[ケアビジネスSHINKA論 Vol.765]

会計監査に応用。不正を見抜く「ある法則」

おはようございます、

(株)ケアビジネスパートナーズ の鈴木です。

今週もよろしくお願い致します。

伊勢志摩サミットの開催、夏の選挙はWか否か、

はたまた消費税増税延期の議論など直接間接に
影響のありそうなニュースが多い週でした。

とくに消費税は社会保障財源の議論と合わせて、

その動向には注目しておきたいところです。

私としては、今週たまたま重い本を何冊か持ち歩く
必要があり、

コインロッカーをあてにしていたところそれが
使えず困惑。

こんなところでもサミットを再認識しました。

では、メルマガの中身に入らせていただきます。

今日の視点──────────────────────────────
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■■会計監査に応用。不正を見抜く「ある法則」
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●ここのところ頻繁に決算について触れていますが、今回は会計監査にも応用される、数字にまつわるひとつの法則を紹介します。

●その法則とは「ベンフォードの法則」です。正確な定義・証明等は数式を使った複雑な話になりますので、ここではその中身について紹介します。(興味のある方はぜひ調べて見て下さい。)

●同法則によると、自然発生的な数字を集め、その最上位の数字を調べると1から9まで均等に現れるのではなく、1が現れることが一番多く30.1%、次に2が17.6%、次が3で12.5%と一定の法則(数式で表現すれば対数になります。)で減少し9の出現率が最も低いとなります。

●ベンフォードの法則とは、1938年この法則を提唱した物理学者フランク・ベンフォードにちなんで名付けられたもので、この検証のもとの数値は川の面積、人口、新聞記事、分子量など多岐にわたるところから集められています。感覚的には、「本当かなあ」と不思議な印象をもつのですが、一定の安定数値で裏付けがなされており確かにその法則の通りとなっています。

●この出現率を使った会計監査の手法があります。つまり、会計帳簿などのデータも自然発生的な数字の集合体と仮定すれば、この法則から最上位の数値が一定の割合で出現することが仮定され、その期待値と実際の数値とのずれから人為的な数字、つまり不正の可能性を見出すという手法です。

●具体的には、例えば会計伝票からその取引内容を問わず金額だけを抽出し、その最上位の数字の出現状況を分析します。本来出現すべき数字との乖離があれば、その会計伝票の信頼性を疑うという手法です。

●会計監査といえば、取引一つひとつを丁寧に確認する手法がイメージされますが、この「ベンフォードの法則」を使うやり方は、それとは違う統計をベースとした客観的数値だけで判断する手法です。いまファイナンスとテクノロジーの融合が話題となっていますが(フィンテックFintechに対する金融機関の取組みなど)そうした流れからも、客観的な数値だけで判断する新しい監査手法がさらに生まれてくるかもしれません。日々しっかり管理していれば、監査手法がどうであれ問題はないのですが、内部統制のヒントとして、こうした手法も着目してみてはいかがでしょうか。

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以上、何かのお役に立てれば幸いです。

又、ご意見等もお聞かせ下さい。
今朝はお付き合いいただき、ありがとうございました。