[ケアビジネスSHINKA論 Vol.2700]

SLIMの快挙

みなさん、おはようございます。
金曜日のメルマガ担当、ケアビジネスパートナーズの尾添です。

つい最近(10日ほど前)の話ですが、日本の月面探査機が快挙を成し遂げたというニュース、
皆さんご存じでしょうか。
世界的な快挙にも関わらず、芸人がどうとか政治家がどうとかのニュースに埋もれ、あまり
報道されていないような。
なので、ここで紹介します。
2024年1月20日に月面に着陸したJAXAのSLIMというロケット探査機の話です。

それでは本日のメルマガを進めたいと思います。

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■■SLIMの快挙
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◆このSLIMの月面着陸の何が世界的快挙なのかと言うと、月面の狭い範囲に正確に着陸す
る技術を実証した初めての探査機なのです。
従来の月着陸探査機は、その目標とする着地点と実際には数百メートルから数キロメートル
の誤差がありましたが、SLIMは目標地点からわずか55メートルの位置に着陸したのです!
障害物回避マヌーバ(移動)を開始する前の位置精度は10メートル以下、おそらく3~4
メートル程度だったと言われています。
これは月面の地形や重力などの複雑な要素を考慮すれば非常に高い、驚異的な精度です。

◆成功したとはいえ、トラブルもありました。
降下中、高度50メートル付近で2本あるメインエンジンの一本が何らかの理由で脱落。
速度制御が不完全なまま、なんと逆さにひっくり返った状態で着陸してしまったのです。
本来であればソーラーパネル面が上を向き、太陽の光を浴びて発電しながら動くはずだった
のですが、故障のため太陽に背を向ける形になってしまい電源が得られず。
もともと月面に降りてから重要な活動が待っており、電源が得られなくなりスリープ状態の
ままでは、月面着陸の偉業も霞んでしまいそうです。。
それでもまだ希望はあるそうで、月が自転し太陽光が当たれば(ソーラー発電ができれば)
SLIMは目覚め、当初の計画通りに画像など貴重なデータを送ってくる可能性があります。
がんばれ!起きろ!SLIM!!

◆これまで月面着陸を成功させているのは旧ソ連、アメリカ、中国、インドで、日本は世界
5番目の国になります。
そして、それぞれの国が「世界初」をアピールしてきました。
旧ソ連はそれこそ「初」、アメリカは「人間が初めて着陸」、中国は「月の裏側に初着陸」、
そしてインドは平らな地形が少なく難しいとされる「月の南極付近へ初着陸」。
ここまで来ると、何でも「初」が付けられそうです。。

◆今回SLIM(日本)が達成したのは「世界初のピンポイント着陸」。
日本らしい、日本が誇るべき技術力の成果であり、将来の世界の月面探査に大きく貢献する
と期待されています。
例えば、月面にある科学的に興味深い場所や資源の豊富な場所に、より簡単にピンポイント
でアクセスできるようになります。
月には、水のほかに鉄やチタンなどの鉱物資源が眠っているとされていますが、その扱いに
ついて国際的な明確な取り決めはなく「早い者勝ち」となる可能性も言われており、今ごろ
気が気じゃない国もあるのでは。
また月面に基地やインフラを建設する際にも、SLIMの技術が役立ちます。

◆さらにSLIMは小型で低コストな探査機であるため、多くの国や企業が月面探査に参加で
きるようになると言われています。
SLIMとは「Smart Lander for Investigating Moon」の頭文字を繋げたもので、直訳すると
「賢い月探査着陸船」といった意味です。
スリムなのは名前だけではなく、そのサイズは高さ2.4メートル、重さ210キロと、私たち
人間より一回り大きいくらいです。

◆アメリカが主導し、日本も参加する『アルテミス計画』では、月に拠点を建設し、人類の
持続的な活動を目指すため2026年(もう2年後!)に人間を再び月に送り込むことが計画
されています。
民間企業も含め、世界を巻き込んだ月(宇宙)開発競争は、今後ますます加速しそうです。
これまでの「降りられる場所に降りる」から「降りたい場所に降りる」という月面探査の
歴史の新たな扉を開いたSLIMそして日本は、世界に大きなインパクトを残しました。
チーム日本の今後に期待しながら、私たちも宇宙にも目を向けていきましょう!

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実は、日本は世界でも有数のロケット大国になれる可能性があると言われています。
開発や製造に関する高度な技術力はもちろんですが、もう一つ、地理的優位性があります。
ロケットが打ち上げられる東側が太平洋に開けており、安全性が高いこと。
また赤道に近い位置にあるため、地球の自転遠心力を利用して打ち上げに必要なエネルギー
を節約できること。などなど。
日本復活のカギを握るのは宇宙ビジネスかも・・・楽しみですね。

今週もお疲れ様でした。
ステキな週末をお過ごしください!