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介護経営エナジャイザー 原田匡が日々感じたこと・考えていること、介護
経営に役立つ情報等をお届けします!
(※)エナジャイザー:エネルギー(energy)や活力を提供する人
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本メールは名刺交換、セミナー、問合せ等を通じて原田匡と接点があった
介護事業者及びその関連の方々に送信させていただいております。
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こんにちは、CB-TAG
(シー・ビータッグ)の原田匡です。
さて、本日は、「高齢者住宅(サ高住)
の問題点」の3回目となります。
今回の問題点のテーマは「住所地特例」
についてどう考えるか、です。
この“住所地特例”というのは、市町村を
またいで住所地特例対象施設に引越・入居を
した場合に、
介護保険において、もとの自治体の被保険者の
まま、住所を移動することができる制度です。
(介護事業者以外の方にはピンと来ない説明
かもしれませんが、そのまま文章を読み進めて
いただければご理解いただけるかと思います。
後文で例を挙げて説明していますので)
この制度は、市町村の財政負担の集中を防ぐ
ことを目的に作られているのですが、
サービス付高齢者向け住宅は、この“住所地特例”
の対象外施設である、ということです。
これが、どうして問題になるのか?
少し例を挙げて考えてみたいと思います。
例えば仮に、事業主としては、本当は東京の
23区内でサ高住をつくりたいのだが、
そもそも建築できる土地がなく、地代も高い。
他方、23区内から少し外れた都内の市町村なら
23区に比べて土地代も安く、土地も見つけやすい。
かつ、23区からのアクセスも悪くなく、加えて環境も
良好、との話になれば、
事業者としては、23区ではなく都内の市町村に物件を
建て、23区からも入居者を集めよう、と考えるのが
通常だと思います。
ところが、この考えは、自治体によっては歓迎されない
ケースも出てきます。
そもそも各自治体は、自市の中で介護保険の支出を
3年ごとに予測・計画し、その支出に基づいて自治体
ごとに介護保険料の月額徴収費用を設定しています。
そこに、サ高住が建設されることにより、例えば23区
から数多くの方々が一気に自市に引っ越してくる、という
ことになれば、
予測外・計画外の要介護者が一気に増えることになります。
そうすると、自市の介護保険支出が一気に膨らむ可能性が
あり、それらはひいては地元の方の保険料上昇につながる、
という問題として跳ね返ってきます。
住所地特例対象施設であれば、23区から都内の市町村に
引越をして入居されたとしても、前述の通り、その前の
自治体、即ち、元々住んでいた23区側が引き続き介護保険
を担当するので何ら問題ないのですが、
住所地特例対象外であるサ高住については、上記のような
問題が浮かび上がる可能性があるのです。
これが、実際の経営においてどのような影響を与える
可能性があるのか?
先ず、そもそも、自治体が、サ高住の建設について
あまり前向きな姿勢にならない、という問題があります。
勿論、そんなことは気にしない、むしろ、入居者が増えれば
そこに会いに来る家族も増えるし、経済活性化の起爆剤にも
なるじゃないか、という考えのもと、
サ高住の建設に前向きな自治体もありますが、
中には、上記のような理由から、サ高住そのものを
つくらせたくない、という方向性を持っている自治体も
あります。
実際、1年ほど前に、サ高住の建設に前向きでない
自治体の担当者の方が、こんな言葉を使われたそうです。
「住所地特例に関する制度が変わらない限り、うちでは
サ高住はつくりません。うちの自治体を姥捨て山にする
気ですか」
ちょっとひどすぎる表現だと思いますが、ともあれ、
そのような感覚でサ高住制度を見つめている方も中には
いらっしゃる、ということです。
また、仮に建設についてOKをもらった場合でも、
「可能な限り、当自治体に住む方々の入居を最優先
させて下さい」
と念を押されるケースもあります。
他市から流入されると困るが、元々の住人が引越
するのは、介護保険の運用に何ら影響を与えない
ので全く問題ない、という意味です。
勿論、それが出来れば市にとっても経営側にとっても
ハッピーでしょう。
ただ、昨日のメルマガでお話したように、単純に
考えると、比較的建設費用が高くつく⇒入居費用が
高くなる可能性大、という図式が生まれます。
万一、入居者が該当市だけで集まらなかった
場合、経営側としては、近隣市街地にも広告を
出し、入居者を集めたくなるのが当然です。
そうすると、自治体から如実に嫌な顔をされる、
というジレンマに陥る場合もあります。
(実際、何度かそのような話を聞いたことがあります)
他方、そんな話をすると、サ高住をつくりたがる事業主や
建設事業者から、
「そのような事態を避けるために、サ高住でも一定要件を
満たせば、住所地特例対象施設になることが出来るじゃないか」
というご指摘もいただきます。
確かにその通りであり、その要件は次の2つのいずれかに
該当することです。
【要件1】
サ高住の登録を行い、なおかつ特定施設入居者生活介護の
指定を受けること。
【要件2】
サ高住の登録を行った住宅が、有料老人ホームに該当する
サービスを提供し、かつ契約形態として利用権方式を採用すること。
しかし、要件1については、そもそも特定施設の指定を
受けること自体が総量規制の関係で難しい場合が多く、
現実としてはなかなか難しい、と言わざるを得ません。
(逆に特定の枠がある場合にはチャンスでしょう)
要件2については、そもそも周囲のサ高住が賃貸方式なのに
対し、自社だけ利用権方式を採用することで、果たして競争力
のある住宅になるか?という問題と、利用権方式を採択する
ことで、サ高住建設の大きな魅力の1つである税制優遇に制限が
ついてしまう、という問題も生じてきます。
実際、私が懇意にさせていただいている某住宅メーカーの
責任者の方にお話をうかがうと、利用権方式を採用しているサ高住
はほぼ皆無だ、とのことです。
いずれにせよ、上記のような事情から、サ高住として、
住所地特例対象施設になるのは相当難易度が高い、と
言わざるを得ないでしょう。
以上が今回の問題提起のポイントです。
皆様はどうお感じになりますか?
何かのお役にたてれば幸いです。
本日は神戸でセミナーです。
大阪は朝からいい天気。
今日も暑くなるのかなぁ。。。。
では、今日も1日頑張りましょうね!
今朝もお付き合いいただき、ありがとう
ございました。
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と一言付け加えていただければ嬉しいです。後は、皆様の良心にお任せ
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