今回は「DXの推進」という、耳にタコ…と思われる方も多いトピックに関して。
でも直近の動きや状況を知れば「好きか/嫌いか」とか「得意か/不得意か」という話ではなく、
「やるか/やらないか」でもなく、「やって生き残るか/やらずに淘汰されるか」といった分水嶺
に立たされるかもと感じるほど。
具体的には2026年4月から始まる『介護情報基盤』について、取り上げたいと思います。
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■■介護DXが「義務」になる日
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◆厚労省、デジタル庁、財務省など関係省庁で開催される審議会や分科会において、「医療・
介護の情報連携」に関する議論が目立つようになりました。
「データに基づく介護」が強く推進され、本気で医療・介護間の情報パイプラインを繋ごうとし
ているようです。
ちなにみ国が将来的な情報プラットフォームとして確立しようと推進している『介護情報基盤』
とは、簡潔に説明すると「介護関連情報をクラウド上で一元管理し、全国の自治体・医療機関・
介護事業所で共有・閲覧できる国主導のネットワークシステム」です。
これまで例えばご利用者・ご入居者が入院したり退院したりする度、サマリーをFAXしたり、
電話で病院の相談員とすれ違いを繰り返したりしている現状があれば、その非効率な時間を、
マイナンバーカードを鍵(キー)にして、国が用意したクラウド上のプラットフォーム(=介護
情報基盤)で一発解決しようというのが今回の仕組みです。
◆ここまでの説明であれば「便利な話」だと聞こえます。
しかし、介護事業者として見逃せないのが「アメとムチ」の「ムチ」の部分です。
伝え聞く情報からすると、今後の報酬改定において、これらシステムへのデータ連携が「処遇
改善加算の上位区分」の要件化される方針が固まりつつあるようなのです。
いずれ介護情報基盤にも繋がるとされる『ケアプランデータ連携システム』が次年度の前倒し
処遇改善加算のプラス要件となったニュースは皆さんご存知のことと思います。
つまり今後、「面倒だからデータ連携しない」という選択は、「スタッフの賃上げ原資をもらわ
ない(=他施設に比べて給与が下がり、採用負けする)」ことにも直結するのです。
「デジタル化は、インフラであると同時に、経営の参加チケットである」
そのようなメッセージなのかも知れません。
◆少し視点を引いて冷静にこの動きを見てみます。
なぜ国はここまで強力に進めようとするのか、背景に厚生労働省と財務省の思惑が浮かびます。
まず厚労省(またデジタル庁)は、データヘルス改革の断行を推進しようと考えています。
医療と介護の情報を連結させ、重複の無駄を省き、科学的介護(LIFE)を加速させたいとの思い。
そして財務省は、一貫して社会保障費の抑制を主張し、その手段としてデータに基づいた給付
の適正化を行いたいとの思い。
2040年問題をはじめとする大きな社会課題の解決に向けて、もう様子を見ながら少しづつ…
では間に合わないとの思いがあります。
その整備や推進のために補助金や各種支援策も発表されています。
◆業界内では
「情報のやり取りは楽になるかも知れないが、日々の入力が負担増になるのではないか」
「そんな重要情報が事業所のPCで扱えるようになると、セキュリティ面は大丈夫か」
「そもそも介護請求ソフトなどベンダーは対応してくれるのか」
など、疑問や不安は多いかと思いますし、私自身もあります。
それでもなお「この波には事業者として積極的に乗るべき」だと考えます。
なぜなら今の「人海戦術」「アナログ業務」は、あと数年で物理的に破綻するからです。
◆とはいえ、何でもかんでもDXとかシステムで解決しようなど言っているのではありません。
少子高齢化が進み、2040年には約69万人の介護人材が不足すると予測されています。
「人がいない」時代において、人間がやるべきは「データ転記」や「電話連絡」ではありません。
人間は「人の心に触れるケア」に特化し、事務作業はデジタルに丸投げする。
そう構造転換しなければ、ケアの質も維持できなくなります。
また地域や自分たちの未来を冷静に考えれば、地域包括ケアシステムの深化において医療との
連携は不可欠です。
病院など医療側でも医師の働き方改革が進んでおり、電話対応をはじめアナログ業務の削減を
推進しています。
「データで話ができる施設・事業者」こそ、地域の医療機関からも選ばれるパートナーになるの
だと考えます。
◆目の前のご利用者・ご入居者のための自分たちであると同時に、持続可能な街づくりにおけ
るプロフェッショナルでもあります。
情報が溢れる中、こういった「業界のこれから」についてもアンテナ高くキャッチアップして
いく必要があり、そして「事業者としてやるべきこと」をしっかり把握する必要があります。
取り上げた『介護情報基盤』は、個人的に2026年のキーワードになりそうだと考えています。
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昨年12月に続いて、来月10日にも、今回の内容を踏まえたセミナーを開催します。
開催までに新着情報も出てくるものと思われます。
ご関心ある方は、是非ともご参加くださいませ。
https://peatix.com/event/4818923/view