[ケアビジネスSHINKA論 Vol.2888]

フリーランス新法

みなさん、おはようございます。
金曜日のメルマガ担当、ケアビジネスパートナーズの尾添です。

早いもので今日から11月、今年も残すところ2ヶ月となりました。
ところで今日(11月1日)から施行される「フリーランス新法」をご存じですか?
そもそもフリーランス新法とは何?という方もいらっしゃるかもしれません。
従来のいわゆる正社員やパートなどとは別の、フリーランスという働き方に関する法律。
この新法が私たちの仕事そして業界にどのような影響があるのか、またどんな可能性がある
のか、考えてみたいと思います。

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■■フリーランス新法
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◆フリーランス新法の正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」。
長くて難しい名前ですね。
特定受託事業者とは??
念のため、政府のガイドラインにおいて“フリーランス”は以下のように定義されています。
『実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを
活用して収入を得る者』

◆働き方の多様化にともない、またマッチングする事業者の増加により、このフリーランス
という言葉をよく耳にするようになりましたね。
この法律はフリーランスと企業との取引における不公平を是正し、フリーランスがより良い
労働環境で働けるようにすることを目的として制定されたものです。
具体的には契約条件の明確化や、支払いのルールを定めること、などなど。

◆新法が施行されることで、フリーランスにとってどのようなメリットがあるでしょうか。
まず、契約の透明性が向上することが期待されます。
企業は契約条件を明確に示す義務があり、これによりフリーランスは自分の業務内容や報酬
についてなど、より具体的な情報・条件を得ることができます。
また、支払いに関するルールも厳格化されます。
例えば、企業はフリーランスに対して60日以内に支払いを行う義務があります。
これによりフリーランスは安心・安定して収入を得ることができるようになります。
さらに契約解除の理由をしっかり明示することが求められるため、突然の契約解除に対する
不安も軽減されるかも知れません。

◆当たり前の内容と思われるかも知れませんが、この内容が法律として明文化されたのです。
この法律の施行により、フリーランスは自分の権利を守るための“法的な基盤”を持つことと
なります。
例えば、契約内容が不明確な場合や、支払いが遅れる場合には、法的に対処することが可能
になります。
一方の雇う側(企業側)にとっては注意するべきポイントですね。

◆介護・福祉業界における影響はどうでしょうか。
業界では人手不足の深刻化から各社が様々な人材の受け入れを進めています。
フリーランス労働者とのマッチングを行う事業者も増えましたね、ただ契約や待遇の曖昧さ
からトラブルも多く、フリーランス労働者の労働環境を改善することが急務とされています。
先述の通り、企業側としてしっかりと認識・対応することが求められますが、この新法によ
ってフリーランスの権利が保護されることによって、より多くの人が業界で(貴社で)働く
ことを選択するかもしれません。
またフリーランスという形態により柔軟な働き方を選ぶことができるため、家庭や他の仕事
との両立がしやすくなるかも知れません。
業界全体の人手不足の解消につながるようであれば嬉しいですね。

◆もちろん、このフリーランス新法には懸念点や課題もあります。
例えば企業側の負担が増えること。
また契約条件の明確化や支払いルールの厳格化により、企業はフリーランスとの契約に対し
て慎重になるかも知れません。
「よく分からない」「面倒なのでは」などの認識が消えないと、結果としてフリーランスの
仕事の機会を減少させることも考えられます。
一方のフリーランス労働者自身も新法に対する理解を深める必要があります。
自分の権利や義務が何なのか、しっかりと学んで知ることが重要になります。
何もしないのに与えられる権利などありませんから。

◆フリーランス新法に関する情報は、ネット上にも多数あります。
メディアからあまり聞こえてこないのは選挙に忙しかったからでしょうか?メディア自身が
雇い側として新法への対応に追われているから?分かりません。
ただ、知らないわけにはいかない法律です。
特に「発注事業者の義務」についてはご確認ください。
先手を打つことで人材獲得にもメリットが出るかもしれませんので。

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内容を確認すると、そこまで目新しいことが定められているわけではありません。
恐らく大半の企業において「ちゃんと対応できているよ」というものばかりかと思います。
「うちは正社員・パートともしっかり雇用契約を締結して、就業規則も整備しているから、
それと同じようにすれば大丈夫でしょ?」と。
繰り返しですが、今回「法律」として制定されました。

フリーランス・・・これからの時代においてキーワードになるかも知れません。