[ケアビジネスSHINKA論 Vol.2789]

消滅可能性都市

みなさん、おはようございます。
金曜日のメルマガ担当、ケアビジネスパートナーズの尾添です。

先月(4月)ことですが、民間の有識者で構成される人口戦略会議が「消滅可能性都市」の
最新版を発表しました。
発表された内容は「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」にもとづき、人口から見た
全国の地方自治体の持続可能性について分析したものとのこと。
消滅って、恐ろしい言葉です。

それでは本日のメルマガです。

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■■消滅可能性都市
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◆「消滅可能性都市」とは、若年層の流出やそれによる人口の減少・少子化等によって存続
することが出来なくなり、最終的には消滅してしまう(恐れのある)市区町村のことです。
2014年に日本創成会議によって指摘された問題で、厳密な定義では「2010年から2040年に
かけて20~39歳の若年女性人口が5割以下に減少する市区町村」とされています。
もともと2014年の時点で全国の市区町村1,799のうち896もの都市、つまり約半分の都市が
2040年までに消滅する可能性があるとされていました。
先月発表された報告書によれば調査対象の40%を越える744自治体が「消滅可能性自治体」
とされ、具体的な都市名まで公表されています。
関心のある方はネット検索してみてくださいませ。

◆そもそも消滅可能性都市には、どこまで実態に即しているのかなど内容を疑問視する声も
多くあります。
都市の消滅可能性は本当に20~39歳女性人口の変化率だけで予測できるのか・・・とか。
でも先述の定義を含め、警告であったり言わんとするところ(主旨)は理解できます。
平成の市町村大合併の際にも同様の議論が活発になされていましたね。
全国各地で「子育てに優しい制度」「手厚い生活支援補助」など整備し、移住者を含め若い
世代の人口増を実現している自治体も多く、よくニュースで目や耳にします。
その際、自治体が拠り所とする指標の一つが今回の発表なのかも知れませんね。

◆気になるのは、こういったニュースがテレビなどメディアで表面的に採り上げられるだけ
で、その本質であったり具体的な解決策についての関心が高まっていないのではと感じる点。
消滅可能性と言われると「なんか大変だ」と感じる一方、どこか他人事で、自分事としては
結び付けにくいような。
自分が住む市区町村は該当しているのか?
この街ではどのような取り組みがなされているのだろうか?
街の問題が自分たちに関わる問題だと繋がらなければ、住んでいる街のことであってもなか
なか関心は向かないものです。(反省)

◆一方の自治体側になって考えてみます。
高齢者の医療・社会保障費の負担が増え続けている。
公共施設が老朽化し、その修繕費や維持費が重荷になっている。
税収が思うように高まらない。
首長や議員が“やらかして”しまい重要な議論が進まない。
一向に解消・改善されない縦割りの構図。などなど。
特に最近は少数の声にも慎重に慎重を重ねて対応しなければ前に進まない事案も増えている
でしょうし、目の前には解決を急ぐ案件だらけかと思います。
街にとって重要だと認識しつつも明日消滅するわけじゃないし・・・とは思わないまでも、未来
への取り組みというのは強烈な危機感と意思がなければ本気で着手されないものです。
これは自治体だけでなく企業でも家庭でも同じですね。

◆人間の身体において、それと分かる症状が現れないまま進行して致命的な合併症を誘発す
る病気のことを「サイレントキラー」と言います。
静かなる殺し屋、恐ろしい言葉です。。
このサイレントキラー、身体だけでなく社会そのものにも忍び寄っているのかも知れません。
消滅可能性都市という言葉に身を隠しながら。

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あくまで主語は「都市」ではなく「そこに住む自分や子供・孫(世代)」であり、消滅可能性
都市は、その課題・問題を自分事として認識するためのキッカケとしたいですね。

ところで都市消滅と聞くと、世紀末の荒れ果てた街の様子を思い浮かべてしまいます。
北斗の拳(アニメ)の影響でしょうか。。
もしくはアルマゲドン(映画)で感じた恐怖なのか。
そんな世代です、私。

本日もありがとうございました!