世の介護サービスは(教科書上でも)、基本的に「ご本人(要介護者)中心」で回っています。
もちろん、それは間違いではありません。
でも時々、その「正しさ」に押しつぶされそうになっている家族の姿を見かけます。
つい最近、友人から親の介護について相談を受けました。
その時に考えたこと、思い出したこと、書きます。
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■■介護における「ファミリーファースト」
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◆介護において一番大切にすべきなのは、ご本人だけではありません。
ケアをする方、つまり「家族」も、です。
私は15年前に介護事業を始めた時から、これを「ファミリーファースト」と呼び、事業所の
コンセプトとしていました。
それが良かったという話ではありません。
自分自身のことを考え、こんなサービス(事業所)があったら家族として助かるな、そんな
想いから始めたことです。
24時間365日閉まることのない、いつでも受け入れるデイサービスでした。
◆今さら言うまでもありませんが、介護士の多くは誇りや責任感を持って仕事をしています。
でも同時に、自分の無力さを感じる瞬間もあるはず。
その一つは「時間」の壁です。
私たち専門家が関われるのは、(介護施設を除けば)デイサービスや訪問介護では決まった
時間だけ。
1日24時間のうちの、ほんの数時間。
あるいは週に数回という「点」でしかありません。
◆私たちがいなくなった後、またはサービスがない日はどうかと言えば…
残りの膨大な時間を支えているのは、間違いなく「家族」です。
夜中に何度も起こされるトイレ介助。
終わりの見えない認知症の繰り返し行動への対応。
仕事と介護の両立による、ギリギリの精神状態。
家族には「24時間365日」、休みがありません。
私たちプロは仕事が終われば家に帰り、リフレッシュできます。
でも、家族には「シフト明け」がないのです。
プロが関わる「点」、家族が背負う「線」、とは言い過ぎでしょうか。
◆それなのに、こんな声も聞こえてきます。
「家族なんだから、やるのが当たり前」
「親孝行なんだから頑張れるでしょう」
この「当たり前」という呪縛が、どれほど多くの家族を追い詰めているか。
限界ギリギリまで頑張って、ついに心が折れてしまった家族を目にします。
◆「ファミリーファースト」という考え方について。
もちろん、これは決して「要介護者をないがしろにする」という意味ではありません。
「ケアする側(家族)が心身ともに健康であってはじめて、良いケアが提供できる」という
考えによるものです。
家族が倒れて一番困るのは誰なのか、そうです、介護を受ける当事者です。
だからこそ、自分自身を最優先にケアすることは最大の親孝行であり、愛情表現だと思うの
です。
「ファミリーファースト」はワガママなんかじゃありません。
◆介護に関わるものとして、どんなサポートができるだろうかと考えました。
ショートやデイなど「レスパイトケア」を上手く使うようアドバイス?
どうすることもできなくなる前に相談してと伝える?
専門的な知識や経験があれば、きっと適切な助言はできるのだと思います。
でも、簡単に立場を変わってあげることなんてできません。
◆友人から相談を受けて、ふと考えました。
自分が親の介護のことを心配するということは、友人も同じような状況なんだと。
普段、「親御さん、元気?」なんて聞いたこともなかったなぁ、と。
その一言が誰かの「24時間365日の孤独」を救うきっかけになるかもしれないなぁ、と。
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いざという時に頼られる人でありたい。
きちんと助けになる存在でありたい。
介護という、誰もがいつか当事者になることに関わるものとして。
気持ちを新たにする、そんな数日でした。