[ケアビジネスSHINKA論 Vol.2954]

マラソンのススメ②~限界は幻想である~

みなさん、おはようございます。
金曜日のメルマガ担当、ケアビジネスパートナーズの尾添です。

※先週に続いて、マラソンネタです※
『持久系アスリートの限界は単なる肉体的制約ではなく、脳によって作り出される主観的な
認識である』
という考え(研究)があります。
箱根ファンにはお馴染みの元早稲田大学陸上競技部監督の渡辺氏も、選手自身が自らの限界
を理解することの重要性を指摘されており、これは「自分にはここまでしかできない」と
いう思い込みが本来超えられるはずの壁を作ってしまう可能性を指摘したものです。
「もうダメだ!」
本当にもう限界(ダメ)なのでしょうか・・・
マラソンが教えてくれること第2段をお送りします。

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■■マラソンのススメ②~限界は幻想である~
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◆『限界は何が決めるのか』という古い書籍があります。
その中で著者は、限界は脳が決めるという仮説(視点)を強調しています。
書籍の中で1000マイル(1600キロ!)を走破した女性ウルトラランナーの脳の研究事例が
紹介されているのですが、その結論として、苦痛に対する脳の認識を変えることで驚異的な
忍耐力と持久力を獲得できる可能性があるのだとのこと。
そのウルトラランナーを担当する神経心理学者は「彼女の脳は苦痛に関して私たちの脳とは
違った解釈をしている」可能性があると指摘しています。
つまりは、身体ではなく”脳”が苦痛の感じ方や限界の認識を大きく左右するということ。
他にも、サブリミナルメッセージを用いた実験によるパフォーマンス向上の報告や、物事の
伝え方によるホルモン等への影響に関する報告など面白い実験結果が多数掲載されています。
このような実験や事例は多数ありますし、似たような話もよく聞きますよね。
南アフリカのティム・ノークス博士は、ズバリ次のような理論(セントラルガバナー理論)
を提唱しています。
『長時間の運動で直面する肉体的な限界は、実際には脳が作り出している!』

◆脳内には「限界ダイヤル」と呼ばれる機能があり、そのダイヤルの調整に影響するのが
“主観的”運動強度と言われています。
目標達成の過程で現状を正確に把握し、目標とのギャップを認識しながら進むことが重要で
あり、この限界ダイヤル(脳内の限界)を調整する方法として精神的なトレーニングや認知
機能へのアプローチが提唱されています。
何が言いたいのかといえば、限界は単なる肉体的な制約ではなく、脳によって作られる主観
的な認識であり、この認識を変えることでパフォーマンス向上が期待できる!(のでは)と
いうことです。

◆そしてマラソンの話。
フルマラソンという極限に近い運動体験は、自身のセントラルガバナー(脳が自動的に限界
に達しないように調節しようとする機能)の設定を再調整する機会になる可能性があるのだ
と言われているのです。
具体的に言うと、
・自身の限界に対する認識を書き換える
・主観的運動強度を意識的にコントロールする
・ポジティブなセルフトークで自らを鼓舞する
などなど。
そして頑張って限界を乗り越えた時(ゴールした時など)に、自分の限界値を塗り替えられ
たと思い込むのです!

◆これらスポーツ科学の知見が示す通り、限界はしばしば物理的な制約ではなく、私たちの
脳が生み出す幻想に過ぎないという考えは、企業経営やマネジメントの現場においても重要
な示唆を与えてくれます。
企業で言えば、一人ひとりの潜在能力、そして組織全体の成長の可能性は、私たち個人が
無意識のうちに設定している「限界」という名の壁によって大きく左右されている可能性が
あると言えるのではないでしょうか。
目標達成への意欲や困難への立ち向かい方は、個々のメンタリティに深く根ざしています。
ポジティブなセルフトークや成功体験の積み重ねを通じて自己効力感を高めることが、個々
が秘める力を最大限に引き出す鍵となります。

◆またチームや組織全体の「限界」にも同様の視点が必要です。
現状維持に甘んじることなく常に高い目標を掲げて挑戦する文化を醸成することで、組織の
潜在能力は飛躍的に向上するのではないか。
上司からの情報伝達の工夫やポジティブな環境づくりも、プロセスに良い影響を与えます。
困難な状況に直面した際「もうこれ以上は無理だ」と感じるのは、肉体的な限界ではなく、
脳が発する信号。
そう考えれば、困難な状況下では思考をポジティブに転換することや目標達成の意義を再認
識することこそが、停滞を打破し、新たな道を開く(ブレイクスルーする)ための原動力と
なり得ます。

◆そうです。
「限界は幻想である」
のです!!

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強引なロジックですね。。失礼しました。
でも脳科学の知見を活かして、自分のためにも組織のためにも、内発的なモチベーションを
高め、心理的な壁を乗り越えることの重要性はお分かりいただけたものと思います。
では、どうすれば体得できるのでしょう。

「マラソンを始めてみませんか!!」

フルマラソンなんて絶対に無理・・・と思っている人ほど、大きな変化が期待できるかも!?

※来週からは(きっと)福祉の話に戻ります。