[ケアビジネスSHINKA論 Vol.2864]

健康型という『選択肢』

みなさん、おはようございます。
金曜日のメルマガ担当、ケアビジネスパートナーズの尾添です。

今週目にした日経新聞電子版に「要介護は突然に」という特集がありました。
読まれた方もいらっしゃるかと思います。
第1回目として採り上げられたのは「終の棲家」に関して。
核家族化が進む一方で迎える人生100年時代。
高齢者施設への入居はシニア世代や家族にとってリアルかつ重要な課題です。

それでは本日のメルマガです。

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■■健康型という「選択肢」
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◆タイトルにある「健康型」という言葉は、記事にて採り上げられていた「健康型有料老人
ホーム」から。
この健康型有料老人ホームって、ご存じですか?
私は知りませんでした。
まだ絶対数が少ない施設形態であり、記事内で紹介されていたのは神奈川県横須賀市にある
「マゼラン湘南佐島」という施設。
老人ホームでありながら、この施設の特徴は「要介護認定を受けた人は入居できず、入居者
が認定を受けた場合は退去しなければならない」というもの。
要介護者に必要となるような設備やサービスは無く、フィットネスルームやカフェなど自由
気ままに暮らすための場所が用意され、また腕にはAppleWatchを装着して健康状態を常時
チェック。
そうです、この施設は介護予防に特化した「健康型」有料老人ホームなのです。

◆同記事には、施設の紹介とあわせて実際に入居した方の声もありました。
60歳を過ぎて定年退職して以降にスポーツジムに通いつつ健康的な生活を過ごしていたとこ
ろ、持病の不整脈で救急搬送や手術が重なり、今後に不安を感じ始めるようになった。
ただ老人ホームなんてまだまだ無縁な場所で、そんなことは「体が動かなくなってから考え
よう」と。
まさに私たちにも通じるリアルな想い・声ではないでしょうか。

◆キッカケは、体調面を心配した姪からの「介護予防に取り組む施設があるよ」という情報
だったそうです。
実際に施設見学に出向き、その設備やサービスの充実ぶり、そして(富士山と相模湾を望む)
立地の良さを目の当たりにし、「倒れてからでは迷惑をかける」との想いから「終活を始め
るつもりで」入居を即決したとのこと。
ちなみに入居手続きをするまで老人ホームだとは気づかなかったとのコメントもありました。

◆マゼラン湘南佐島は全国でも数少ない「健康型」老人ホームであり、介護報酬に依存しな
いビジネスモデル。
入居にかかる費用は決して安くありませんが、仕事を終える年代となり、身体の衰えや不調
を感じるようになってから老後の暮らしについて真剣に考え、問い合わせる人は少なくない
ようです。
実家を離れて継ぐべき家が無い人、身寄りのない人などなど、終の棲家をどうするかは大切
な課題です。

◆多少キャッチーな表現ではありますが、「要介護は突然に」という言葉は業界に関わる人
であれば現実的なもの。
またヤングケアラーや介護離職など社会問題の背景をみても、どうにかしなければならない
事項です。
誰もが等しく年をとり、家族も自分自身も、いずれ高齢期を迎えます。
介護や介護予防に関する情報はあふれており、運動・栄養・交流などの重要性も言われ続け
ています。
それでも「まだまだ自分や家族には関係ない」と思ってしまうのが現実ではないでしょうか。

◆自助や自己責任という言葉で片づけるのは簡単ですが、そんn単純なものではありません。
ビジネスとして業界に関わる私たちとして、情報はもちろん『選択肢』の提供も重要ではな
いでしょうか。
「○○しなければ」が「○○したい」に変わるようなサービス。
不健康だと思ってもコーラを飲むことが止められない人にとってのダイエットコーラ・・・は
例えとして適切かどうか分かりませんが、先述したマゼラン湘南佐島の記事を読んで感じた
ことです。
団塊世代がいわゆる高齢者層となる時代、ますます『選択肢』という言葉はビジネスのキー
ワードとなりそうです。

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突然くるのはラブストーリーだけで十分ですね。