[ケアビジネスSHINKA論 Vol.2902]

街づくりと断捨離

みなさん、おはようございます。
金曜日のメルマガ担当、ケアビジネスパートナーズの尾添です。

今週の水曜日、ショッピングリハビリを通じて街づくりプロジェクトに関わっている三重県
いなべ市で行われたシンポジウムに登壇者の一人として参加しました。
このシンポジウムのテーマは『まちに出て健幸になる』。
いなべ市内で活動するボランティア送迎団体“あじさいまごころ隊”の皆さん、そして国土
交通省や東京大学をはじめ街づくりに関する専門家を登壇者として招いて開催し、100名を
超える来場者もあり盛況のうちに終わりました。
どれも素晴らしい発表で、高齢化が進む全国の市町村に向けてモデル事業となる取り組みで
あることを再認識できる機会でした。
共有したい事項は多数あるのですが、今回は東京大学助教の発表において記憶に残った言葉
について紹介したいと思います。

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■■街づくりと断捨離
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◆シンポジウムの後半に、登壇者によるパネルディスカッションがありました。
その最後に各パネラーからの一言メッセージの発表があり、東京大学助教の話で出てきたの
が『断捨離』です。
全国各地で官民が様々な街づくりに関する取り組みを行っており、もちろん素晴らしい活動
も多いのだが、サービス開発を考えることと同時に必要・重要となるのが『サービスの断捨
離』なのだと。
特に行政に向けて、既存の行政サービスには効果やニーズ等が不明瞭なまま何年も何十年も
継続されているものが多く見受けられるとの指摘でした。
確かに、乗客がほとんどいないコミュニティーバス、費用対効果が曖昧なまま配布されてい
る○○券、特定の企業や団体に支払いが続けられる補助金などなど。
シンポジウムには行政からの来場者も多くいらっしゃいましたが、どう感じられたのか。。

◆街づくりは、地域の特性や住民のニーズを反映させるための重要なプロセスです。
しかし行政サービスというのは、一度導入されるとその後の見直しが行われずに継続される
ケースが多いのが実情ではないでしょうか。
関係者間の調整や予算の制約、さらには「これまで続けてきたから」という理由など、効果
的でないサービスがいつまでも残り続ける原因は様々。
でも、例えばある地域で導入された交通サービスが、実際には利用者のニーズに合わない形
で運用されている場合、住民の満足度は低下し、結果として無駄なコストが発生することに
なります。
このような状況を打破するために、まず既存のサービスを見直し、必要のないものを断捨離
することが求められます。

◆断捨離の重要性について、話を聞いて考えたのは「新しいアイデアの創造」のために必要
であること。
既存のサービスに依存し続けることは、イノベーションの妨げとなります。
断捨離を行うことで空いたリソースや工数を新しいアイデアやプロジェクトに投資すること
ができ、その結果として地域の魅力を高める新たな取り組みが生まれる可能性が高まります。

◆これって、街づくりにおける行政に関してだけでなく、企業においても同じですよね。
先週、介護現場におけるテクノロジーの導入についてメルマガを書きましたが、考えとして
近いものがあります。
業務効率化のために新しいテクノロジーを導入する前に、現在の業務フローを見直してみる。
その一つとして「断捨離してみたらどうだろう」があります。
業務であればまだしも、事業単位での断捨離となると簡単なことではありません。
でも企業の維持・成長を考えた時、思い切った決断は大きな選択肢です。

◆当たり前だと言われそうな話になってしまいました。。
ちなみに「断捨離」とは、身の回りの不要な物を捨てて心身ともに豊かな生活を目指す考え
方のこと。
それを応用したものか、ヨガにも「断行・捨行・離行」という、心と体の浄化や成長を促す
ための実践があります。
心や体を整えるためにも、この断捨離は重要な考えなのですね。

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シンポジウムでは、私自身にとっても気づきや学びが多くありました。
一緒に登壇したのは国や大学などにおいて“街づくり”に関わる専門家ばかり。
しっかりと振り返り、考えをまとめ、またこの場でも共有させていただきます。