“リスク”という言葉に逃げない。

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介護経営エナジャイザー 原田匡が日々感じたこと・考えていること、介護
経営に役立つ情報等をお届けします!
(※)エナジャイザー:エネルギー(energy)や活力を提供する人
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本メールは名刺交換、セミナー、問合せ等を通じて原田匡と接点があった
介護事業者及びその関連の方々に送信させていただいております。
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おはようございます、CB-TAG
(シー・ビータッグ)の原田匡です。

今から5年前、生活相談員候補として、
介護経験25年のベテラン社員(男性)が
当社に入社してきた時のことです。

期待をかけて入社してもらったのですが、

試用期間中のケアに対する姿勢や発言を
聞く中で私や管理者は不安を感じ、

「候補」のまま、相談員としてではなく、
しばらくの期間、介護社員として働いて
もらっていました。

私が彼に対して感じていた違和感はいくつも
ありましたが、

中でも最大だったのは、「リスク」に対する
姿勢でした。

「この方を受け入れると、他のご利用者に対する
ケア品質が落ちます。わが社のリスクが高まる
だけですのでお断りしましょう」

彼はそう言って、管理者や正規の生活相談員に
相談する前に、自分で勝手に利用申し込みを断って
しまいます。

しかも、そのことを私たちに、とても誇らしげに
報告をしてきます。

困り果てて相談してきたかもしれないご利用者や
ご家族、ケアマネージャーに対して、

軽はずみにお断りしてしまうのは、

私からすればあまりにも軽率であり、

サービス業に携わる身として、

“失格”

であるとしか言いようがありません。

また、ご利用者やご家族からの要望について
社内会議を開いていた折も、彼は、

「それは当社としてリスクが大きいからやるべき
ではない。」

という発言を繰り返していました。
 
彼の言う通り、若い世代ではない、高齢者と接する
我々の仕事においては、

「リスク」という概念についてはより敏感に、
かつ、慎重に対応すべきであることは言うまでも
ありません。

しかし、彼の発言を聞くたびに、私の中では、

「結局のところ、リスクを盾に、手がかかる要求に
いろいろと出来ない理由をつけ、実現を試みようと
していないだけではないか?」

「出来ないのではなく、やりたくないだけなのでは
ないか?これ以上しんどい想いをしたくないだけでは
ないか?」

という想いが頭の中をぐるぐる回っていました。

というのも、彼の発言には、

「どうすれば受け入れることが出来るか?」
「どうすれば実現することが出来るか?」

という「受け入れが出来るようになるために」という
趣旨の発言が一切なく、

まるで上からご利用者を「評価」しているだけのように
私には映っからです。

そのことを彼に伝えると、

「今の人数やシフトでも十分に現場は大変なのに、
また利用者を増やすつもりですか?」

「原田さんは現場を苦しめたいんですか? 
いじめたいんですか?現場を知らないからそんな
こと言えるのですよ」

そのような類の反論が山のように返ってきます。

しかし私はこの事業所の経営者であり、経営者として
大切にしたい価値観があります。

「現場が大変なのはわかっているつもりだし、日々、
頑張ってくれている皆にはいつも感謝しているよ。

でも、そこを理解しているという前提で、当社の
理念に照らし合わせて君たちに考えてもらいたい。

こちらのご家族は、困ってわが社に電話をかけて
きたわけだよね。『助けてください』と連絡してきた
方に対して、深く考えずに『手一杯だから無理です』
なんて言うのが、果たしてわが社の姿勢なんだろうか?

そんな介護をしたくて皆はうちに集まってくれたの?
それが、介護サービスのプロの仕事だと言えるのだろうか?」

時には他の社員も巻き込んで、ケンカ腰の言い合いに
なりながら、私はこのリスクについて何度も議論を
してきました。

勿論、私たちはスーパーマンではありません。

ご利用者の要望が全て叶うようにサポートしたい、
と思っていても、現実的にはできないことも
たくさんあるでしょう。

しかし、できる限りの努力をする気持ちと行動は
絶対に放棄してはいけないのではないでしょうか。

難しい要望や現実に対して、「できません」「無理です」と、
すぐに諦めてしまうようでは、

お金をいただいてサービスを提供しているプロとしては
失格です。

「できないと思っても、もしできる方法があるとすれば
何だろう?と考えてほしい。

最低10個の工夫を考えて、それでも駄目だったら

『申し訳ございません』と言って、我々の力不足を
お詫びするしかないよね。

でも、それでも、その方の要望を叶える施設を一緒に
探すぐらいの共感力が必要なんじゃないかな。」

私は、社員にいつもそう言っています。

ちょっと危ないから……。面倒くさいから……。
これ以上、仕事を増やしたくないから……。

そんな理由で簡単に断っていては、企業としての
成長など程遠い話です。

我々には、顧客の幸せの為に「為し遂げたい」介護が
あるはずです。

そして、それらを安心・安全に為し遂げるために、
プロセスにおいて起こり得る潜在的問題(リスク)を
予測し、

・発生の可能性(どれくらいの頻度・確度で発生するか?)
・発生時の重大性(どれだけ大きな影響を及ぼすか?)

を冷静に考え、それらに対してあらかじめ防御策や
対応策を準備する。

その姿勢こそが、「リスク」というテーマに大して
我々介護事業経営者が持つべき見識ではないでしょうか。

是非、自社の経営に内在する「リスクマネジメント」に
対するとらえ方をしっかりと確立していただきたいと
思います。

以上、何かのお役にたてれば幸いです。

今日と明日は、介護特化を志す税理士・会計士の先生に
向けての集中研修です。

参加いただく皆様に喜んでいただけるよう、
気合を入れて臨みます。

では、今日もお互い頑張ってまいりましょう!

今朝もお付き合いいただき、ありがとう
ございました。

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原田匡の2冊目の著書、

「介護事業所経営の極意と労務管理・労基署対策・助成金活用」

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CB-TAG(シー・ビー・タッグ)
(介護経営総合研究所)

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           ~Visionary Care Company~

社会貢献と利益創出の両立に真剣で、成長・進化を目指す介護事業者に、
業界特性を踏まえた有益な経営情報の発信、及びツールの開発・提供を
行う。その結果、「地域で最も愛され、必要とされ、関わる全ての人々を
幸せに出来る会社=「Visionary Care Company」を多数創出し、介護業界
活性化の中心的存在となる。
それが私たち「シービータッグ」のビジョンです。
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 します。また、その際は、「介護経営エナジャイザーの原田匡によると」
 と一言付け加えていただければ嬉しいです。後は、皆様の良心にお任せ
 します。
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