量販激戦区で勝ち残った電器屋さんの話

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介護経営エナジャイザー 原田匡が日々感じたこと・考えていること、介護
経営に役立つ情報等をお届けします!
(※)エナジャイザー:エネルギー(energy)や活力を提供する人
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本メールは名刺交換、セミナー、問合せ等を通じて原田匡と接点があった
介護事業者及びその関連の方々に送信させていただいております。
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おはようございます、CB-TAG
(シー・ビータッグ)の原田匡です。

皆さんは、東京都町田市にある
“最強”の街の電器屋さん

「でんかのヤマグチ」

をご存知でしょうか?

町田市とその周辺は人口急増地域という
こともあり、

大手家電量販店の進出が相次いだ時期が
ありましたが、

今ではその半数程度が撤退しています。

そんな中、各地で大苦戦を強いられている
街の電器屋さんを尻目に、

でんかのやまぐちは着実に業績を積み上げてきて
います。

とはいえ、大手量販店が進出してきた当初は
他店同様、大変な経営難に陥り、

社長の山口氏は思わずその苛立ちをメーカーの
担当者にぶつけたこともあったそうです。

「うちはね、今まで誇りを持って売ってきたんだよ!
あんた達メーカーさんの言う、卸値で仕入れてきたんだ。
この卸値で、量販店みたいな安い金額で売れるわけがない
じゃないか!」

量販店はメーカーから1,000台、2,000台と大量に仕入れ、

同時に、

返品しない、在庫を大量にかかえる、という、

メーカーからすれば非常に助かる対応をしてくれるので、

メーカーとしても、かなりの割引価格で卸すことが可能に
なっています。

公正取引委員会の調べによると、

家電の仕入れ価格が量販店を100とした場合、街の電気店は
103~115。(2008年12月)

小さな会社が安さで勝負することは、現実的にはほぼ
不可能です。

そんな中、元々16億円あった売上も、大手が進出してきて
あっという間に14億円にまでダウン。

「このまま売り上げが落ち続けると、社員の給料すら
支払えなくなってしまう。」

ここから、日本中の電器屋さんが注目する、
『でんかのヤマグチ』前代未聞の挑戦が始まりました。

先ず社員を集め、山口社長はこう宣言します。

「今後は粗利率を以前の25%から35%に増やす!」

粗利とは、売価と仕入原価の差額のことです。

量販店が安売りしているのにどうやって実現するのか?

戸惑う社員たちに、山口社長は続けました。

「量販店と同じことをやっていてもダメだ。
それはみんなもわかっているよな。

つまり、量販店には出来ないサービスをする、
ということだ。

困っているお客さんがいたら、すぐに飛んでいく。
高い値段で買ってもらっても、納得してもらうような
サービスをするんだよ。

これからのノルマは売り上げではなく、利益を第一と
する。」

しかし、同じものを安く売っているお店が近くにある中で、
高いものがすぐ簡単に売れるはずもありません。

懸命に努力を続けるも、成果は簡単には上がりません
でした。

そんなある日、社員の一人が、10件回るつもりが、
2件しか回れなかったことを社内で報告します。

「高齢者の自宅に訪れた私は、病院に連れていたったり、
スーパーでの買い物を手伝ったり、

とにかく、おばあちゃんの役に立とうと、様々な日常の
サポートを重ねました。

そして、その結果、その方にテレビを買っていただくことが
出来たんです。」

この話に光を見出した山口社長は即、次のような方針を
打出しました。

・お客様が喜ぶことは何でもやる。

・3万4000世帯あった顧客世帯を、
「高齢者単身世帯」「高齢者夫婦世帯」を
中心に、1万2000世帯に絞る。
(その代わり3倍のサービスを目指す)

・顧客の情報をデータ化し、社員全員が閲覧
できるようにする。(家族構成、購入履歴、趣味など)

・地域ごとに担当者を決めて、すぐに訪問できる
ように体制を整理する。

・購入時期や金額などで顧客をグループ分けし、
訪問する回数を決定する。

「我々が目指すのは究極の御用聞きだよ!」

その後、

留守の間の犬のエサやりや散歩、スーパーへの
買い物、部屋の模様替えなど、

社員たちは本業以外のありとあらゆる仕事を、
真心を込めて手伝ったそうです。

勿論、同時に、顧客の家の家電情報もちゃっかり
収集していることは言うまでもありません(笑)。

そうして徐々に業績が回復してきたでんかの
ヤマグチは、

何と、目標だった粗利率35%を達成。

経営体質も強化された同社はその後も業績を
順調に伸ばし、

今尚、快進撃を続けています。

最後に、そんな“でんかのヤマグチ”とお客さんとの
結びつきを象徴するエピソードをご紹介したいと思います。

お客さんの一人が亡くなられて行った、
お通夜でのこと。

亡くなられたご主人の妻が、山口社長に
対して泣きながら、こうおっしゃったそうです。

「山口さんは何でもやってくれるから、
困ったら山口さんに頼めって、亡くなる前、
主人が何度も私に話してくれていました。
頼れるのは遠い親戚よりも、近い山口だから、と。
これからもよろしくお願いいたします」

その話を聞いた山口社長は、もらい泣きをしながらも
次のように応えたそうです。

「何かあったらいつでも電話してください。やまぐちは
すぐ、飛んで行きますから。」

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全国の介護事業者様とお話させていただく中で、

「最近は競合が増え、稼働も下がってきてしまって、、、」

という話をよく耳にします。

他業界の事例ですが、

この“でんかのヤマグチ”の話の底流に流れる

“気迫”
“挑戦”
“あきらめない心”
“経営の王道を貫く姿勢”
(=売上は目的ではなく、顧客に喜んで
 いただけたことの結果である)、

等々のエッセンスは、

業界を超えて学べるところも多いかもしれませんね。

会社が生まれ変わるのは、私たち経営者の決断に
依るところが多いと思います。

是非、「強く・優しく・逞しい」介護事業者として
存続・発展していけるよう、

共に切磋琢磨してまいりましょう!

以上、何かのお役に立てれば幸いです。

今日は大阪で、

私の大切なパートナーである、全国の社会保険
労務士の皆様との会合です。

北から南から集まっていただける先生方に、
少しでも価値を提供出来るように気合を入れて
臨みます。

では、今日もお互いに頑張ってまいりましょう!

今朝もお付き合いいただき、ありがとう
ございました。
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原田匡の2冊目の著書、

「介護事業所経営の極意と労務管理・労基署対策・助成金活用」

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CB-TAG(シー・ビー・タッグ)
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           ~Visionary Care Company~

社会貢献と利益創出の両立に真剣で、成長・進化を目指す介護事業者に、
業界特性を踏まえた有益な経営情報の発信、及びツールの開発・提供を
行う。その結果、「地域で最も愛され、必要とされ、関わる全ての人々を
幸せに出来る会社=「Visionary Care Company」を多数創出し、介護業界
活性化の中心的存在となる。
それが私たち「シービータッグ」のビジョンです。
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 します。また、その際は、「介護経営エナジャイザーの原田匡によると」
 と一言付け加えていただければ嬉しいです。後は、皆様の良心にお任せ
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