[ケアビジネスSHINKA論 Vol.777]

“ミッション(理念)経営”の奥深さ。

おはようございます、

(株)ケアビジネスパートナーズ の原田です。

大手介護事業者の決算が出揃ってきましたね。

ニチイ学館は、介護事業とヘルスケア事業を合わせた
売上高が1470億9800万円(前期比1.5%減)、

営業利益は72億5000万円(同38.5%減)。

マイナスとなった主要因としては、介護人材の確保が
計画通り進まず、

訪問介護などの利用者数が減少したことが響いた模様。

ベネッセホールディングスは、

介護・保育事業の売上高は、売上高は949億6600万円
(同8.8%増)、

営業利益は70億2300万円(同25.2%増)。

当期に高齢者住宅を16カ所開設したことの影響が
大きいようです。

他方、3月に損保ジャパン日本興亜ホールディングスの
子会社となったメッセージは、

売上高は787億9900万円(同0.2%減)、

営業利益は67億9100万円(同7.6%減)に着地。

入居者転落事件の影響などで有老ホーム事業の利益は
半減したものの、

在宅サービス事業の収益性が高まったことで何とか
リカバリー出来た、とのことでした。
(以上、各社決算短信より抜粋)

総売上・総営業利益も重要ですが、

私個人の関心事としては、寧ろ、既存施設前年対比
売上も重視したいところ。

恐らく記載があると思いますので、

また、時間のある時にしっかり調べてみたい
と思います。

では、本日もメルマガの中身に入らせていただきます。

今日の視点──────────────────────────────
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■■“ミッション(理念)経営”の奥深さ。
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●昨日、様々な事業者様の拠点にお邪魔し、意見交換をさせていただく中、あらためて“ミッション(理念)経営の重要性”を実感している、という内容をお伝えさせていただきましたが、その後、中国地区の介護経営者様より「“ミッション(理念)経営”って、今一つよく分からない」という直球のご質問をいただきました^^曰く、「どの会社にもミッション(理念)があると思うが、それが活かされている会社とそうでない会社でどのような差が生まれるのか?理屈では何となく分かる気もするのですが、今一つイメージが湧きづらい」との事。ずいぶん以前にメルク社の事例、或いは、直近ではイケア社の事例等をご紹介させていただきましたが、より対比的に理解しやすいかな、という想いの元、今日は別の事例を皆様にご紹介させていただきたいと思います。誰もがご存知であろう「ヤマト運輸」社の、東日本大震災時のエピソードです(以下、ヤマトと表記)。

●全国から被災地に向けて送られてくる支援物資。しかし、物資が集まる気仙沼市の某集荷施設では、どんどん到着する物資を前に為す術もなく、荷物がうず高く積まれたままの状態になっていました(集荷施設に配置された市役所の方は物流のプロでも何でもない訳ですので、無理もない話です)。その様子を見たヤマト気仙沼支店のメンバーは、支店トップを中心に「この荷物を自分たちの手で各避難所に届けよう」と即断。元々18台あったトラックの内、被災後も利用可能だった11台を使い、セールスドライバー達が自発的に動き出しました。

●しかし、「即断」という言葉が示す通り、この行為、決して本社の許可を得た上の行動ではありません。緊急事態とはいえ、会社は組織で動くもの。本社の許可を得ずに全ての社用車をボランティアに使う事は、規定上においても許されていません。しかし、気仙沼支店のメンバーはそのようなことを意にも介さず、自発的に動き続けました。これだけでも十分“驚き”の事実ですが、実は、ヤマトの凄さはこのレベルに留まりません。更に驚くことに、なんと、現場が自らの意志で積極的に救援物資輸送に動いたケースは気仙沼のみならず、岩手、宮城、福島の三主管支店内で同時発生的に起こっていたそうです。社用車を使い、経費を使い、人件費を使った大掛かりなボランティア活動を、本社指示によるものではなく、現場が自然発生的に実行に移す。。。。これこそ、「世のため、人のため」「ヤマトは我なり」「運送行為は委託者の意思の延長と知るべし」「思想を堅実に礼節を重んずべし」等々の言葉を経営の土台に据えている、文字通り“ミッション(理念)経営”を実践するヤマトの真骨頂とも言えるのかもしれません。

●話を付け加えますと、実は、競合A社(名前の頭文字ではありません)も震災直後はヤマト同様、ボランティアとして行動していたそうです。ところが、震災後数日して現地社員が本社に問合せをしたところ、本社からは、「ボランティアでの活動はNG」という返答が。その後間もなく、A社はこの活動から撤退しました。

●この話だけ聞けばヤマトが素晴らしく、A社がダメな会社に映るかもしれません。しかし、本当にそうでしょうか?私は、A社の決断は恐らく、一般企業としては極めて「ノーマル」なものであり、“ダメな会社”と非難される類のものではないのではないか、と個人的には感じています。むしろ、ヤマトの現場における判断・行動の方が、ノーマルを遥かに超えた次元なのではないか、と感じる次第です。

●“ミッション(理念)経営”とは、ミッション(理念)をただのお題目と捉えず、全ての経営判断を“ミッション(理念)”に沿って行う、ということを貫く経営スタイルを指します。「そんなの当たり前じゃないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、自社の経営を見つめ直した場合、果たして胸を張って100%「我が社は全ての経営判断において、ミッション(理念)を最優先に据えている」とどれだけの方が言えるでしょうか?繰り返しになりますが、前述のA社が決して“悪い例”なのではなく、それだけ、“ミッション(理念)経営”というものを実践するためには様々な要件を満たさなければならない、ということなのかもしれません。

●では、“ミッション(理念)経営”を全うするためには、どのような要件・要素が経営上備えられていなければならないのでしょうか?自社を更に高みに上らせるためにも、一度、頭の中で羅列し、整理してみても悪くないかもしれませんね。

※参考文献:クロネコヤマト「感動する企業」の秘密(PHP文庫)

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以上、何かのお役に立てれば幸いです。

今日は、北九州近郊で打合せ。

その後、明日の朝一番の目的地、

熊本へ移動します。

皆さんは今日、どんな1日を過ごされるのでしょうか?

では、今日も互いに頑張ってまいりましょう!

今朝もお付き合いいただき、ありがとうございました。