みなさん、おはようございます。
金曜日のメルマガ担当、ケアビジネスパートナーズの尾添です。
今年8月に厚生労働省は「国際保健ビジョン」なるものを発表し、それにより国内外の医療・
介護システムの発展を図る戦略を明らかにしました。
この国際保健ビジョンとは、留学生向けの奨学金制度を整備し、国内の大学の医学部に20人
程度の留学生を受け入れる新たな実証事業のことです。
業界における海外人材の動きについては弊社原田のメルマガでも度々登場しており、今週も
ありましたね。
弊社主催で海外ツアーも実施しており、注目しています。
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■■外国人労働者の受け入れについて
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◆前段で紹介した「国際保健ビジョン」の主な取り組みとして、留学生向けの奨学金制度や、
外国人介護労働者の受け入れを強化する「循環型高齢者保健戦略」が挙げられています。
特にアジア地域からの介護労働者確保が重要視されており、日本で学んだ技術を母国で活用
する「好循環」を目指すというもの。
これにより、日本の介護業界の人手不足解消と国際的な連携強化を図るとされています。
もちろんこの循環が上手くいけば理想的ですね。
介護人材不足という問題の解決、そして世界に向けて日本の介護技術・サービス・ノウハウ
を広めることにも繋がります。
◆実現に向けては様々なハードルが考えられますが、一般的には以下のような項目があります。
○文化的・言語的な障壁
外国人労働者が言語や文化の違いを乗り越えるために適切なサポートが必要。
○労働環境の整備
外国人労働者が安心して働ける環境を整えることが急務で、労働条件や待遇の改善も必要。
○持続可能性
一時的に来日するだけではなく、長期的なキャリア形成を支援する仕組みが必要。
◆もちろんどれも重要・必要なものですが、いずれも外国人労働者が主語となる課題であり、
そして受け入れる私たち日本側が解決すべき内容となっています。
果たしてそれだけで十分なのでしょうか。
このチャレンジが成功するためには、私たち受け入れ側を主語にした
○日本全体が多様性にどう向き合っていくのか
という大きな課題があると考えます。
◆メディアにおいて移民問題に関する投稿を目にすることが増えました。
X(旧Twitter)などSNSがあるので、トラブルだろうが誤情報だろうが一気に拡散します。
埼玉県川口市エリアにおけるクルド人移民者を巡る話題など。
これを一部外国人が起こしたトラブル(実際にはトラブルではなく誤解・悪意をもって拡散
されるケースも多いようです)という側面だけで考えてはいけません。
入管制度の問題や社会的受入れ体制の課題など、まず私たちが現状について知ることが必要
な事項も多々あります。
特に、介護業界など海外に人材を求めようとするのであれば尚更です。
◆北欧にある福祉国家と言われる某国では、これまで多数移民を受け入れてきた結果として
治安の悪化や社会保障制度の維持に支障が生じてきたことを受け、抜本的な移民受け入れの
見直しを本格的に議論しているケースもあります。
出身国に戻る移民に対して支度金のような経済支援を実施する案まで議論されています。
日本とは歴史・地理的な違いはありますが、一つの先行事例として学びや気づきはあります。
本日紹介した「国際保健ビジョン」の実現には、入管制度の改革や社会的受け入れの促進、
労働環境の改善が不可欠です。
移民問題に対する懸念や疑問もあり、これらの課題解決とセットでなければ日本の介護業界
における外国人労働者の受け入れも発展や持続可能なものにはならないかと思います。
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選挙シーズンが始まり、これから様々な論戦が繰り広げられてきます。
課題やテーマは様々ありますが、その中で「海外人材」「移民受け入れ」などに関しても注目
してみたいところです。
我が国、我が業界でも避けては通れない課題事項ですね。