[ケアビジネスSHINKA論 Vol.2990]

ファーストチェス理論

最大で11連休と言われたGW期間が終わりました。
遠出をしなくても、近くに出かけるだけでもリフレッシュできる気持ちの良い季節。
皆さん素敵な時間を過ごされたことと思います。

さて、今日はそんなGW中に目にしたトピックを採りあげてみたいと思います。
皆さん「チェス」をしたことはありますか?

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■■ファーストチェス理論
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◆チェスについて、経験はないにせよ知っている方は多いかと思います。
2人で対戦するボードゲーム(盤上競技)で、その見た目から将棋を想像させます。
相手のキング(王)を詰みにすることで勝利となること、先手と後手が交互に手を進めること
など将棋と共通するルールは多くありますが、戦略性はもちろん持ち駒の取り扱い(チェスは
使えない)や引き分けの多さ(チェスは多い)など違いもあり、それぞれの魅力です。
今回は、このうちチェスから生まれた「ファーストチェス理論」について。

◆ファーストチェス理論とは、チェスなどのゲームにおいて『名人が5秒で考えた手と30分か
けて考えた手の86%は同じ手である』という研究結果から生まれた理論です。
単純に言い換えてみると「熟練者であれば高い確率で直感的に最善の手を判断できる」といっ
た感じでしょうか。
ちなみに、ソフトバンクグループの孫正義さんも同じようなことを言われています。
『どんなことでも10秒考えればわかる。10秒考えてもわからない問題は、それ以上考えても
無駄だ。』

?◆目にしたメディアでは、この理論がビジネスや日常生活における意思決定にも役立つとして
紹介されていました。
乱暴な言い例えだと思いますが「あんまり思い悩まずに、時には最初に思いついた行動をして
みることで意外と良い結果が得られるかもしれませんよ。」など。
でもこれは、多くの方が感じられたかと思いますが『名人(習熟者)が』という主語を抜きに
扱うことはできません。
「すべての場面でファーストチェス理論が当てはまるわけではありません」という但し書きが
付されるのです。
とはいえ「自分には関係ないこと」というわけでもありません。
「ご利用者の表情を一瞬見ただけで体調から機嫌まで色んなことが分かる」など、福祉の仕事
においても習熟を得た人には、きっと似たような体験・経験があるのではと思います。

◆別の視点からも考えてみます。
86%の物事は10秒で決めてもよ?く考えても一致するということですが、逆に言えば 14%
のことは“間違った判断をする可能性があるから、しっかり考えなければならないこと”だと
言えます。
実はこの点にこそ、このファーストチェス理論の示唆ポイント(かつ危険な誤解ポイント)が
あるのではないか。
例えば上司が部下に「思い悩んだら自分を信じて即決してみろ!ファーストチェス理論だ!」
などと指導するのは、ストレスを抱えた部下を救う意味では効果的でも、それは本質ではない
のではと感じたのです。

◆ある研究によれば、人は(無意識のうちに行う小さな選択を含め)1日に約3万5千回の何ら
かの決断をしていると言われています。
ビジネスマンは仕事において1日に数百回それ以上もの「意識的な」意思決定をしているとも。
でもきっと、何百・何千回の機会があろうが、それが「重要か、重要でないか」は瞬時に判別
できているはず。
そして、意思決定するべきことのうち慎重な判断が必要となる重要事項が1割・2割くらいな
のかなぁと思うのです。
ちょうどファーストチェス理論に言う14:86に近い割合。
考えなければいけないのは、本来は重要ではないと直感的に判断したこと(86%)に必要以上
に時間や工数をかけていないだろうかということ。
そして、本当に大事なこと(14%)に頭や時間を使えていないのではないかということ。

◆ファーストチェス理論
「どんなに悩んだって物事の86%は思考時間が10秒でも30分でも変わらないんだ。
自分を信じて最初に思い浮かんだ判断を大切にしよう!」
も良いけど
「重要でなければ自分の直感を信じて即決、重要なことは時間をかけて慎重に判断。
まず重要かどうかの見極めが正しくできるようになろう!」

そんな気づきを得ました。(まったくの私見です!)

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今年のGWは仕事をする時間が長かったのですが、それでも休みは確保して、子供と自然を
満喫してきました。
4時間を超える山登りに連れて行かれた子供の本心は分かりませんが。。
子供の感情、これも14%に含まれる重要な事項ですね。はい。