神戸市の規制から何を学ぶか

おはようございます、

(株)ケアビジネスパートナーズ 代表の
原田匡です。

先週の8月11日、

神戸市が、

介護保険事業のアミューズメント型
デイサービスに関する

“規制”

を打ち出しましたね。

以前の私のメルマガでも

“アミューズメント型デイサービス”

について触れたことがありましたが、

神戸市のホームページには、

次のような文言が掲載されていました。

“介護保険事業のアミューズメント型デイ
サービスの規制”

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【その1:背景】

介護保険制度は、利用する高齢者が

「尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常
生活を営むことができるよう必要な保健医療サービス
及び福祉サービスに係る給付を行う」

と規定しています。

サービスのひとつである通所介護(デイサービス)とは、

入浴、排せつ、食事等の介護、生活等に関する相談及び
助言、健康状態の確認その他の居宅介護者に必要な日常
生活上の世話と機能訓練をおこなうこと(施行規則
第10条)と定められており、

提供するサービス内容も、様々な形態が認められて
います。

通所介護(デイサービス)を提供する事業所は、

神戸市に指定権限があり、

厚生労働省令及び神戸市条例で定められた

「人員、設備及び運営に関する基準」

を満たせば指定することができます。

近時、介護保険における通所介護(デイサービス)は、

多様なサービスを標榜した事業が展開されており、

なかでもパチンコ、麻雀、カードゲーム等の遊技を
主な介護サービスとするアミューズメント型デイ
サービスなども出現してきています。

【その2:アミューズメント型デイサービスとは】

アミューズメント型デイサービスとは、

ルーレットやトランプのような娯楽性のある設備を
使って介護予防を図る通所介護(デイサービス)です。

サービスの提供方法も様々であり、

一日の内時間を決めてゲーム等を楽しむ通所介護
(デイサービス)や、

一方、終日ゲーム等を楽しむ通所介護(デイサービス)
もあります。

【その3:アミューズメント型デイサービスの問題点】

とりわけ機能訓練室内にパチンコ、麻雀、カードゲーム
等に特化した設備を備え遊技場の様な雰囲気の中で、

遊技を機能訓練の常時主体とする通所介護(デイサービス)
は、

介護保険法に基づく本来の趣旨にそった適正なサービス
とは考えられず、

アミューズメント型デイサービスの適切な運営を図る
必要があると考えています。

【規制が必要と考える理由】

1)遊技を常時主体とした機能訓練の不適切

通所介護は、利用する高齢者等の尊厳が保持される
形で、

利用者が有する能力を活用して在宅の生活を営むこと
を支援するための機能訓練や日常生活上の世話を行う
ものであり、

遊技を常時主体とするものは、

適正なサービスであるとは考えられません。

2)疑似通貨等の使用が、射幸心、依存性を著しく高めるおそれ

遊技における疑似通貨等の使用は、

もっぱら利用者の射幸心をそそることで遊技を主体とする
機能訓練に動機付けを与えるものであり、

過剰で不必要な介護サービスにつながるおそれが
あります。

3)賭博又は風俗営業等を連想させる広告の危険性

風俗営業等に使用される名称や事業内容等と誤認
するような広告等は、

介護保険による本来給付の趣旨に反し、

かえって善良な風俗環境等に障害を及ぼすおそれが
あります。

【その4:条例改正の必要性】

上記の問題点に加え、

介護保険は保険料と公費を財源として運営されており、

過剰で不必要な介護サービスは、保険料の上昇、

利用者の自己負担の増加につながることなどから、

通所介護(デイサービス)の事業に一定の規制を行なう
ために、

条例改正案を9月市会に提案したいと考えており、

パブリックコメントを実施します。

【その5:パブリックコメント】

1)概要

通所介護(デイサービス)事業者に対し、

以下の内容を規制します。


日常生活を著しく逸脱して遊技を利用者に行わせること


疑似通貨等、射幸心を著しくそそり、依存性が著しく強く
なるおそれがあるものの使用


賭博又は風俗営業等を連想させる名称又は内容の広告

2)実施期間

平成27年8月14日~平成27年8月30日まで

※引用元サイトはこちら

http://www.city.kobe.lg.jp/information/press/2015/08/20150811133301.html

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一言で言うと、

“度を越した”

デイサービスが出てきてしまった、

ということなのでしょうね。

手前味噌な話で恐縮ですが、

私は毎回のセミナーの最後に、

次のようなメッセージを必ず
発信しています。

「今後も存続・発展を実現していく
ためには、

“3つのニーズ・ウォンツ”

が重なるところでで事業を模索し、

構築する姿勢が必要です」

どのサービスを使うかを最終的に決める
のは、

ケアマネージャーの支援があるとは言えど、

あくまで

“顧客”

自身であり、

その意味では、何より

“顧客のニーズ・ウォンツ”

を満たす事業を設計・構築する必要がある事は
自明です。

他方、介護保険を活用する以上、

介護保険の求めるビジョンの達成に貢献
することや、

“介護保険事業として適切かどうか”

という判断軸のもと、

事業運営に一定の制約が生まれる事も、

当然のこととして受け入れる必要があります。

その意味でも、

“国のニーズ・ウォンツ”

を満たすことも、

事業の土台にしっかりと組み込んでいかなければ
なりません。

加えて、介護事業はあくまで

“地域資源の一翼”

であり、

その役割を担うという自覚のもと、

自社の事だけでなく、

地域全体に好影響を及ぼすこともしっかりと
考慮に入れなければなりません。

その為にも、

“地域のニーズ・ウォンツ”

もしっかりと取り込んでいく必要があるでしょう。

この3つの

“ニーズ・ウォンツ”

が重なる領域で事業展開を行う姿勢が、

介護事業者には必須となってくる、

という意味です。

今回の規制議論については、

是非、そのような視点で見つめ、

自分なりに解釈・理解する事が必要だ、

と私は思います。

とはいえ、今後、業界として、

今以上に

“斬新”

なサービスがどんどん生まれてくることも
間違いなく必要です。

是非、

“バランス感覚”

“両立させる姿勢”

を備えながら、

この議論から学びを得つつ、

是非、自社の未来を考える

“肥やし”

としていただければと思います。

以上、何かのお役にたてれば幸いです。

今日は、静岡県の某市に出張。

医療法人の理事長と、

今後の経営に関する意見交換を
行います。

皆さんは今日、どんな1日を過ごされる
のでしょうか?

では、今日も互いに頑張ってまいりましょう!

今朝もお付き合いいただき、ありがとう
ございました。