[ケアビジネスSHINKA論 Vol.2602]

予防に勝る治療なし!

みなさん、ご無沙汰しております!
毎週金曜日の担当、ケアビジネスパートナーズの尾添です。

ここ最近、アルツハイマー病治療薬『レカネマブ』が日本でも承認されるとの報道が話題にな
ています。
認知症を引き起こす原因の一つとされるアルツハイマー病ですが、この病気が初めて報告され
てからおよそ120年が経つのだそうです。
長年、根本的な治療法のない不治の病とされてきましたが、新たな薬の登場でその常識が変わ
るかもしれませんね。

それでは本日のメルマガです!

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◆レカネマブは、日本の製薬大手であるエーザイ社がアメリカの製薬会社と共同で開発を進
めた新薬であり、アメリカでは7月に正式承認され、それに追随する形での国内承認です。
メディアの情報によると、レカネマブは認知機能の低下を抑え、病気の進行を緩やかにする
初めての薬とのこと。
1年半の投与による臨床実験で、プラセボ(偽薬)患者との比較で認知機能の低下が27%
抑えられたと報告されています。

◆ただ、お安くはありません。
2週間ごとの投与が必要で、年間で数円の費用がかかるとされています。
他にも高額な検査費用も必要であり、個人の負担だけではなく医療保険等への影響も小さくは
ありません。
効果のほどにもよりますが、高いと感じるか安いと感じるかも人それぞれですね。

◆そもそも、アルツハイマー病とはどういった病気なのでしょうか。
一般的に、アミロイドβというタンパク質が原因で発生すると言われています。
このアミロイドβは「脳内に溜まるゴミ」など言われますが、健康な人の脳にも存在します。
通常は短期間のうちに排出されますが、異常な大きさや量のアミロイドβが蓄積すると脳神経
細胞を攻撃し、脳全体が委縮することがアルツハイマー病に繋がるのだと言われます。
恐ろしいですね。

◆そして、アルツハイマー病といえば認知症の主原因の一つとしても知られており、日本では
認知症の6割以上がアルツハイマー型認知症と診断されています。
厚生労働省の発表によれば、日本における認知症発症者は3年前の時点で約600万人と推計
されており、さらに団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となる2025年には約700万人
にのぼると予測されています。
これは65歳以上の高齢者の5人に1人にあたる数字。
その主原因とされるアルツハイマー病に効く新薬が話題になるのも頷けます。

◆アルツハイマー病に限らずあらゆる病気や怪我、そしてダイエットに至るまで、“望まない
状態になってから”の治療や対処だけでなく“そうなる前”の予防も大切です。
『予防に勝る治療なし』です。
大切と認識しながらも予防というのは効果が見えにくく、継続することは簡単ではありません。
ただ、私たちは日ごろからあらゆる情報に触れています。
病気の怖さや、そうなる原因、そして対処方法など。
頭で分かっているにも関わらず予防に意識や行動を向けないとなれば、ある意味ではもう自己
責任の範疇とも言えます。
病気・健康に限らず、年金など老後のお金問題だって、後悔しないために“今”選択して実行で
きることはあるはず。
お金で解決することだけではなく、情報と時間をもって解決できることにももっと意識を向け
ていきたいものです。
治療の技術革新に期待するばかりでなく、自分でできる予防への意識、です。

◆ちなみに、アルツハイマー病を予防する方法と検索すると以下のような情報が出てきます。
・運動をする
・栄養バランスの良い食事を摂る
・睡眠を十分にとる
・禁煙する
・飲酒を控える
・脳トレなど知的活動を行う

脳内にゴミが溜まる画をイメージすれば・・・
「最後もう一杯だけ!」に伸びる手を引っ込めることができるかもしれませんね。

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昨年アメリカで開かれた学会において、登壇した東京大学教授はこの新薬について
「アルツハイマー病患者とその家族、そして、この分野のすべての科学者にとって、記念す
べき出来事です」
と話をしたそうです。
技術革新により不可能が可能になる時代、今後の展開も注目していきましょう。

みなさん今週もお疲れさまでした。
素敵な週末をお過ごしください!!