本日は、普段よく使う「保険外」という言葉に、今更ながら引っ掛かりを覚えたという話です。
キッカケは、医療業界において同様のケースで使われる「自由診療」という言葉を目にしたこと。
どうして「自由介護」ではなく「保険外」という言葉を使っているんだろう?
どうして医療業界では「保険外」と言わないんだろう?
お付き合いくださいませ。
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■■保険外
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◆先ずは言葉の意味の確認から。
「自由診療」とは医療保険が適用されない診療を指し、患者が自己負担で受ける治療のこと。
具体的には、先進医療や美容医療、歯科の一部治療などが含まれるかと思います。
この自由診療は医療機関等が料金を自由に設定できるため、患者にとっては選択肢が広がる
一方で、経済的負担が大きくなる可能性があるとされています。
一方の「保険外サービス」とは、介護業界において介護保険の適用外で提供されるサービス
を指します。
この保険外サービスには介護保険の上限を超えた追加サービスや、保険でカバーされていな
い様々なサービスが含まれます。
◆自由診療と保険外サービス、それぞれの定義については理解できました。
考えすぎ(単なる思い違い)かもしれませんが、「保険外」と呼ばれることが「本来のサービス
ではない」という印象を与えるのではと感じたのです。
色々調べてみると、それぞれの業界で違う呼び名が使われ続けるのは、その名称が持つ意味
合いにあるのではとの意見があります。
自由診療は患者に選択肢を提供するポジティブなイメージを持つ一方で、保険外サービスは
「外」という言葉がつくことで「何か不足している」または「本来のサービスではない」という
ネガティブな印象を持っているからではないかと。
このため介護業界では、どうしてもサービスの展開や発想自体も制約される傾向にあるのでは
と考えられることも。
◆そう言われてみれば、これこそ思い込み・考えすぎなのかも知れませんが、自由診療が持つ
柔軟性や革新性に対して、保険外サービスは保守的な枠組みにとどまるような印象を持ってし
まいます。
そんな印象を持ってしまうと、新しいサービスの開発や提供がしにくくなってしまいそう。
介護保険の利用有無にこだわらず、介護業界ではご利用者のニーズに応じた多様なサービスを
提供することが求められますが、介護保険(内)サービスは介護保険というルールに従って考
えることは分かりますが、それ以外の自由領域が「保険外」という呼び方になると、保険の内
か外かという枠組みによりその発展を妨げる要因となってしまう可能性がありそうです。
◆例えば「自由介護サービス」という通称になったらどうでしょう。
名前くらいで何も変わらないという意見もあるのかも知れませんが、一方で固定概念や印象を
払拭するのに効果を発揮するかも知れません。
チラついていた(介護)保険という言葉の束縛を取り除く。
まぁ名称は今までどおりだとしても、業務に関わるもの(介護業界の従業者)、保険者(市町村
担当部門)、利用者(家族を含む)の受け止め方を変えることは大切です。
当たり前のことですが、利用者の多様な状況に則し、そしてニーズに合わせて多様なサービス
が選択肢として、適正な価格をもって提供されること。
業界外からも積極的にプレイヤーやサービスを取り入れ、結果として超高齢化社会における
地域課題解決につなげていく。
業界の外からどのように感じられているのか関心がありますが、ケアマネージャーをはじめ
介護事業者によるケアマネジメントが医療・看護サービスとともに高齢者の生活を担っている
と思われているのであれば、もしかしたら参入しにくいとの印象もあるのかも知れません。
思ったように高齢者の生活現場にICTサービスが普及しないのも、こういった背景が影響して
いるのでしょうか。
◆話にオチがなくて恐縮ですが、気になったことを採り上げてみました。
「自由介護サービス」
そう考えれば、それこそ自由な発想をもって色んなアイデアが浮かんできそうです。
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業界外の方と話をした時に、介護業界の印象を聞いてみたことがあります。
大きく魅力的なマーケットだと感じる一方、それを業界の人に相談しても「それは介護保険に
引っ掛かるかも」と言われるばかりで躊躇してしまう、と。
その時は、訪問介護事業者による独居高齢者の日常見守りを、センサーに担ってもらえないか
という話でした。
もちろん個人情報保護をはじめ各種法律やルールの制約はあるでしょうが、せめて検討や議論
は「自由」に行いたいものです。