[ケアビジネスSHINKA論 Vol.2860]

リモート(在宅)ワークの是非

みなさん、おはようございます。
金曜日のメルマガ担当、ケアビジネスパートナーズの尾添です。

今週、オンライン通販大手のアマゾンが、これまでのリモートワークとオフィス勤務を組み
合わせたいわゆる「ハイブリット勤務」を廃止すると発表しました。
メディアでも採り上げられ、目にした方も多いのではないでしょうか。
このテーマ、実は数年前から議論となっており、メディアでも何度か目にしてきました。
コロナ禍に日本でも広がったリモート(在宅)ワークについての評価が見直されそうです。
改めて考えてみたいと思います。

それでは本日のメルマガです。

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■■リモート(在宅)ワークの是非
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◆冒頭に紹介したアマゾンにおける勤務形態の変更は、同社のアンディー・ジャシー社長が
従業員へのメモで明らかにしたもので、来年1月に実施されるとのこと。
これにより従業員は週5日、オフィスに通勤する従来の形態に戻ることになります。
また報道によると、フリーアドレス(デスクを特定せず好きな場所に座って仕事をする形式)
も廃止するようです。
ジャシー社長はメモにおいて『この移行により従業員が発明し、協力し、互いに十分な繋がり
を持つことができるようにするのに有効だと信じている』とコメントしています。

◆この動き、アマゾンだけではありません。
パンデミックが落ち着くにつれて、徐々に従業員の出社を復活させる「脱リモートワーク」の
動きが強まり「リモートワークを維持したがる従業員vsオフィスに戻ってきて欲しい経営陣」
の対立が続いている様子。
報道記事によると、グーグルは2023年6月に同社のハイブリッド・ワーク・ポリシーを更新
し、ほとんどの従業員が週3日はオフィス勤務を行うことが求められました。
その際、オフィスバッジデータを使用したオフィスへの出勤状況の追跡を実施するほか、出勤
状況を業績評価に反映させる方針も打ち出しています。
同様にメタも2023年9月以降、全従業員に対して週3日のオフィス出勤を義務付けることを
公表しています。
CEOのマーク・ザッカーバーグ氏によると、オフィス出勤をしているエンジニアがリモート
ワークのエンジニアよりも高いパフォーマンスを発揮しているという分析結果が出たことが
決定の根拠となったとのこと。
また、パンデミック中もリモートワーク反対の立場をとり続け『従業員は最低でも週40時間
はオフィスにいる必要がある』と断言したテスラ(イーロン・マスク氏)の事例もあります。

◆各企業において労働生産性を比較した結果という理由は大きいのでしょう。
監視状態にない自宅等において全ての従業員がオフィス同様の生産性を発揮できるかと問われ
れば・・・難しいでしょうね。
でも単なる自社内での指標比較にとどまらず、加速度的に変化し続けるマーケットにおいて、
特に大企業経営者は相次ぐベンチャーの登場に強烈な危機感を持ったのかも知れません。
それを感じさせる記事を目にしたので紹介します。
スタンフォード大学の授業に、元グーグルCEOのエリック・シュミット氏がゲスト講師とし
て招かれ、学生とディスカッションした時の様子に関するものです。

◆8月に公開されたディスカッション風景のなかで、シュミット氏は『グーグルは競争に勝つ
ことよりもワークライフバランスや早く家に帰ること、家で仕事をすることの方が重要だと
考えた』とリモートワークの生産性に批判的な発言をした上で、『それと比較して(OpenAI
やアンソロピックのような)スタートアップがうまくいっているのは、従業員が死に物狂いで
働くからだ』と答えました。
さらに、スタンフォードの学生に向けて『単刀直入に言うが、もし君たちが大学を出て会社を
設立し、他のスタートアップと競争したいのであれば、在宅勤務や週1日しか出社しないよう
な働き方はさせないほうが良い』というアドバイスまでしたのです。
この講演ビデオがYouTubeにアップされると直ぐに拡散され、SNS上ではリモートワークを
巡る様々な意見が飛び交って大炎上しています。(現在はオリジナルの講演ビデオは非公開に
なっています。)

◆この話題だけで夜通し議論できそうですね。
皆さんはどう考えられますでしょうか。
もちろん各社事情は異なり、業務に適したワークスタイルも様々かと思います。
また望んでもリモートワークが難しい仕事も多くあります。
自社についてもそうですし社会全体の動きについても、ぜひ注目してもらえればと思います。

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大企業に限らず、アメリカのIT企業では単純な「リモートワーク支持」「ハイブリッド支持」と
いう議論のフェーズから「いかにリモートワークの快適さや自由さに慣れた従業員を円滑に
オフィスに戻すか」という実務的な議論にシフトしてきているようです。
日本でも(私の周囲でも)チラホラ聞きます。
それにしても今回の件に限らず、良かれと思って始めたことも、それが習慣化・定着化する
と今度は元に戻ることに拒否・抵抗が生まれる。
難しいものですね。