[ケアビジネスSHINKA論 Vol.798]

価格設定をどう“科学”するか。

おはようございます、

(株)ケアビジネスパートナーズ の
原田です。

参議院選挙、与党が圧勝しましたね。

このメルマガをお読みいただいている皆様の中にも
様々なお考えのもと、

様々な政党を応援されている方もいらっしゃるかと
思いますので、

この分野については敢えて私見は述べませんが、

今回の選挙により、社会保障関連に対する捉え方や
方向性が、

“より定まってきた”

ということだけは、この場であらためて確認
させていただければと思います。

既に出ている情報や、今後、出てくる情報に
敏感になりながら、

“では、どうするか”

という

“深考”

を前倒ししてしっかりと進めていくことが必要
かもしれませんね。

では、本日もメルマガの中身に入らせていただきます。

今日の視点──────────────────────────────
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■■価格設定をどう“科学”するか。
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●先日、四国地区の介護経営者(A氏)と電話で保険外サービスについて意見交換をさせていただいた折、ふと気になることがあり、とある枠組み・視点をご提供させていただいたところ、「なるほど、そういう視点では考えていませんでした。再度検討してみます」という言葉をいただきました。今日は、その方とお話させていただいた内容について、簡単にご紹介させていただきたいと思います。保険外サービスの“価格設定”に関するお話です。

●A氏は、(多くの方がそうであるように)介護保険内サービスだけでは先行きに不安を感じており、新たな収益源として“保険外サービス”をご検討されていらっしゃいました(ちなみに、ご存知の方もいらっしゃるかと存じますが、私はこの“保険外サービス”という表現があまり好きではありません。その理由を記載すると本論から外れてしまいますので今回は割愛し、別の機会にお伝えしたいと思いますが、(残念ながら)業界内で幅広く浸透している言葉であるため、今回は敢えて使用させていただきます)。既に具体的なイメージも出来上がっており、「へぇ、いいじゃないですか。」と盛り上がっていたのですが、最後の価格設定の話をうかがった際、「ん?」と私の心の中に引っ掛かるものが生まれてきました。それは、A氏が放ったこの言葉です。「安くしないと使ってもらえないんですよね。。。」

●「本当ですか?」「何故そう思われるのですか?」幾つか問いかけをさせていただきましたが、最終的に二人の共通認識として辿り着いたのは、突き詰めるところ、根拠はA氏の感覚・固定概念に在りました。「今まで介護保険サービスで安い負担金でサービス提供をしてきたので、(例えば1日1万円、2万円等の)高い金額を請求するのにどうも腰が引けてしまう」皆さんはこの方のご意見・感覚について、どのように思われますでしょうか?

●“値決めは経営”という有名な稲盛和夫氏(元京セラ創業者)の言葉もある通り、価格設定は経営の根幹を構成する重要要素の一つであり、そこには一定の根拠や想い(哲学)が必要となってきます。一般的には、価格設定には大きく3つの思考基準がある、と言われています。

●先ず一つ目は、“市場(競合)価格基準”。競合他社の価格と比べてどうなのか?競合他社を調査した上で、それより高く設定するのか?安く設定するのか?という視点です。次に、二つ目が“利益基準”。自社が求めたい利益を軸に価格を設定する視点を指します。そして最後、三つめは、“マーケティング基準”。価格設定を柔軟に上下させたり(=相手の予算によってサービスの品質や内容を上下させる)、“松・竹・梅”のように複数プランを準備する等、市場に受け入れられやすいように対応していく、という視点です。この3種類の基準・視点を掛け合わせながら価格設定を行う事で、より根拠を伴った、感情論だけではない、利益創出にも堪え得る価格を導き出すことが可能になってきます。(ちなみに、少々上記視点とは離れますが、私は基本、特に中小介護事業者は、十分な粗利幅を確保する事が出来る価格設定にすべき、と常にクライアントの皆様にはお伝えしています。今まで1割負担程度しか顧客に請求したことが無い介護事業者の皆様にとっては或る意味、ストレスがかかる視点かもしれませんが、一般的には、経営基盤が脆弱な中小企業にとって、“安売り”戦略は致命傷にもなりかねません。「ちょっと高いかな」ともし感じるとするならば、値段を下げる前に是非、提供商品やサービスの内容等の“価値”を高める工夫を考える視点・習慣を身に付けていく事を強くおススメします)

●現在、様々な保険外サービスを検討されていたり、或いは既に開始されている事業者の方々もいらっしゃるかと思います。皆様が設定しようと考えている(or既に設定されている)価格は、上記3つの視点から考えた場合、“適切”だと胸を張って言えますでしょうか?或いは、その価格に自社なりの“想い”“哲学”が反映されており、顧客に明確なメッセージが伝わるようになっていますでしょうか?企業の未来の利益を左右しかねない“価格設定”というテーマ、もし上記内容で気になる部分があれば、あらためて見直してみても悪くないかもしれませんね。

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以上、何かのお役に立てれば幸いです。

今日は、熊本→博多→北九州へと移動し、

種々打ち合わせやミーティングを終えた後、

明日の茨城(古河市)出張に向けて、

最終の新幹線で大阪へ移動します。

皆さんは今日、どんな1日を過ごされるのでしょうか?

では、今日も互いに頑張ってまいりましょう!

今朝もお付き合いいただき、ありがとうございました。