理念は昇華する

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介護経営エナジャイザー 原田匡が日々感じたこと・考えていること、介護
経営に役立つ情報等をお届けします!
(※)エナジャイザー:エネルギー(energy)や活力を提供する人
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本メールは名刺交換、セミナー、問合せ等を通じて原田匡と接点があった
介護事業者及びその関連の方々に送信させていただいております。
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おはようございます、CB-TAG
(シー・ビータッグ)の原田匡です。

私はサラリーマン時代、コンサルタント
として、

ある外食企業の事業拡大を支援する仕事に
就いていました。

今では上場し、独特の業態で全国各地に店舗を
構えるほどの規模になった同社ですが、

私が関わっていた約10数年前は、

あらゆる意味において、企業としてまだまだ
発展途上の状態で、

正に、「家業」から「事業」へと変貌を
遂げようとしていた時期でした。

私は何故か、この社長にとても可愛がって
いただいていて、
(恐らくこの会社の展開する業態が本気で
好きで、よく通っていたからだと思いますが(笑))

よく、二人でお昼ご飯を食べにも連れて
いっていただきました。

そんなある日、私は、社長に前々から
聞きたかった、ある質問を投げかけました。

何故、上場したいのか?

何故、全国に店舗を拡げたいのか?

ビジネスマンとして、経営者としての“成功”
を得たいからなのか?

今考えると、かなりダイレクトな質問だったの
ですが(苦笑)、

その瞬間、いつも冗談ばっかり言っていた社長の
表情がサッと変わりました。

「なんか、まずいこと聞いたかなぁ」

しまった、と思い、どうしよう、、、と思っていた
矢先、

社長が私に話してくれた内容は、今でも私の心に
はっきりと残っています。

その社長は24歳から自分でビジネスを始め、

1号店として、関西でパブレストランを開店
したのですが、

持ち前のホスピタリティと調理技術で、

数年も経過しない間に10店舗を超える程度の
規模にまで成長していました。

そして、事業としてかなりの利益をあげていた
28歳の時、社長にとってある衝撃的な出来事が
起こったそうです。

ある日、店で一生懸命働いてくれていた一人の
男性が、社長に報告をしてきました。

「実は、結婚したい女性がいるんです。」

「そうか、おめでとう。式とかの日取りは
もう決まってるんか?お祝いせなあかんなぁ」

「お前もいよいよ家族持ちになるんか。これからも
人一倍頑張らなあかんよな」

可愛い社員からの報告を受けた社長は、つい嬉しくて、
或る意味、その社員以上にはしゃいでしまっていた
そうです。

しかし、その社員は浮かない顔をしています。

「どうしたんや?嬉しい話と違うんか?」

不思議に思った社長は、社員に尋ねました。

「いや、実は、向こうの親御さんが反対して
いまして、結婚を許してもらえないんです。」

外食ビジネスというものは(当時)不安定な
仕事だと思われており、

しっかりとした仕事をしていない男性に、

自分の可愛い一人娘を嫁に出すわけにはいかない、

というのが先方の父親の反対理由でした。

それを聞いた社長は、

「よし、分かった。うちの会社はこれからもっと
成長するし、今でも十分利益が出ていて、儲かって
いる。この状態を説明すれば、きっとお父さんも
お前との結婚を許してもらえるに違いない。

そうだ、それなら、俺が直接会って、お父さんに

“安心して下さい”

と伝えに行こうやないか。

それと同時に、

うちの店で一生懸命頑張って働いてくれているお前の
ことも、こいつは信頼できる、人間的に絶対大丈夫な
男や、と俺の口からしっかり伝えるようにしよう。

大丈夫、お父さんだってきっと許してくれる。
お前の親代わりとして、俺がお父さんに会うよ。」

この男性が早くに両親を亡くしていたこともあり

年の差は僅かながらも、社長は、

この男性を息子か弟のように思っていたのです。

しかし、先方のお父さんから言われたある一言が、
この社長を奈落の底に突き落とします。

それから数日後、社長は、その社員の親代わりとして、
結婚の承諾を得る為、男性社員と共に相手の女性の
実家を訪ねました。

そこで、自社の繁盛ぶり、そして、その社員の人となり
について自信を持って語ったそうです。

「私が彼の身元引受人になります」

そこまで話をしたのですが、ジッと黙って腕を組んで
いたお父さんは、予想もしない一言を社長に浴びせかけ
ました。

「なんぼ言われても、水商売をやっているような男性とは
結婚させるわけにはいかない」

社長は、自分は、外食ビジネスをやっている、と思い
込んでいました。

それにも関わらず、自分が一所懸命やっている商売が

“水商売”

だなんて。。。。。

愕然とした社長は、次の言葉が出なかったそうです。

そして、横で固まり、うつむいている彼を見ながら、

社長は、

「こいつを始め、本当に一所懸命やっている従業員
たちに申し訳ない。」

という思いと、

「一生やっていったとしても水商売としか見られないような
仕事はあかん。社会に認めてもらえる仕事にしなくては…。」

という思いが交錯した、と言います。

「自分の事業は単なる水商売ではなく、産業としてみとめられる
もの、すなわち外食産業のなかで誇れる地位を獲得しなければ
ならない。

そして、外食産業を世の中に認められる産業にしなければならない。
それが一所懸命やっている従業員たちに報いる自分の使命だ。」

そう固く心に誓った社長は、自分の事業の目的が単なる収益を
確保することだけでなく、

誰もが誇れる会社にしよう、

そして、自分が頑張ることで、

自らが身を置く外食産業の地位向上も実現しよう、

そう思われたそうです。

「色々理由はあるけれど、実はそれが、自分の大きな原点の
1つかもしれん」

少し恥ずかしそうに話してくれた社長の顔は、
今でも鮮明に覚えています。

“理念は昇華する”

当時在籍していたコンサルティング会社の会長に
教わった言葉です。

始めは、

“お金を儲けたい”
“社長になりたい”

から始まったって構わない。

でも、人を雇い、組織をつくり始めたら、
会社は、もう既に自分自身のものだけではなくなって
くる。

その過程の中で如何に自らを客観視し、経営者として
どう成長させていくことが出来るか。

会社が成長するかしないかの分かれ道は、小難しい
経営論とは別に、意外にそんなところにあるのかも
しれませんね。

以上、何かのお役にたてれば幸いです。

今日は朝一から都心で、私のパーソナルトレーナーと
打合せ。

その後、クライアントとの打合せが続きます。

では、今日も1日、互いに頑張ってまいりましょう!

今朝もお付き合いいただき、ありがとう
ございました。

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CB-TAG(シー・ビー・タッグ)
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社会貢献と利益創出の両立に真剣で、成長・進化を目指す介護事業者に、
業界特性を踏まえた有益な経営情報の発信、及びツールの開発・提供を
行う。その結果、「地域で最も愛され、必要とされ、関わる全ての人々を
幸せに出来る会社=「Visionary Care Company」を多数創出し、介護業界
活性化の中心的存在となる。
それが私たち「シービータッグ」のビジョンです。
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