ある弁護士のアイデアから学べること。

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(シー・ビータッグ)の原田匡です。

以前、アメリカで働いていた友人から
聞いた話です。

ある弁護士が、クライアント(A社)の
代理人として、B社に対する企業買収を
進めていました。

通常、企業同士のM&Aの話が本格化する
際には双方の企業に会計士や弁護士がつき、

双方の立場の中で、如何にメリットがある
条件で契約を終結させることが出来るについて、

様々な駆け引きや真剣な議論が繰り広げられます。

今回の話で言うと、B社の価値は最大でも
2億円程度、との試算が出ていました。

しかし、B社側からは3億円、という金額が
提示されており、

双方の弁護士側で激しい議論が交わされていました。

正直、B社を買いたいと思っている会社は世界中を
探してもA社一社しかない、

という状況でしたので、

A社とその弁護士は、

B社の買収は始めは交渉が難航するかもしれないが、

最終的にはスムーズに、そして有利に進むだろう、

との見方を持っていました。

しかし、予想外にB社の経営者(女性)は、

どんなに交渉をしかけても、

3億円からビタ一文下げる交渉には乗ってきません。

正直、B社側の弁護士も半ばこの経営者の頑固さに辟易
し、交渉は完全に暗礁に乗りかかっていました。

しかし、A社の弁護士は、何故、彼女が客観的に見ても
合理性にかける3億円、という金額にこだわるのか
不思議に思い、

B社側の弁護士と協議の上、B社の経営者と直接会う
段取りをとることを決めました。
(通常ならあり得る話ではないそうですが)

そしていよいよ、B社の経営者の女性と直接会う
日の当日。

B社の経営者は50代半ばの年齢。

お会いするや否や、厳しい面持ちで

「何を言われても、私は3億円以下では売りません」

という一言から会話が始まったと言います。

この経営者の言葉と雰囲気に一瞬ひるみかけた
ものの、

気を取り直した弁護士は、次のように続けました。

「私は、私達側の条件をあなたに飲ませるために、本日、
来たのではありません。

合理的に考えても2億、という金額が妥当である事が
明確になっているにもかかわらず、

何故、あなたが3億という数字にこだわるのか、その理由・
真意を聞き、理解したいと思っているのです。

そして、その上で、双方にとっての妥協点を見出したい。

ですので、差支えなければ是非、率直な想いを聞かせて
いただけませんでしょうか?」

始めは警戒し、言葉少なだったB社の経営者ですが、

この弁護士の言葉が本当であることを理解し始め、
徐々に心を開き、語り始めました。

何故3億円にこだわるのか?

そこには、自らや自らの家族側の欲望だけではなく、
既に亡くなっている創業者であるご主人の意向が大きく
ありました。

ご主人は亡くなる前、創業したばかりの苦しい頃、

助けていただいた幾人かの方の名前を挙げ、

この方たちにはいずれ、ご恩返しをしなければいけない、
と彼女に伝えたそうです。

彼女自身もその協力者の方々の献身的な行動を見て
いたので、

ご主人の想いは十分に理解出来ました。

そこで、この方々の恩に報いる為にも、会社を売る
ならばどうしても3億程度は必要なのだ、

ということを、彼女は正直に説明しました。

正直、ビジネスの面だけで考えれば、

これはあくまでもB社側の都合であり、

A社には何ら関係ない話かもしれません。

しかし、話を聞くうちに、この弁護士の方は、

何とかこのB社の経営者の想いにも応えてあげたい、
と考えるようになりました。

そこで、ふと、或るアイデアを思いついたのです。

「正直、ビジネス、という側面から考えれば、
今尚、私は2億円程度が適正だと考えています。

しかし、あなたの話をうかがう中、あなたの中に、
どうしても3億でなければならない理由があり、

それが、私利私欲だけではないことも理解しました。

それでは、こんなアイデアはどうでしょう?

私のクライアントが、あなたがもし亡くなった時の
ことを考えて、あなたに1億の生命保険をかけるのです。

その掛け金はA社が支払います。

そして、受取人は、あなたの自由に設定して下さい。

そうすれば、あなたの意向に沿う事が出来るのでは
ないでしょうか?」

一瞬、彼女はこの提案に驚きました。

しかし、この弁護士の誠実さを感じていた彼女は、
それが自らの想いも実現出来るアイデアだと気付き、

このアイデアに納得しました。

その後、この弁護士はA社に戻り、経営者に
事情を説明し、

B社の経営者は実はとても誠実な方であったこと、

そして、

B社の経営者は私利私欲だけで3億と言って
いる訳ではないこと、

及びその事情について説明し、

その上で、自らが考えた上記のアイデアを
報告しました。

A社の経営者も、敵対しながらの関係ではなく、

可能であれば、B社の経営者とは今後も有効な
関係を構築していきたい、と考えていました。

そこで、この弁護士のアイデアを受け入れ、
生命保険に入った場合のことを計算した結果、

数百万円程度で保険に入れることが分かりました。

A社はこの生命保険金を払うことを承諾し、

最終的にはお互いの求める条件にほぼ近いところで
交渉がまとまった、というのです。

・・・・・・・・・

さて、この話を聞いて、

「奇想天外なアイデアを思い付いた弁護士が
素晴らしい」

と思われた方もいらっしゃるでしょう。

しかし、それ以上に、私は、自らの想いだけを
通そうとするのではなく、

B社の経営者に対して誠実に向き合い、寄り添い、

数字やテクニックだけで抑え込もうとしなかった
弁護士の姿勢の勝利だと思いました。

お互いに主張を大きく曲げることなく、互いを
尊重しながら、互いに納得できる第3案を見出す
努力をする。

私たちの日々の経営の中でも、事象こそ異なるものの、
同じようなことが日々、起こっています。

そんな時、この弁護士のような姿勢で1つ1つの
出来事に立ち向かえるかどうか。

ひょっとすると、鍵は、私たちの気持ちの持ち方に
あるのかもしれませんね。

以上、何かのお役に立てれば幸いです。

今日も朝から、パートナーの社会保険
労務士の先生方に向けた、

開設支援関係の研修会です。

皆さんは今日、どんな1日を過ごされる
のでしょうか?

では、今日も互いに頑張ってまいりましょう!

今朝もお付き合いいただき、ありがとう
ございました。


最近、ブログも更新し始めました。
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