なさん、おはようございます。
ケアビジネスパートナーズの尾添です。
『日本生命がニチイホールディングスを買収』
今週、このニュースが業界を賑わしました。
以前から良好な関係にあったようですし、パートナーとしての違和感もありませんが、それ
でも業界最大手企業の一報には驚きました。
解説、なんてことは出来ませんので、感じたことを採り上げてみたいと思います。
それでは本日のメルマガです!
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■■介護×保険
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◆今回のニュース、いわゆるM&Aですから、買い手である日本生命には相応のメリットが
あってのこと。
相次ぐ自然災害やコロナなどにより少なくない出費負担が続いたでしょうし、人口減少局面
に突入している日本において保険事業は決して成長産業とは言えません。
そのような中、安定した収益が見込める介護事業を主力とするニチイホールディングスは、
軸足を置くシニアマーケットとあわせて魅力的だったのでしょう。
業界にはSOMPOホールディングス(SOMPOケア)という先例もありますし。
SOMPOホールディングスに先を越されたくないという思惑もあったのでしょうか、ね?
ニチイもSOMPOも、介護業界では積極的にM&Aを繰り返して拠点ネットワークを拡大し、
大きく成長してきました。
そして大手保険会社との合体、興味深い動きです。
◆介護業界は、今後15年先まで6%以上の伸びが見込まれると言われています。
経済産業省の試算では、健康づくり・介護産業という括りでのマーケット規模は2020年で
約24兆円あり、これが2050年には約77兆円になる(目指す)とされています。
この数字は公的保険外のものだけであり、介護保険や医療保険など含めれば巨大マーケット
となります。
その中で、医療・介護・傷害保険(いわゆる第三分野保険)等のマーケット規模は2020年
の約8.1兆円から2050年には約15.6兆円になると試算されています。
このマーケットに、時代のニーズに即した商品を打ち出し、そして顧客を獲得していく。
認知症保険も着実に契約件数を伸ばしているようです。
それらのことを考えれば、今回のM&Aは戦略として納得できますね。
◆健康づくりに対する個人の支出(投資)は、その個人の考えやライフスタイルに依拠して
います。
そして長い間、その個人支出は伸び悩んでいます。
健康維持や介護予防などへの自己投資には関心はあれど、それが支出に繋がっていないとい
う状況です。
景気・個人所得ともになかなか上向かないのが大きな要因かと思いますが、それだけではな
く「ヘルスケア」に対するイメージが湧かない、また良いサービス体験ができていないこと
もあるのではと感じます。
世間には「速攻で○○に効く」「効果を実感する人が多数」「○○教授推奨」など謳う商品・
サービスがあふれており、自分にとって必要かつ適切なものを選択することが難しいのでは
ないでしょうか。
口コミや広告に飛びついてガッカリする・・・なんて経験をする人も少なくないはず。
◆言い方が難しいのですが、介護や医療の分野に関わる私たちは日ごろから「アフター」の
現場に接しています。
「ビフォア」に何に取り組み、また取り組まなかったことが現在に繋がっているのか。
推測の域は出ませんが、それでも予防において何が必要かつ大切なのか、私たちは経験から
語ることができるのではないでしょうか。
そしてマーケットゾーンとされるシニア世代のニーズやウォンツを誰よりも肌で感じ、そし
て声を聴ける立ち位置にいます。
伸び続けるシニアマーケットにあって公的保険への過度な異存は危険を伴います。
そもそも、どうにかしたくても財源がありません。
国は、公助の前にまず自助・共助での課題解決を求めており、今後の報酬改定などを通じて
今まで以上に示されてくるものと思います。
自分の会社や事業は、その時に備えてどう進むべきなのか。
3年後5年後に向けて、どのような戦略を打ち出すべきなのか。
◆今回の日本生命とニチイホールディングスのニュースに接して、改めて業界を巡る大きな
動きを感じました。
その余波は少しづつ、でも着実に私たちの事業にも届いてくるのだと思います。
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介護・医療分野に異業種が参入することによる再編はますます加速しそうですね。
それだけ魅力を感じられるマーケットにいる、と前向きな解釈もできます。
それにしても今回のニチイホールディングスM&A取得金額、公表数字からすれば少ないの
ではとも感じました。
もちろん当事者間での協議の結果であり、どのような交渉や協議があったかは分かりません。
営業基盤・顧客ネットワーク・経験など、財務諸表には表れない財産はどのように評価され
たのか、その辺りは個人的に気になります。
今週もお疲れさまでした。
ステキな週末をお過ごしください!