“きらりん笑顔が輝いて(後編)”~あるご利用者との物語より~

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(シー・ビータッグ)の原田匡です。

さて、昨日は急遽、

報酬改訂の話題をお届けさせていただき
ましたが、

気を取り直して(笑)、

今日は、一昨日に引き続き、

物語の後編を皆様にお届けしたいと
思います。

“なかなか糸口が見つからない”

そんな悩みを抱えた弊所の職員は、

その後、何を、どうしたのか?

それではどうぞ、お読み下さい。

「きらりん笑顔が輝いて(後編)」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

感情も表してくださらない照子さんに、

スタッフもどう接していったらよいのか、

糸口さえもみつかりません。

「うーん、今のようなやり方を続けていては、
照子さんにとって良くないよねぇ」

「どういうふうにご支援していこうか・・・」

お食事を皆さんと召し上がることもせず、

ひたすら

「帰らせてください」

「お水をください」

「警察を呼んでください!」

そう繰り返すだけの照子さんに、スタッフも懸命に
ご支援の仕方を模索し続けました。

【段落小見出し2】
照子さんの気持ちに寄り添う

秋風が吹き始めるころになっても、

照子さんの様子はほとんど変わりませんでした。

「頻繁にトイレに行かれるのは、もしかしたら
病気をお持ちなのでは・・・?」

そう思って、ご家族に頼んで病院で検査をして
いただきましたが、

体には特に異常はありません。

やはり、全く知らないところで知らない人たちと
過ごさなくてはいけない緊張感が原因のようです。

そこで、スタッフは、無理にゲームやカラオケに
お誘いするのではなく、

照子さんの故郷の話題からお話をしてみることに
しました。

「照子さん、小さいころは北海道にいらっしゃった
んですよね?」

「ええ、そうです・・・」

「北海道の冬は、寒いのでしょうねぇ」

「はい、とても・・・」

相変わらず表情はありませんが、

生まれ故郷の北海道のことで、

しばらくスタッフと話を続けられる照子さん。

気がづくと、お話をしている間は、

あれほど頻繁に行っていたトイレにも行かれません。

ほんの少しですが、

照子さんとのコミュニケーションが取れるように
なりました。

わずかな変化はみられるものの、

玄関に座り込んだり、

トイレに行ったり、

気持ちが高じると体が硬直してしまうことは
相変わらず同じ。

「どうにかして生活リハビリで、お料理のお手伝い
をしていただいたりできないものだろうか」

「それから、もっとたくさん、お食事を召し上がって
いただけるようになってほしいね」

「そうだね。でもやっぱり、焦らずに、照子さんの
ペースを守っていこうね」

これ!といった有効な手段は見つけられていません
でした。

でも、スタッフとなら会話ができるようになった。

これって照子さんにちょっぴり信頼していただけて
いる証拠かも?

「照子さんの気持ちに寄り添おう」

ここだけはブレないように! 

なかなか先が見えない中、一筋の光を頼りに
するようにご支援は続きます。

【段落小見出し3】
初めての笑顔

秋も深まってきたころです。

照子さんが落ち着いてリビングに座っていらっしゃる
時間と、

トイレや玄関に向かう時間が、ようやく半分半分になって
きました。

あずゆあはうすの雰囲気にも慣れてこられたのでしょうか、

洗濯物を畳んでくださったり、

折り紙を折ったりすることも始められます。

お食事もたくさん召し上がってくださり、

散歩に出られてもスタッフと一緒になんとか戻ってきて
くださるようになりました。

照子さんは、いつもとても素敵なお洋服をお召しになって
います。

そのことはスタッフの間でもいつも話題になっていました。

その日も、きれいな花柄のセーターが色白の照子さんに
とてもよく似合っていました。

「照子さん、今日のお洋服、とっても素敵ですね」

思わず、そうお声かけをするスタッフ。

すると、

「そうですか?」

にこっと笑って、照子さんが答えてくれるでは
ありませんか!

えっ!? うわぁ!!初めて照子さんが笑った!!

もちろん、声に出しては言いませんが、

心の中では飛び上がるような気持ちです。

「えぇ。とってもお似合いですよ!」

照子さんが笑うと、パァ~ッとあたりが明るくなる
ようでした。

あの無表情だった照子さんが、笑ってくれた!

よし、もっともっと照子さんに、いろんなことができる
ようになっていただこう! 

そうして迎えたある日のカラオケの時間。

歌が好きだという照子さんに、スタッフは張り切って
マイクをお渡ししてみました。

しかし照子さんは、

「他の方にお願いします・・・」

やんわりとお断わり。

「そうか、気持ちは焦るけど、照子さんのペースに
合わせなきゃね・・・」

決して無理強いにならないように。

他の方がカラオケに興じたり、

ゲームをする姿をそっと見守る照子さんに、
私たちも寄り添い、

照子さんの気持ちが動き始めるのを待つ日々が
続きました。

【段落小見出し4】
お一人お一人、異なるご支援を大切に

年が明けた1月。

照子さんが来られるようになって、

半年が過ぎようとしていました。

「ね、最近、照子さんの表情が柔らかくなってきたと
思わない?」

「うんうん! 私もそう思う!」

ふとした瞬間に、照子さんのお顔が穏やかになったのを
感じます。

また、以前は外出するとなかなかお部屋に戻ろうと
されなかった照子さんですが、

「寒いから戻りませんか?」

「そうですね」

スタッフと和やかに会話をしながら、

自然とお散歩から戻ってこられるようになりました。

食事の時間には、野菜を刻んだり、人数分の食器を拭いて
用意をしたり。

生活のさまざまなお仕事を手伝っていただきながら、

他のご利用者様との関わりも増えていきました。

「今日もよろしくお願いします」

最初はスタッフがそう話しかけても無表情だった
照子さんが、

今では照子さんの方からこう言って、

朝、お部屋に入ってこられるのです。

「照子さん、煮物の作り方、教えてくれませんか?」

「ええ、いいですよ。北海道では、こんな材料を
使ってね・・・」

もともと几帳面でしっかりした性格の照子さん。

お料理もお得意だったのでしょう。

分からないことを聞くと、

快くいろいろなことを教えてくださいます。

かといって、玄関に立ったりトイレに頻繁に行くことが、

全くなくなったわけではありません。

でも、スタッフはだんだんと分かってきました。

ご利用者様の中には、

「体操しましょうよ!」

「こっちに来てボールで遊びませんか?」

と積極的な声掛けをして差し上げることで元気になられる
方もいらっしゃいますが、

照子さんの場合は違います。

照子さんご自身が

「やりたいな」

と思うまで、

決して急かしたり無理強いすることなく、

照子さんの心が動くのを待って差し上げることが
とても大切だということに、

気が付いたのです。

照子さんの変化に一番驚いたのは、

久しぶりに照子さんにお会いしたケアマネージャー
さんです。

「いったい何を、どうしたんですか!?」

無表情だった照子さんしか知らないケアマネさんは、

ビックリ!

私たちスタッフが一人一人違うように、ご利用者の皆さんも、

お一人お一人が全く違う人生を歩まれてきている。

だからご支援の内容も、その方その方で違って当たり前。

一つとして同じ支援はあり得ません。

照子さんに対しては、故郷のお話や、好きな歌手の話、

主婦同士の何気ない日常のことなど、

照子さんが自然に話せる話題を選んで穏やかに会話を
続けられる工夫をしました。

でも、

「何を どうしたら」

きっとその答えは、お一人お一人によって、違うのでしょう。

今、和やかに談笑されるときの照子さんは、

本当に目がイキイキしています。

ご機嫌よく昼食作りのお手伝いをしてくださったり、

食器を揃えたりしてくださるときの照子さんは、

本当に楽しそう。

行動もとっても正確で、活気があります。

先日も、照子さんと春の小道をお散歩しました。

道端に咲く、小さな花を見つけては、

「あんなところにお花が咲いていますよ」

「ほんとですね。きれいですね」

「照子さんみたい! 照子さんが笑うとお花みたいです」

「まぁ! そんなことないわよ。あなたの方がきれいよ!」

ガールズトークともいえるような会話をしながら、

楽しい時間を過ごしました。

照子さーん!

といって、腕を大きく上げたら、

パチン!

とハイタッチしてくれそうなほど、今はとっても生き生きと
して元気な表情の照子さん。

あのころの無機質な無表情が嘘みたいですね。

その、キラキラした笑顔を、

どうぞいつまでも私たちに見せてくださいね。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

・・・・・・・・・

如何でしたでしょうか?

敢えてコメントは控えさせていただきます
ので(笑)、

是非、皆様なりに

“感じて”

いただければ嬉しく思います。

日々、本当に頑張ってくれている、弊所の職員に
感謝と敬意を表しつつ、、、、

以上、何かのお役に立てれば幸いです。

今日は静岡県の浜松市内でセミナー。

終了後、再び大阪へ戻ります。

皆さんは今日、どんな1日を過ごされる
のでしょうか?

では、今日も互いに頑張ってまいりましょう!

今朝もお付き合いいただき、ありがとう
ございました。


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