであろう、という見立てと共に”バッグ”
制作に着目。”高度な職人手仕事でつくるバッグ”という新たな領域への参入を皮切りに、以
降、高度な“技術者集団だから出来る”匠の領域・製品を着実に拡大していき、その一つ一つ
の歩みを愚直に積み重ねた結果、現在のエルメスが出来上がってきた、という訳です。。。。

●ともすれば「時代に乗り遅れるな」という安易(?)な言葉に変換されることもある“環
境適応”という言葉。しかし、本当の“環境適応”とは、時代の変化を客観的に見つめる中、
「何を変え、何を変えないのか(=何を大切に守るのか)」「何を独自価値として生き残って
いくのか」を突き詰めて考え、“決断”していく事なのかもしれません。。。。

●さて、上記事例、皆様はどのようにお感じになりましたでしょうか?もし少しでも心にひ
っかかりを感じていただけた方は、一度、自社の未来を見据えながら、あらためて思考を深
める時間を取られてみても悪くないかもしれませんね。

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以上、何かのお役に立てれば幸いです。

今日は、都心で打合せ&デスクワークの後、

明日の仕事場、京都へ入ります。

皆様は今日、どんな1日を過ごされるのでしょうか?

では、今日も互いに頑張ってまいりましょう!

今朝もお付き合いいただき、ありがとうございました。