みなさん、おはようございます。
金曜日のメルマガ担当、ケアビジネスパートナーズの尾添です。
突然ですが、ある日の高校生の娘とのLINEやりとり。
「もうすぐ到着するよ」
『おけ』(OK)
「少し渋滞していて、あと5分で到着するわ」
『り』(了解)
「なんか雨降りそうだなぁ」
『やば』(!)
・・・最近、ようやく慣れてきました。
しっかりTPOで使い分けているようなので良いのですが。
そういう言葉の変化(進化?乱れ?)に関連して、最近気になったことを採り上げます。
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■■プロンプト
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◆街で若い人の会話を耳にすると、私たち(ミドルエイジ)が使うのとはかけ離れた表現が
目立ちます。
前段で紹介した『り』『おけ』などの省略語・造語が日常的に飛び交う状況、きっとこれは
“言語の進化”の現場なんでしょうね。
でも歴史を振り返れば、各時代で同様の現象が起こってきました。
言語学者に言わせれば、言葉の簡略化は「情報処理効率を求める必然」なのだと。
特に現代のデジタルネイティブ世代は、文字入力の手間を省くため自然と省略表現を発達さ
せてきたのかも知れません。
そして難しい言葉は避けられ、しだいに使われなくなっていきます。
◆話は変わり、急速に普及する生成AIについて。
私自身も日々多数のサービスを使っており、もう仕事において手放せません。
この生成AIに関して、最近「専門用語格差」なる話を聞きます。
ご存じの通り生成AIの活用は、まずプロンプトと呼ばれる質問・指示をインプットします。
そして、このプロンプト次第で得られるアウトプットが変わるとされています。
だいぶ前のメルマガで書きましたが「AIって、何か使えないな」と思っている人は、もし
かしたら正しい指示ができていないことが要因かも知れません。
個人的に、生成AIの普及が「言葉や表現の質」というものを浮き彫りにしてきたのではと
感じています。
◆論より証拠、例えば「認知症ケア」に関する以下の質問(プロンプト)で試してみます。
【曖昧な質問】
・お年寄りが同じことを何度も言う時の対応方法
【専門用語を使った質問】
・アルツハイマー型認知症の中核症状に対する回想法を用いたコミュニケーション技法
◆あくまで極端な例えですし使用する生成AIサービスによっても違いは生じるでしょうが、
私のテストでは、前者の回答が一般的な対処法にとどまったのに対し、後者ではICF(国際
生活機能分類)を踏まえた具体的な介入方法まで提示されました。
AIが専門知識の「増幅装置」として機能するという側面もありそうですね。
◆福祉現場では、昔から専門用語に関して議論があります。
とにかく専門用語が多くて覚えづらい、またご家族やご利用者に伝わらない、など。
私自身も当初は職員日報に戸惑ったことを思い出します。
臥床・・・「寝ている」で良いのでは・・・など。
もちろん使い分けは必要ですが、専門用語にはそれが出来た背景や、持っている意味などが
きちんとあるんですよね。
いざ私たちが専門的な説明や返答を求めたいと生成AIに向かう時、私たちが使用する言葉
や表現によってアウトプットが違ってくるとすれば、簡単に考えることは出来ません。
だって、例えば研究論文や専門家の執筆記事など私たちが検索先として信頼したいと考える
情報ソースの多くは“専門用語”を用いて書かれているのです。
◆生成AIをはじめ、私たち福祉現場においても新たなテクノロジーを活用する機会は増え
ており、その必要性は今後も増していきます。
実際に、大きな業務効率や改善につながることが期待され、実績を出しています。
各現場においても、サービス導入とあわせて職員に使いこなすための勉強を推進されている
のではないでしょうか。
ChatGPT活用ワークショップなどネット検察すれば多数出てきますし、AIリテラシー教育
は時代の要請です。
ただ一方、アナログと言われようが正しい業界用語を大切にすることも必要だと考えます。
これまでに数多く行われてきた経験・研究・考察・議論など情報データベースを上手く活用
して現場業務に活かすためにも、私たち業界のプロには正しいアウトプットを導き出すこと
が求められます。
そのためのキーワードが専門用語であれば、その知識や理解は不可欠です。
これから加速度的に進化するのでしょうが、現時点でAIは「思考の補助輪」なのです。
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冒頭で娘との会話を例に出しましたが、あまり文脈がつながらず、ただ娘をディスったよう
になってしまいました。。
(決してそのようなことはありません!)
普段のやりとりにおいて学びも多々あるのです。
もはや長文and絵文字メッセージはウザいとされる時代。
既読をつけなくても相手の要件が一目で理解できることが大切なのだと。
そういった“コミュニケーション”にも順応していかなければなりませんね。