先日、高市早苗氏を内閣総理大臣とする新政権が発足しました。
?矢継ぎ早に政策や方針が示され、国政がトップスピードで動き出しています。?
SNS上でも刻々と情報が伝えられ、大小様々な変化を感じる日々です。
医療・介護の分野に関しても同様。?
このタイミングで、私たちの生活や事業に直結する「社会保障制度」の在り方について「制度
改革」や「持続可能性」といったキーワードをもとに考えてみたいと思います。
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■■相互扶助
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◆社会保障は「相互扶助」の精神を根幹としており、その代表例が「国民皆保険制度」です。?
この制度は1961年に確立されてから60年以上経過していますが、その礎は私たちの親世代
や祖父母世代が営々と保険料を支払い続けてきた歴史の上に築かれています。
?健康な時も病気の時も、若い時も年老いてからも、世代を超えて支え合ってきたものです。?
そう考えると、この相互扶助というのは単なる制度ではなく、社会全体の「信頼の積み重ね」
とも言えます。
介護保険制度も同様に、2000年の制度開始以来、国民が負担を分かち合うことで成り立って
います。?
私たち介護事業者は、この制度の恩恵を受けながら事業を営み、同時に高齢者の尊厳ある生活
を支えるという重要な使命を担っています。
◆さて、この社会保障をめぐる議論の一つに、最近よく目や耳にする外国人への適用範囲とい
う問題があります。?
もちろん、日本に在住して税金や社会保険料を納めている方々が適切にサービスを受ける権利
があることは言うまでもありません。?
私たちの業界でも、多くの外国人スタッフが欠かせない人材として活躍し、制度を支える一員
として貢献しています。
しかし、誤解を恐れずに申し上げれば、制度をその趣旨と異なる形で利用されるケースが存在
することも事実です。?
例えば、医療目的での短期滞在者がこれまで保険料を支払ってこなかったにもかかわらず高額
な医療サービスを受けた後に帰国する、いわゆる「医療ツーリズム」の問題があります。
?この場合の負担の多くは、長年にわたり保険料を払い続けてきた国民が担っていることになり
ますが、問題の本質は「外国人か日本人か」という単純な二項対立ではなく、
?「制度に対して持続的に貢献しているか」
「一時的・限定的に利用するだけか」?
という点にあると考えます。?
どうしても日本での治療が必要であれば、自己負担や民間保険で対応すべきケースや、正規の
ビザによる申請が求められるべきケースもあるでしょう。?制度の抜け穴を塞ぎ、貢献している
人々の権利と制度を守ることは、両立可能な課題です。
◆先の選挙において一気に認知度が高まった言葉に「日本人ファースト」がありますが、この
言葉が使われる背景には、こうした制度の不公平感に対する懸念があるのかもしれません。?
しかし、セーフティネットの本質は表面的な国籍や属性ではなく、?「相互扶助の輪に、持続的
に参加し、貢献しているか」?という実質的な基準で考えられるべきではないでしょうか。
?日本国民が長年この制度を支えてきた歴史は重く見るべきですが、同時に、日本社会の一員と
して根を下ろし、共に制度を支える外国人もこの「輪」の中にいます。
?逆に、制度への貢献なく利益のみを得ようとする行為は、国籍を問わず、制度の公平性と持続
可能性を損なうものとして適切に管理・対処される必要があります。
◆介護保険制度も、超高齢社会の進展により、今後さらに財政的な圧迫に直面することが予想
されます。?その中で「世代を超えた負担と受益のバランス」は喫緊の課題。?
介護保険制度は現役世代が高齢者を支え、かつて現役だった高齢者は過去に現役世代を支えて
きました。
この世代間の「信頼の連鎖」があってこそ、制度は維持されてきたのです。
多様化が進む社会において、この「信頼の連鎖」をどう維持・発展させていくか。?
今まさに「誰がこの制度を支え、誰を守るべきか」という原理原則を、感情論ではなく、制度
の設計者としての視点で明確にしていくことが求められています。
?◆これら課題・問題は政治の世界でも本格的な議論が始まろうとしており、私たちはメディア
やSNSを通じて政治家の言動をリアルタイムで知ることができます。
?「いったい誰の権利をどう守ろうとしているのか」
「持続可能な制度にするためにどのようなビジョンを持っているのか」
?私たち事業者は自身に直結する事項として問題意識を持ち、この重要な議論を見つめ、そして
声を上げていく必要があります。
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こういった問題は大きな関心ごとなのですが、ディスカッションではなくメルマガのような形
で発信するのは難しいですね。
未来にもつながることであり、もっと日頃から話題にしていきたいと思う今日この頃です。