みなさん、おはようございます。
金曜日のメルマガ担当、ケアビジネスパートナーズの尾添です。
昨日の原田代表のメルマガの冒頭で、老人ホームの経営実態状況に関するWAMのレポート
が紹介されました。
赤字施設の割合が依然として高水準で推移しているという厳しい内容。
ちょうど別のネット記事を見て関心を持っていたところ、テーマとして採り上げてみたいと
思います。
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■■介護施設の実情について
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◆今週、ネットニュースに次のようなものを見つけました。
『有料老人ホームの検討会 介護保険部会が今春に立ち上げ(厚労省)』
https://news.yahoo.co.jp/articles/0fed9fc6bf2724adeb1aa1c815e94a2df487844a
つい最近も入居者紹介事業者の問題が(悪い意味で)話題となったばかり。
他にも、以前から様々な現場実態の問題は指摘されています。
ちょっと気になる動きです。
◆今さら言うまでもありませんが高齢化が加速しています。
高齢化が進めば比例して介護(介護施設)の需要は増加しているはずですが、冒頭に紹介した
WAMのレポートにもある通り介護施設は厳しい状況にあり、また実際には多くの施設が赤字
転落の危機に直面しているとも言われています。
そこに来て、冒頭採り上げたような規制強化につながりかねない政府の動き。
運用の厳格化、報告の義務化、総量規制、どのような内容に繋がるのか現時点では読めません
が、いずれを考えても事業者からすればたまったものではありません。
確かに、顧客の囲い込みや不必要なサービス提供などの問題は以前から耳にしますし、施設に
おける虐待事例も増加しています。
他介護事業と比べて(介護施設は)外から見えにくい特徴があり、政府としても何か手を打た
なければと考えたのかも知れません。
◆介護施設と言っても種類は様々であり、一括りに分析することは難しいです。
例えば、介護サービスを自社(事業所)で行うのか外部へ委託するのか。
入居にかかる料金も、その設備やサービス等により大きな幅があります。
それでも話は戻りますが、単純に考えれば益々ニーズは増加しそうなマーケットながら、どう
して業界全体として経営が安泰と言える状況に無いのでしょうか。
厚生労働省の令和4年の報告資料を見ると介護保険施設の数は僅かながら増加しており、また
在所率(入居率)は9割前後。
これだけ見れば、ほぼ空室もなく安定していそうです。
◆調べてみても、やはり大きな原因課題は介護業界全体にも言える深刻な人材不足。
少子高齢化により現役世代が減少し、介護職の離職率も高いため、施設の運営が困難になって
いる実態は様々な資料や情報から見て取れます。
また大手を中心に処遇改善の動きが進んでおり、人材確保のためには採用や定着のため今まで
以上に費用をかけなければなりません。
一方で、この人手不足が施設の受け入れ能力を制限してることも見逃せません。
受け入れの制限は介護(入居)難民を生むことにも繋がり、そうなると在宅での生活を支える
在宅介護サービスにも更なる人員が必要となります。
また人件費だけではありません。
老朽化した施設の改修費、追加の設備・機器導入費、ガソリン代や電気代など値上げも経営を
苦しめます。
介護報酬はほぼ横ばい推移が続いており、コストだけが増え続けていけば、そのしわ寄せは
運営面・営業面などに様々な影響を及ぼします。
◆冒頭で紹介した、厚労省の介護施設に対する動きについて。
当然に不正の根絶や公平性の確保などは大切ですが、そのために総量規制、義務化事項(報告
物等)の追加、報酬を伴なわない職員処遇の改善要求など、より経営や運営を苦しめる事態に
至らなければ・・・と危惧します。
もちろん経営側の努力や改革が不可欠ですが、そもそも介護保険制度に大きく依存するモデル
であるという難しさがあります。
これまでIT化・DX化について何度か触れてきましたが、それが直接的・根源的な解決手段で
はないとしても、経営の観点から他業界の事例なども参考にし、大きく見直す段階にあるのは
間違いありません。
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今週末、知り合いの介護施設オーナーに打合せの時間をいただいています。
ちょうど今日の内容にも関連し、業務効率化についてディスカッションするのが目的です。
私自身、しっかり現場についても理解したいとお願いしたものですが、ぜひ多くの経営・運営
現場についても知りたいと考えています。