先週末の参議院選挙、事前投票の盛り上がりほどに投票率は伸びなかったかな…と感じつつ、
それでも前回を大きく上回る投票率となりました。
前回のメルマガでも書きましたが、既存メディアやSNSでは連日のように様々なニュースが
飛び交い、その内容をめぐって場外戦のようなやりとりも注目されるなど、良くも悪くも目
に触れる機会は多かったように思います。
そんな中、一つの政党が注目を集め、そして結果を残した選挙でもありました。
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■■参議院選挙からの学び
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◆先に申し上げますが、このメルマガは特定の政党や人物に賛否を述べる意図で書いたもの
ではありません。
あくまで選挙戦、その後の報道等を通じて私個人が感じたことを書いたものです。
◆思い起こせば、これまでも選挙の度にキャッチーな言葉が飛び交ってきました。
「〇〇党をぶっ壊す」「美しい日本」など、また全国区の選挙だけでなく地方選挙においても
「姫の虎退治」「嘘の正義より真実の悪」など、話題となったワードは多数あります。
こうした、短く印象的なフレーズを用いて政策やメッセージを国民に伝えようとする政治的
手法は『ワンフレーズ・ポリティクス』と言われます。
そして今回の参議院選挙で注目されたワンフレーズの一つは「日本人ファースト」でしょうか、
何度目や耳にしたことか分かりません。
そしてこの言葉は、恐らく本質的な意味合いや価値観とされる内容を逸脱し、場外乱闘戦に
も多々用いられたように思います。
◆参議院選挙において、このワンフレーズを効果的に用いたのは参政党でしょう。
公示前の2議席から一気に15議席まで勢力を拡大させました。
その発言はSNS上や既存メディア上でも連日のように見聞きしましたが、なんだか過激の
連鎖のような投稿や報道の数々。。
先週のメルマガで採り上げたトピック(ストローマン論法等)をリアルに感じる毎日でした。
賛否はあるでしょうが、大躍進した(=それだけの支持を受けた)のも事実です。
そんな参政党については、批判的に採り上げる人の中には「一過性のブームのようなものだ」
「こんな党に投票するなんて…」なんていう声もありますが、気になって調べたところ、そう
とも言い切れない、あまり知られていない側面も見えてきます。
個人的な賛否や好き嫌いではなく、調べたことをご紹介します。
◆党の中心的役割を担う神谷氏は、大学卒業後に高校教師を務め、その後は家業を引き継ぐ
経験を経た後に大学院(法科)へ入り、修了後に(大阪府)吹田市議会議員へ挑戦し、当選
しました。
もともとの関心もあったでしょうが、議員を志すキッカケは在学中に議員インターンシップ
に参加したことのようです。
当選後に1人会派「吹田新選会」を立ち上げると、それこそ歯に衣着せぬ言動で注目を集め、
議員内に同志を増やしつつネットワークを広げ、若手議員が地方から日本を変えていくこと
を目指す「龍馬プロジェクト」を発足(会長就任)するなど、勢力的に活動します。
吹田市議会議員に再選する傍らで予備自衛官に任官しており、2012年には自民党に入党、
衆院選にも挑戦しています。(この時は落選しています。)
その後、2020年に政治団体「参政党」を結成しますが、それまでにも選挙(出馬)を経験し
ながら全国に活動範囲を広げ、党や地域を跨いで更なるネットワークを構築しています。
そして2022年7月実施の参議院選挙において比例区から賛成党公認候補として立候補し、
初当選しました。
◆その経歴(活動歴)は他にも書ききれないほどあります。
まだ全国的な知名度がない頃も、その活動内容や発言・表現内容はいろんな意味で一石を投
じるものが多かったようです。
その良し悪しはさておき、この経歴からは、今回の大躍進が決して一過性のブーム(反与党
の受け皿になった)とは言い切れないのでは感じるのです。
2022年の結党から短期間での急成長と見えますが、神谷氏にフォーカスすると、そこには
着実に、したたかとも言える組織戦略や成長の形も見えてきます。
もちろん本人と話をしたことはなく、あくまで得た情報もネットを中心としたものであり、
正確ではない部分もあるかもしれません。
◆強引ながら、企業経営に置き換えて学び・気づきにつながる点はないか考えます。
○長期的ビジョンと現実的な計画・ステップ
○基盤構築への集中
○既存だけでない新たな独自ネットワークの構築
○分かりやすいメッセージ
○リーダー自らの経験値
今回の参議院選挙での結果も全国に候補者を立てて受け皿を作ったことによりますし、それ
を支える党員約8万5千人という基盤あってのことです。
これらは一朝一夕で構築できるものではありません。
◆世間で飛び交う様々な(激しい)声から一旦冷静になって考えてみました。
どの政党にも候補者にも、結果を生み出すにはそれぞれの歴史・信念・活動があります。
これは企業や企業人とて同じこと。
学べることがあるのであれば、貪欲に調べ、考え、そして吸収していきたいものです。
「積み上げること」そして「伝達すること」、大切です。
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参政党しかり国民民主党しかり、大きく議席を伸ばした党の今後に注目しています。
いずれもメッセージ性の強いワンフレーズにより多くの支持を集めました。
今後、社会が抱える課題の「本質」に対して、中長期的にどのような政策や取り組みを
打ち出すのか。
そして私たちも、耳障りの良いワンフレーズに反応するばかりではなく、自分の生活を
取り巻く課題の「本質」を知る(学ぶ)姿勢も必要です。
そして意見を述べ、次の選挙で一票を投じる。
社会を良くするのは政治家ばかりの仕事ではありません。