みなさん、おはようございます。
金曜日のメルマガ担当、ケアビジネスパートナーズの尾添です。
今週の25日に病院や介護施設の代表者が石破総理大臣を訪ね、医療や介護・障害福祉分野で
課題となっている人手不足や賃上げについて意見交換をしたとのニュースを見ました。
その場には福岡厚生労働大臣も同席していたようです。
(昨日の原田のメルマガでも紹介があった件です)
「急激な物価高騰や賃金の上昇に柔軟に対応する仕組みや支援を講じてもらいたい」という
内容とともに経営者側から寄せられたのが「介護現場で生産性を高めるためには、ロボット
やICT機器の導入が重要だ」といった意見。
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■■やるべきことは、しっかりやります
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◆前段の記事によると、この業界関係者との会見を受けて石破総理大臣は、福岡大臣に対し
て「今春をめどに、AIやロボットなどを活用して生産性の向上を図るためのプランを策定
するよう」指示したとのことです。
近年になって業務のIT化やロボット導入に関する補助金・助成金など増えており、都道府県
単位でも積極的です。
深刻な人手不足や職員の多様化など、その背景となっている問題については以前のメルマガ
でも触れた通り。
ただ、それだけではない事情もあるように感じています。
◆先日、とある経営者から相談を受けました。
オーダーは「介護施設に義務化されている項目」について知りたいというもの。
ここ最近の制度改定でも、努力目標から義務に切り替わった事項も多々あります。
改めて調べてみると・・・多数あることに驚かされます。
・BCP策定(自然災害、感染症)
・感染症に関する委員会設置
・虐待防止に関する委員会設置
・事故報告(重大事故)
・苦情対応の記録と公表
・所定研修の実施
・権利擁護に関する委員会設置
・設備点検の記録と公表
・HACCEPに基づく食品衛生管理
・地域包括連携の協議会設置
などなど。
もちろん事業種別や規模によって該当/非該当は異なります。
ただ例えばBCPなどは、それに紐づく必要物の管理や定期的な訓練実施なども含まれており、
単なる策定だけでは終わりません。
◆ただでさえ人材不足や運営コストの上昇など、福祉業界を取り巻く環境は厳しさを増して
いるなか、法改正等による義務の増加は頭の痛い問題です。
もちろんこれらの義務は利用者や入居者の安全・安心を守る上で不可欠である一方、現場の
負担を増加させ、人材不足に拍車をかける可能性も否定できません。
そして義務ということは、守らなかった場合に指導監査対象としてペナルティ(減算等)の
対象となったり、指定取消など厳しい措置につながるリスクも存在します。
また事故や違反が発生した場合、責任者の刑事責任、損害賠償請求など事態も想定されます。
考えるだけで恐ろしいことですね。
◆なぜ福祉業界にはこうも義務化されている事項が多いのか。
(もちろん他が少ないと言っているのではありません。)
行政ホームページやAIに答えを求めても、導かれるのは「ご利用者の保護」などの原則。
乱暴なまとめですが、顧客はサポートを必要とする方々であり、また高齢化が進む我が国に
おいて福祉は社会の基盤となるような事業・業務、それゆえ高い倫理観・責任感・使命感を
求められています。
災害や事件等が起こるたびに議論されますが、業界を守り、そして事業を維持・継続させる
ためにも一定のレベル維持は不可欠であり、ある意味で性悪説の観点から義務化を促進せざ
るを得ない。
少し穿った見方でしょうか。
◆これらの義務を確実に履行するためには、経営者や現場責任者だけでは無理です。
施設職員への周知徹底、そして全ての職員が義務の内容を理解し、日々の業務において実践
することで、はじめて義務化対応が実効性を持つと言えます。
ただでさえ日々の業務に忙殺されるなか、どうすれば良いのでしょうか。
もちろん倫理観の周知徹底など重要ですが、それと同時に、やっぱりIT化・DX化の推進は
不可欠です。
◆まずはマニュアルや必要情報の一元管理と共有が重要であり、改正内容や対応手順をまと
めたマニュアルなど全ての職員がいつでもアクセスできるようにする必要があります。
また記録や報告・連絡・相談(報連相)の迅速化・簡素化も欠かせません。
煩雑な手続きを省き、必要な情報をスムーズに共有できる体制を構築することで、業務効率
が向上し、結果として求められる運営体制の構築にも繋がります。
全てをマンパワーで行い、また紙ベースで対応することは難しく、とにかくICT(情報通信
技術)の導入によって業務効率化や情報共有の迅速化を図り、記録作成・管理の負担を軽減
することです。
◆みんな、分かっているのです。
「やるべきことは、しっかりやります」
「でも、それを記録・管理する余裕がないんです」
この切実な思いに応えるようなサービス、必要です。
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展示会、またネット上にも、福祉業界向けのIT・DXサービスの情報は多数あります。
個人的関心事でもあるので調べてみましたが、どうでしょう、理屈では理解できても、実際
に導入してみても結局は工数が増えることにならないか・・・といった懸念も抱きます。
リテラシーの問題を含め、根深い課題があるのです。
システム会社(開発者)に業界のことや現場のリアルが正確に共有されていないのかも。
言い方が悪くなりますが、大手介護施設で“使える”システムが、そのまま中小施設でも使え
るとは限りません。
※介護事業者につき、BCP未策定の減算摘要が4月から開始となります。
策定されている場合、3月中の届け出が必要ですのでチェックをお願いします!
(都道府県のBCPに関する届け出で検索すれば出てきます)
事業種別によって虐待防止実施や身体拘束廃止の届け出も必要です!