おはよございます、金曜日のメルマガ担当:尾添です。
介護事故について。
介護事業を経営・運営するものとして避けることが難しい大きな課題です。
事故には原因がつきものであり、その原因は様々。
でも実際に起こると、原因に関わらず、どうしても事業者は不利な状況に追い込まれます。
考えてみたいと思います。
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■■介護事故について考える
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◆介護事故は「見守っていても」「手を添えていても」起こり得ます。
そもそも介護は、危険をゼロにする仕事という仕事というより、リスクを下げながら生活
を続けてもらう仕事。
介護保険制度において重要視される自立支援の考えです。
足し算の介護ではなく、引き算の介護。
残存能力を見極め、本人の意思や想いに寄り添い、できることは自分で行えるようサポート
します。
ただし、そうなると当然、そこには危険(リスク)が付きまといます。
ところが事故が起きた瞬間、外部の視点は一気に「なぜ止めなかったのか」に傾き、現場は
苦しい立場に追い込まれます。
これは個別の問題というよりも、構造的な問題です。
◆実際に介護事故が起こり、その対応に追われた時に直面することを考えます。
まず裁判や保険対応で言われる論点は「予見可能性(前もって分かったはず)」。
事故が起こった後、結果論のように「危険は分かっていたはず」と言われます。
ここで問われるのは精神論ではありません。
事故リスクを把握して対策を立てていたのか、発生当時の情報・判断・対応が合理的だった
のか、をきちんと説明できるかどうか。
◆そして、「現場」ではなく「残ったもの」で判断されます。
裁判官は日々の現場を見ていません。
争点化したときに見られるのは、記録、連絡、決定事項、説明、証言など。
つまり“紙とデータ”です。
そして、記録がない=やっていない(気づいていない)扱いになりやすい。
だからこそ、ヒヤリハットを含め「記録を残すこと」は再発防止だけでなく経営防衛の基盤
となります。
◆厚労省のガイドラインには「介護には事故リスクが伴うこと」と明記されています。
あわせて「リスクマネジメントの強化、利用者・家族への説明と認識共有の重要性」が示さ
れています。
つまり、“やった”だけではなく、説明し、運用し、改善していた証跡が問われるのです。
◆事故が起こらないように備えることはもちろん、いざ起こった時には自分の身は自分で
守らなければいけません。
先に示した判例や国(厚労省)の見解を踏まえれば、「記録を残すこと」「同意を得ること」
などの重要性を痛感します。
『リスク評価→ケア方針→ケア実施までの決定ログや実施ログを残す』
『家族への事前説明(起こり得る事故リスクや方針)を徹底し、説明・同意の記録を残す』
『ヒヤリハットを作成だけでなく、会議で原因分析→再発防止→更新までを記録に残す』
『記録の保存年限などルールについて指定権者(自治体)の基準を再確認しておく』
など。
◆事故ゼロは、目指すものの現実的には不可能と言えます。
だからこそ経営においては「リスクを下げる仕組み」と、「当時の合理性を再現できる記録」
を“運用として回す”。
これが「予見可能性」で詰まないための方策となります。
◆メディアで目にする介護事故、そしてそれに対する世間の評価や裁判の結果になんとも
言えない気持ちになることがあります。
もちろん、悪いことは悪い。
悪質なケース(事故・事件)が多いことも事実ですし、決して自分自身や業界を庇うつもり
で言うのではありません。
難しい問題なのです。
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業界団体をはじめ業界全体から、処遇改善など直接的な利益への訴えが多く行われます。
もちろん大事・必要なことです。
それに加えて、こうした構造的な問題にも着目し、声を上げていく必要を感じます。
今回取り上げた問題は、業務効率化や自立支援など業界において求められる事項にも密接
にリンクしているのです。